デューン 砂漠の救世主 新訳版 (下) (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2023年4月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784150124052

感想・レビュー・書評

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  • 派手な戦闘シーンは、ない(あのシーンは戦闘ではなかろう)。幻視により「既知」である最悪の未来に向けて進む主人公の皇帝と、その血を狙う魑魅魍魎な組織を代表する面々のやり取りを楽しめるかどうか。上巻を無事読め切れたら、下巻はかなり読みやすくなると思う。映像的には見栄えがほぼしないので映画DUNE2の続編としては厳しそう(このままでは)だけど。

  • 盲目のポール・アトレイデスの何と鬼気迫ることよ

  • 前作のレビューでは、「SFならではの世界観とガジェットを深く堪能する楽しみ方もできるが、誰が読んでもその人なりの視点で楽しめる、典型的な貴種流離譚で昔からよくあるフォーマットの一大エンターテインメント」と評価させていただきました。その後、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による素晴らしい映画化もあり、SFにあまり興味がない人にもある程度知られた作品になったのではないかな、と思います。

    ・・・が、前作の新訳版や映画から「デューン 」の世界に入った人がこれ読んだら、驚くだろうなぁ。
    前作から続く独特の世界観と社会描写を背景としたSFではあります。が、読了して「あー、SF読んだなぁ」という実感はありません。ギリシャ悲劇かシェークスピア悲劇を観たかのような、運命的な悲壮感だけが心に残ります。

    前作のラストにおいて、主人公のポール・アトレイデスはコリノ公家の独裁体制を打破し、フレメンを含む全ての人類が適切に穏やかな生を送ることができる世界を目指して、自ら皇位の座を欲したのだと、鴨は理解しています。
    しかし、前作から12年後の本作において、ポールは独裁者と化し、フレメンは全宇宙で”聖戦<ジハード>”と称する征服戦争を繰り広げ、民はポールと妹のアリアを神格化しています。現体制を打破せんと暗躍するベネ・ゲセリット、ベネ・トレイラクス、名目上の皇妃であるイルーラン。ベネ・ゲセリットの一員でもあるイルーランは、救世主クイサッツ・ハデラックであるポールの遺伝子を純粋なまま後世に引き継ぐべく、フレメンであるポールの愛妾チェイニーが彼の子を産むことを阻止しようとしますが、チェイニーが懐妊したことがわかり、惑星アラキスは風雲級を告げる事態に・・・。

    と、結構大変なストーリー展開ではあるのですが、ポール自身は何をしているかというと、悩んでいます。ただひたすら悩んで右往左往して、政治的な決断等はほとんどしていません。このポールの心理描写が物語の大半を占めていて、これがまぁ重い重い(^_^; 前作にあった戦闘シーンや生態系の描写シーン等は、ほとんどありません。しかも、予知能力を持つポールが見る予知世界が100%クリアなものではなく漠然としたイメージのみのため、この先どうなるのか皆目分からずに読者もポールと一緒にひたすら悩み続けることになります。
    そして、最終的にポールが下した決断は、フレメンの掟に従ったものだとはいえ、まるで何もかもを投げ出してしまったかのようで、フレメンもそれ以外の民も、そして読者も、これで納得するんだろうか・・・?と思いました。前作のポールの輝かしい英雄ぶりを思い起こすと、隔世の感がありますね。

    ドゥニ・ヴィルヌーヴは、この作品までを映画化したいと考えているそうですが、これ、映画にするの難しそうだなぁ(^_^;
    作品的には、次の「砂漠の子どもたち」で一応3部作が完結するのですが、そこまで新訳版をだしてほしいなぁ。ハヤカワさん、お願いします!

  • あ〜〜面白かった。
    ゆっくりゆっくり読み進んだが、
    面白すぎて読み終わるのがイヤだった。

    幻視と現実の間の苦悩に苛まれるポール、
    その結果を選ぶ事への更なる苦悩。苦しすぎる。
    ポールのラストシーンは、電車で読みながらほぼ泣いた。
    で、2回読んだ。
    ダンカン・アイダホが側にいてくれた事が、
    ポールにとってはせめてもの救いか。

    結末、私は好きだった。
    アトレイデスの為政者としての存在意義よりも、
    フレメンとしての生き方が勝る潔さに胸打たれる。

    続きを読みたいけどどうしたら読めるのか。
    続編の新訳、いつでるのかな。

  • 新しい命が生まれ、フレメンの掟に則りポールは一人、砂漠へと旅立つ──。
    諸行無常、盛者必衰、こんな言葉が思い浮かんだ。
    前作に比べて派手さはないが深みがあり、物語の締めくくりふさわしい。と思いきや、訳者あとがきによると、どうやら続きがあるらしい。双子の活躍を見届けなければ。

  • ずいぶん前に旧訳で読んだが、新訳で再読してみた。基本的に感想は前の時と変わらない。未来が見えてしまうポールが愛する人を守るためにする選択が本当に哀れ。前作で何としても殺戮の聖戦を避けねばと自分に言い聞かせてたのに、結局全宇宙でそうなり、ポールや妹アリアは神のように崇められている。解説にあるように、ポールは理想の世界を作るのに失敗したのか。それともこの先に挽回できる余地はあるのか。続きが読みたい。

  • 一気読み。
    すっきりとした良いところで終わっているので、次の『砂丘の子供たち』を読もうか迷うところ…。

  • 《登場人物》
    ポール・アトレイデス……ムアッディブ。皇帝
    イルーラン……ポールの正妃
    チェイニー……ポールの愛妃
    アリア……ポールの妹
    ヘイト……ダンカン・アイダホの偶人[ゴウラ]
    スキュタレー……ベネ・トレイラクスの踊面術士[フェイスダンサー]
    エドリック……航宙ギルドの操舵士
    ガイウス・ヘレネ・モヒアム……ベネ・ゲセリットの老教母
    スティルガー……宰相。チェイニーの伯父
    コルバ……聖職者[クィザーラ]。讃辞起草者
    バナルジー……衛士隊長
    オシーム……老フレメン
    ドゥーリー……オシームの妻
    リクナ……オシームの娘
    ビジャーズ……ベネ・トレイラクスの矮人[こびと]

  • デューン第二部下巻。ポールを巡る陰謀は加速しつつ、ほぼなんでもわかっている、というか予知しているポールは、笹舟が滝から落ちるのがわかっているけど見守るしかない、という状況に置かれて、デューンの明日はどっちだ。
    第二部での展開は第一部の爽快感とは真逆だが、案外すんなり、というよりも第二部のほうが面白いと感じたのは、第一部を醒めた目で読んだからではないだろうか。これが、もっと若いときにのめり込んで読んでいたら、第二部を心穏かには読めなかっただろう。

  • DUNEシリーズの続編『砂漠の救世主』の下巻。

    ポール・アトレイデスは自らの幻視によって、最愛の人を守るための選択を取らざるを得なくなる。
    予知していた未来に抗えず、何とかその中でも最善の方法を取るしかないという展開は、とても辛い。
    前作は英雄譚だったが、本作は神話の悲劇的展開を迎える。

    ドゥニ・ヴィルヌーヴは『DUNE』で最も映像化を熱望していたのが本作だとか。
    確かにフェイス・ダンサーやダンカン・アイダホの偶人など映像で観たら面白そうではあるのだが、映像化するのに向いてそうな原作じゃないため、どうなるか期待もあるが不安も。

  • 読み終わった直後の感想としては、ポールの最後は美しかった。

    どうしたって予知で見た未来に抗えなく、その中でもより痛みの少ない選択をするように苦悩する姿からここまで多大な権力をもつ者でもこういう葛藤をすることに人間味を感じる。徳治主義から法治主義への移行についても一回読むだけだとあまりその意味はよく分からなかったけどキーワードとして引っかかった。
    (あとがきにある専制政治への警鐘という指摘、腑に落ちた。)

    上巻から匂わされていたチェイニーの死、その場面自体があっさり描かれてだったところも良かった。それによってポールの心情や子どもを守るためのポール陣営のそれぞれの動き、ポールの最後のシーンがより映える感じがした。

    あとはポールとチェイニーの子供が男の子と女の子の双子だったことも鳥肌が立った。DUNEシリーズがSFの金字塔と言われること、スターウォーズもこの作品の影響を受けていることを元々聞いていたので、重なるところがあってゾクゾクする。結局は血統が統治の根幹。

    ダンカンをめぐる動きにはヒヤヒヤしながらも、最終的な復活にかなりワクワクして、上下巻とも暗く悲しいこの物語に光を差してくれた。アリアとの関係に今後の期待あり。ダンカンは統治機構の中でどんな役割を担うのだろう。

    印象に残った言葉
    「すべての人間は干渉者なのだ」by スティルガー
    「民は政府に従属するが、支配される側も支配者側に影響をおよぼす」アトレイデス家

    まだ作品全体を咀嚼できてない感じ。
    もう一回くらい読んでみてもいいかも。

    最後に、訳者によるあとがき、良かった。
    特にイギリスの清教徒革命でのクロムウェルとポールの物語が一致するとの考察(東インド会社はギルド、清教徒は禅スンニ派、議会はラーンスロード)は、なんかこういう流れって世界史で見たことあるような…というのを見事に解説している。また、世界観はイスラーム寄りであるのにポールの宗教政府で使われている用語はキリスト教のものが多いというのも面白い。教養があるとこうも読めるのか、こういう楽しみ方があるのかと刺激にもなるから、あとがきまで含めて良い。

  •  このデューンシリーズの第二作目は評判があまりよくなかったということは、読み始めたらその最初に解説として書いてあった。たしかにそれはよくわかる。よくはわかりにく地味な陰謀の場面が続き、第一作であったような壮大なSFファンタジーの世界の広がりはなかった。でも第三作へのつなぎの作品として、次の作品に期待したい。

  • 最後の60ページが全てでした
    ポール自身の内省的な一人称視点の語り口と対照的に見られる周りの人々の盲目な信仰、、
    あらゆる専制政治への注意喚起であろう
    あまりにも世界観の異様さに気を取られすぎた、もう一度純粋な気持ちで読みたい

  • フランク・ハーバートによるSF大河、『デューン 砂の惑星』の続編・下巻。

    予知した悲劇的な未来に抗おうとするも、その"運命"から逃れる術が見出せず苦悩するポールに、旧勢力の策謀が迫り来る。その行き着く先は―――。

    「悲劇の第二部」と呼ばれるに相応しい悲しく辛い物語。前作のようなスペクタクルな要素は無いに等しく、ひたすら為政者ポールの苦悩を描いた内容となる為、前作のような展開を期待するのはNG。

    予知した悲劇的な未来に抗えず、次々と現実のものとなっていく中で現れる、予知には無かったいくつかの出来事。これらが未来を変える"希望"となるのか・・・。次作も新訳刊行予定とのことで、映画と併せて待ち遠しい限り。

  • うーん。面白い。

  • 結末は賛否両論と言われているようだが、私は好きだ。

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著者プロフィール

アメリカのSF作家(1920~1986年)。『デューン 砂の惑星』とその続編5巻の著者。『デューン 砂の惑星』は世界中の40を超える言語で出版され、何百万部も売り上げ、2本の映画とテレビのミニシリーズ1本が制作された。『デューン 砂の惑星』はSF小説の中でオールタイム・ベストと称される作品のひとつである。このシリーズはその後のSF作品全ての原型であると広く考えられている。

「2024年 『デューン 砂の惑星 グラフィックノベル2 ムアッディブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フランク・ハーバートの作品

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