三体 (ハヤカワ文庫SF)

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  • 早川書房 (2024年2月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (640ページ) / ISBN・EAN: 9784150124342

作品紹介・あらすじ

文化大革命で父を惨殺され、人類に絶望した科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。彼女がスカウトされた軍事基地では、人類の運命を左右するプロジェクトが進行していた。数十年後、科学者の連続自殺事件を追って謎の学術団体に潜入したナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)を、怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う!そして、汪淼が入り込むVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?
全世界でシリーズ累計2900万部を売り上げたエンタメ小説の最高峰!

感想・レビュー・書評

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  • 劉慈欣『三体』ハヤカワ文庫。

    話題のSF小説。続編も次々文庫化されるようだ。登場人物が馴染みの薄い中国名のためか、珍しくハヤカワ文庫にピンク色の登場人物表が挟み込まれていた。

    華文ミステリー小説は何冊か読んだことがあるが、華文SF小説を読むのは初めてだ。海外翻訳物の世界は、アメリカ、イギリス、ドイツ、南米の小説が席巻していた時代から始まり、北欧ミステリー流行の時代を経て、ついに中国小説が台頭して来たようだ。最近では当たり前のように中国小説が本屋に並んでいる。ここ数年で読んだ華文ミステリー小説では、陳浩基の『13・67 』、蔡駿『忘却の河 』が非常に面白い作品だった。果たして、この『三体』はどうだろうか。

    1967年の文化大革命の狂乱から始まり、予想外の壮大なスケールで展開するSF小説。読んでいると夜空を見上げたくなり、自分は一体何者かという不思議な気持ちになる。

    現代科学をも否定してしまう共産主義を逆手に取り、物語の中に巧く取り込んでいるところは見事。その上で、古典力学の『三体問題』を重要なテーマに置いて、バーチャル空間で展開する人類の儚い歴史と人類の鏡のように三体人を描いているところが面白い。

    VRゲーム『三体』は誰が何の目的で作ったのか、『科学フロンティア』が抱える秘密と科学者たちの自殺の原因は何か……


    1967年、文化大革命で清華大学の物理学教授の父親を惨殺され、人類に絶望し、内モンゴルの辺境の地で労働を続けていた天体物理学者の葉文潔は仲間の新聞記者にハメられ、危険思想の持ち主と見做され、危機に陥る。

    そんな文潔を救ったのは、父親のかつての教え子である楊衛寧であり、彼にスカウトされた文潔は人類の運命を左右するプロジェクトが進行する軍事基地で働くことになる。後に明らかになるそのプロジェクトの内容は全く予想外のことだった。

    四十数年後。ナノテク素材の研究者である汪淼は、科学者の連続自殺事件を追って謎の学術団体『科学フロンティア』に潜入する。自殺した科学者の1人に葉文潔の娘も含まれていたのだ。

    『科学フロンティア』に潜入した汪淼だったが、ゴースト・カウントダウンという怪現象が彼を襲い、ついには怪現象は宇宙規模で展開される。怪現象の正体を突き止めようとする汪淼がたまたま入り込んだVRゲーム『三体』。VRゲームの『三体』は人類が文明を構築するゲームであった。『三体』世界を支配する3つの太陽が文明構築の成否の鍵を握る。汪淼は3度目の挑戦でやっとレベル2へと進む。

    本体価格1,100円
    ★★★★★

  • 文革時代の闘争から現代の基礎科学に起きた異変へと繋がり、さらにどんどんスケールが大きくなっていく。主人公は、応用物理学者のワン・ミャオ。主人公と言うよりは、ストーリーテーラーか?

    読み終わった人から、すぐに次が読みたくなるよ、と言われ予想していたものの風呂敷広げて終わってしまった。350ページを過ぎたあたりでイヤな予感がしたが、しっかりと当たった。

    全般、リーダビリティは高いのでこの長さでも苦にはならない。三部作とのことだが500ページのプロローグってどうなのよ、とは思った。

    • 知之介さん
      劉慈欣は短編が面白いよ
      劉慈欣は短編が面白いよ
      2025/09/09
    • Noopyさん
      知之介さん
      コメントありがとうございます。短編が面白いんですね。読んでみます
      知之介さん
      コメントありがとうございます。短編が面白いんですね。読んでみます
      2025/09/09
  • 冒頭、文化大革命より物語は始まる・・・
    主人公の一人でもある葉文傑の波乱に満ちた前半生が語られる。

    一方で、正真正銘の主人公の汪森はナノマテリアルの開発を行っている主人公!
    謎の会議に招集されるが、ノーヒントの状態で警告をされるたと思いきや謎のファイナルカウントダウンが始まる???

    そして、VRゲームの三体には周の文王、伏羲、墨子や始皇帝等の中国の古代人達が登場しては・・・


    久々に圧倒的なボリュームで読めるSF作品!

    中国は三国志と水滸伝だけじゃ無い!と思わせるSF小説!


    圧倒的な科学には屈服なのか?

    次巻が楽しみです!!!

  • 読みたいけど難しそうで読む勇気が出ない…
    と思っていました!!!!!
    たしかに難しいは難しい。否定しない。でも中盤から始まる面白さに手が止まらなくなる。難しいのにそれを超えた面白さと先が気になる求心力がハンパない。海外ドラマ見ててついつい徹夜してしまうあの感覚が味わえます。
    しかも人に聞いた話だと2巻からさらに面白いんですって?

    読むしかねーだろ!

  • 三部作の一作目。630ページもあって長い。長いのになかなかストーリーが進まなくて、ちょっと疲れました。ストーリー自体は良くて、これからの展開がかなり気になるのですが、やっぱり海外の小説は苦手で本はあきらめてNetflixにしようと思います

  • 「物語に引き込まれる部分」と「何だそれのSFツッコミ部分」があって、どう評価していいか分からない作品です。

    文化大革命から宇宙にあるメッセージを送る部分は、話しに引き込まれて興奮するのです。が...

    まずゴーストカウントダウンなるものが出てきて、そんなの必要?
    陽子をあんなことできる超文明の三体人なのに、?な対地球戦略

    SFなのでもちろん空想でいいんですが、もう少し違和感を感じさせないようにならなかったのかなぁ(*/∀\*)
    でも、普通におもしろい本で間違いないと思います。

  • 要約すると「たった一人のキティちゃんの怨恨から、人類の存亡をかけた異星人との戦いが始まる」という話し。

    いろいろ分かりにくかったですが、それは科学技術うんぬんより、話しの進行方法であったり、登場人物たちの浅い描かれ方の影響の方が大きいと思う。

    あと,作中のVRゲームは、何が面白くてダイブしているのか分からなかったし、そもそもVRゲームの出自がよく理解できなかった。カウントダウンの話しはワクワクしましたが、急に語られなくなって、どうなったのかと思っていたら、終盤の智子(ソフォン)の話しで納得。間が空きすぎてモヤモヤしながらの読書は疲れました。SF慣れしていない人には勧めるのをためらう作品かな。アイデアはいいと思うし、ルビは丁寧で翻訳自体は読みやすかっただけに、今後に期待。

    ちなみに、SFを誰かに勧めるとしたら、例えば、ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』や『断絶への航海』、アンディー・ウィアーの『火星の人』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のようなわかりやすくて爽やかな作品の方が勧めやすいですよね。

    以下、あらすじ。
    物語は、中国の文化大革命時に、物理学者の葉文潔(イエ・ウェンジエ)の父が目の前で紅衛兵に殺害され、自身も囚われてしまうところから始まります。彼女は「紅岸基地」に移送され、そこで地球外文明との通信プロジェクトに組み入れられてしまいます。彼女は、絶望とも失望ともつかぬ日々を過ごすうち、人類に対する警鐘として、電波の届く限りの全宇宙に向けて、地球外知的生命に対するメッセージを送信しました。

    このメッセージは、3つの太陽を恒星に持つ惑星の知的生命体に届きます。この惑星系は、生命が存続できないほど厳しい気候の「乱紀」と穏やかな気候の「恒紀」が交互に訪れ、しかもその期間や到来が不安定で予測不能なため、常に生存と文明の消滅の危機に脅かされていました。そんな彼らからすると、届いたメッセージは、生存を賭けた新天地を得る絶好のチャンスです。全宇宙艦隊を発進させて、地球侵略に向けて動き出します。

    一方、地球では、科学者や知識人の間で「三体問題」を議論するなかで、実際に知的生命体が存在することを知るに至り、人類の存亡をかけた戦いに向け、異星人に内通する団体の排除や、各国の国際的な協力を模索し始めます。しかし、量子もつれを制御できるほどの、圧倒的な科学力の差に対し、人類に残された時間は約400年。はたして人類の未来は…三体IIに続く。

    追記 :
    レイチェル・カーソン『沈黙の春』が出てきますが、環境意識があまり感じられない国(失礼)で、この本に言及されているのは、少し驚きました。

    あと、読んでいる途中で、スティーブン・ホーキング博士の「宇宙人は存在するかもしれないが、破滅的な結果をもたらす恐れがあるので、コンタクトは避けるべき」という言葉を思い出しました。こちらから安易に存在を知らせるべきではないですよね。

  • 面白かった。壮大な世界観で描かれており、出てきた物理法則も全くわからなかったもののSFとしてすごい面白かった。
    三部作の最初であるものの、舞台は主人公の一人である葉文潔の幼少期の文化大革命から始まり、現代世界、そして、ゲーム上の「三体世界」と隣の恒星に存在する三体世界。舞台がわかるにつれて、前の章の意味もわかるようになり深みが増す構成だった。文潔が負った心の傷が人類の存亡をかける異世界間の関係に発展していくのが面白かった。異世界の力によって地球人の更生を願うのが面白い反面現実に対しては絶望しており、共感できてしまった。
    また、もう一人の主人公である汪淼の研究が世界を救そうな気がして次巻の展開も楽しみ。
    ただ、三体世界の文明であっても文化人的な人がいる理由は何なのだろうか。存在することが意義であるとしているのなら、文化が残ったのはただの偶然?残り香的なものにすぎないのかな。

  • Netflixドラマ『三体』から最新映像が公開 配信日は2024年3月21日に決定 | ING Japan(2023年11月11日)
    https://jp.ign.com/the-three-body-problem-drama/71761/news/netflix-2024321

    遂に来たる。劉慈欣『三体』三部作、文庫化開始!|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/nf702710de567?rt=email&sub_rt=daily_report_followee_notes

    三体 | 種類,ハヤカワ文庫SF | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000015717

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      発売迫る! 『三体』文庫化スケジュールをチェック|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.ha...
      発売迫る! 『三体』文庫化スケジュールをチェック|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.hayakawabooks.com/n/n927a69f8223e
      2024/02/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      いよいよ本日発売!劉慈欣『三体』文庫版&ネトフリ配信に備えよ!|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://...
      いよいよ本日発売!劉慈欣『三体』文庫版&ネトフリ配信に備えよ!|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.hayakawabooks.com/n/n12f347fdc486
      2024/02/22
  • ヒューゴー賞受賞。世界的にヒットした話題作ということで購読。国もデカけりゃ話もデカい。面白い‼︎!

  • SFファンが垂涎する要素をこれでもかというくらい盛り込んだSFエンターテインメント小説。
    中国の文化大革命に端を発するディストピア的世界から始まり、この史実を基にSF的な"IF"を徹底的に積み上げていく。
    ナノテクあり、ファーストコンタクトあり、VRあり。
    暴走するカルト団体あり、サスペンスあり、そして科学に対してなんの知識もなくただ気概だけはひたすらかっこいい中年刑事あり。
    つまらないわけがない。

    あえてカテゴライズすると、ハードSFの部類に入るんだと思う。
    ただし、イーガンのような、ともすると「あれ、これ、論文だっけ?」みたいな、読むのにだいぶ心構えを必要とするような難解さはない。
    科学に明るくない人が、「?」と思うような記述がたとえあっても、その数行後には「あー、多分こういうことかな」ってわかるようにしている。
    あるいはわからなくても雰囲気だけつかめておけば大丈夫なようにしている。ここはもう作者の筆力の妙に尽きる。
    「細かいことはわからなくても、楽しめ!」という思いがびんびん伝わってきて、本当に楽しい。

    SFを楽しむ上では必須の舞台の理解についても、読者がそこに至るまでのプロットが本当に見事で、SFに慣れない人が感じやすい「背景を理解しようとしているうちに疲れて飽きた」っていうことが一切起こらない。
    詳細は語らないが、物語のキーになる「三体世界」の理解も、VRのゲームという奇抜なアイディアを通して本当にわかりやすく語り尽くしている。
    ときおり現れる、ゲーム画面のテキストが醸すなんとも言えない雰囲気も、物語に没入する上で大きな役割を果たしている。
    このあたりの言い回しなど、あらかじめ計算して書いていたのだとしたら、本当にすごい。

    そんなわけで、600ページ以上もある本作、一切のストレスなく読み終えることができる。
    読み進めるごとに物語はどんどん壮大になっていくし、物語の前半で出ている謎や疑問も終盤ですべて回収されるが、この一冊で終わりなのではなくこのあと「三体Ⅱ」「三体Ⅲ」と続いていく。
    ただもう、楽しみでしかない。何ページあるかとか、そういうこと一切気にせず「とにかく話の続きを聞かせろ地球はどうなる三体はどうなる」と寝る前の子供のような興奮だけが残る。
    万人にお勧めしたいSF。SF苦手な人も是非手に取ってみて欲しい。
    その「うわっ」って思った600ページは、あっという間に溶けるから。

  • なるほど… 壮大な世界観、熱狂する人が多いことに納得。(途中ドン引きして投げだしたくなったのは内緒)
    続くⅡもちょっと興味あり。

  • 文化大革命で父を虐殺された葉文潔。

    現代では科学者が連続で自殺…
    葉文潔の娘の楊冬も…

    事件を追うナノテクノロジー研究者・汪森は、VRゲーム『三体』にたどり着く…

    ゲーム内奇妙な三体世界と現実を行き来しながら…
    人類はどうなっていくのか?

    なかなか長かった…
    物理学に馴染みがないため、頭になかなか入ってこない…

    ゲーム内の三体世界に、アインシュタイン、ニュートンと…
    パラレルワールドなのかと思ったが、そうでもない…

    環境破壊を進める人類への警告か…
    すべては三体世界の思い通りなのか…
    『虫ケラ』か…
    『一寸の虫にも五分の魂』や。

    あまりに長すぎて、入り込めず…
    続編には行くかどうかは迷う…


  • とんでもないスケールのSF小説で、書かれている事はかなり難解なんだけど、ぼんやり理解しても先に進める。
    予備知識ゼロで読み始めて、戦争とか陰謀とかの話かななんていう予想をかなり大きく越えられてて、宇宙まで行っちゃった。SFと言われると、スターウォーズを思い出すが、話の作り込みの奥深さで言えば、大きく三体が上回っている…という個人的な感想です。スターウォーズも好きなんですが。
    文庫本で読みたいという我儘のため、続きを読むのが少し先になるけど、それが毎日のモチベーションになるくらい面白かった。

  • SF界のノーベル文学賞と呼ばれるヒューゴー賞を受賞した作品ということでずっと気になっていた「三体」にようやく手をつけました。宇宙背景放射、三体問題、カオス、加速器、量子もつれなど物理が好きな人にとってはドンピシャな科学用語がいっぱい登場してワクワクした反面、あまり馴染みのない人にとってはかなり内容を追うのが大変なのでは?と感じました。前半はストーリーが全く掴めなかったが、後半からどんどん SF 色が強くなり、最後の 100 ページくらいはこんなにぶっ飛んだ内容にして大丈夫なのかと心配するほどでした。個人的には、「異常(アノマリー)」のような読後感かもしれない。(面白いのはもちろんだが、どちらかというと、こんなミステリーやSFの書き方があるのかと呆気にとられるような気分?)
    続きの展開が気になるところだが、一冊を読み切るのに非常に疲れてしまったので、もう少し時間を空けてから読むことにしよう...

  • 物語にのめり込んだ。
    寝る間も惜しんで読んだ。
    そのくらい面白かった。

  • Netflixオリジナルドラマで昨年あたり(?)から放映され、家族が観たのをきっかけに原作を読んでみようと。

    結論を言うと、最初の出だし(文化大革命)の部分は読むのになかなか進めず。。。
    ちなみに解説では、物語の鍵となるイエ・ウェンジェがこの三体に関わるルーツが記されている最初の出だしは、最初に読まなくても良いらしい…(詳細は解説で!)。

    でも中盤から終盤にかけて、ナノマテリアルを開発するワン・ミャオがゲームの『三体』に入り込む世界観、『三体』の正体をゲームの世界観にうまく組み込んだのはひたすら圧倒。
    地球外知的生命体と地球人のわたしたちが、交流する奇跡的な対話が将来的にあるのだろうか…と不思議に思いながら読み進めてました。

    読後感は、物理学・化学・天文学が全く無知でも読めるが一苦労。イメージは沸くけど、難易度が高い…と思ってしまった。
    そしてあまりにも壮大なスケール!散らばった情報を集めるのに必死(笑)

    もう一回読んで内容を深めたい…★は3.5。

  • 劉慈欣の三体シリーズ第一作。待ちに待った文庫化。

    文化大革命で父親と妹を虐殺された理論物理学者の葉文潔。彼女が連れられた研究所での出来事。
    一方現代では、科学者たちの連続自殺が噂される中で、ナノマテリアル分野の権威ワンミャオは、自分にしか見えないカウントダウンがあることに気づく。過去と現在、そして三体と呼ばれる謎のVRゲーム。世界で何が起こっているのか。

    噂に違わぬ大作。ゴリゴリのSF描写、というより物理学(?)の描写が少し難しく、普段SFを読まない人にとっては好き嫌いが出るかもしれないが、怒濤の展開で読ませる。最初の方は何が起きてるのかわからない。ミステリ的な要素がありつつ、三体というVRゲームの中での歴史上の人物の描写もあったりと盛りだくさん。ただ、中盤のある人物の切実な祈りにより、ガラリと展開が変わる。ああ、こういう作品なのかと。なるべくなら事前情報を少なくして、続編のあらすじも見ないほうが楽しめる作品。

    全編通して、見開きのページで初出の人名に、その都度ルビがあるのも非常に親切な設計(例えば主人公のワンミャオであれば、ページをめくるたびにルビがふってあるくらい親切な設計)。

  • 本の分厚さと自身の知識の浅さから読むのを先延ばしにしていたけどなんとか読み終えた、面白かった。

    話がぐいぐい進んでいくから輪郭を掴めてさえいれば知識が無くとも楽しめる。(知識があることに越したことはないけど。)
    ドラマ板とは違い三体人から見た地球人についても描かれているのが面白いところ。
    智子の章は情景が想像出来なくて、いまいち理解しきれなかった。悔しい。

    汪淼と史強が絆を深めていく感じとか、エンタメ作品としても楽しめる。

    ネトフリドラマ版を見てから読んだお陰で世界観を飲み込みやすかったのは良かった。
    まだまだ序盤に過ぎないようなのでここからが楽しみ。

  • ハードカバーで読んだのだけど、ドラマ観るにあたって、再読した。

    訳し方が上手いのかな、ボリュームがすごいのに、リズム良く読めて、しんどくならない。

    初読では、三体問題って何!?スケールがヤバいって思っていたけど、再読では、もう少し、登場人物たちの絶望と希望に触れられた気がする。

    正しさは、誰が決めるのか。
    間違えたら、死ななければならないのか。
    同じ人が人を、殺してしまえる世の中と、自分たちの発展のために、地球環境を殺してしまえる世の中は、同じと見なして良いのだろうか。

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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