- 本 ・本 (624ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150124502
感想・レビュー・書評
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劉慈欣『三体 III 死神永生 下』ハヤカワ文庫。
華文SF小説『三体』の第3部にして完結編の下巻。
スケール感には驚いたが、400年にも及ぶ人類の科学技術の進化の記述は正直には言って難解だった。本当に人類が人工冬眠を自在に操り、光速に近い速度で宇宙を移動する時代が来るのだろうか。
意外にも静かな結末であったことに驚いた。
三体世界からの地球侵略の危機は去り、人類は限りない未来を追求する。
残念なことに最後まで三体人は姿を見せることはなく、三体世界が地球に送り込んだアンドロイドの智子が人類と接触するだけだった。
本体価格1,100円
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2024年ギリギリで読了!間違いなく今年を代表する本のうちの1シリーズ。SFはほぼ初めてだったけれどこんな面白いとは。
個人的には2巻がいちばん面白いのピークだったけどこの終わり方も悪くないかな。
正直理解が追いつかないところも多々あったけど、それを超える怒涛の面白さを体験できた。最高だった、その一言に尽きる。 -
『作者は、宇宙とSFに、想像力を振るう余地がまだあることを教えてくれた。』(本書帯より)
ものは言いようですね。要は作者の知識と空想の大風呂敷。詰め込みすぎ!何でもあり!ツッコミどころ満載!
間違った決断と逃避を繰り返す主人公にも辟易。
せっかく黒暗森林があんなに面白かったのに残念です -
待ちに待った三体完結編は、上下巻合わせて1200ページの大ボリューム。
前作で羅輯(ラオジー)の活躍で三体艦隊とはある程度の折り合いついちゃったんじゃないの?
もうこんなに鮮やかにまとまっちゃったんだから、これの続きあるとしたら銀河系を脱出しようとした艦隊が寝返るみたいな展開しかなくない?
なんて安易に考えながら迎えた本作。
とてもじゃないけど、私の貧困な想像力が予想できるようなものではなかった。
空間も、時間も、スケールが違った。
本作は前作よりも数十年後、三体に地球を侵略させないための抑止力をもったある程度平和な時代で活躍していた女性科学者の程心(チェン・シン)が主人公。
彼女にほのかに恋心を寄せていた雲天明という末期の病を抱えた男性。彼がひょんなことから大金を得、その使い道として宇宙の彼方にある星(キャンペーンで売ってた)を買って程心にプレゼントをし、そして自らは安楽死を選び人生を安らかに終えようとする・・・というところから物語が始まる。
ここまでが、ジェットコースターの最初の登坂。ここから先、このコースターが坂を下りだしたらもう止まらない。
上巻からして感想として語るには多すぎるくらいのエピソード群。多くは語らないけど、まあ三体また悪くなっちゃうわそうかと思ったらなんか愛おしくなっちゃうわ、そしてそのスピードの勢い余って違う次元にまで突っ込んじゃうわ。
うわうわうわうわって思っていたら、宇宙の彼方で脳みそだけだと思っていた人と邂逅するわ。
なんのことかわからないでしょう。読んで欲しい。
そしてこのスピードのままどこまでいくのかと思いながら下巻を手に取れば、まさかのおとぎ話からスタート。
若干拍子抜けの気分になったと思えば、実はこれがまたジェットコースターの登坂。
ここから猛スピードに下る。下る下る。下巻のスピードはすさまじい。
アーサーC・クラーク、フレデリック・ブラウンのスケールから「ディアスポラ」のイーガンのスケールを大きく超えた広大長大なスケールで物語が展開する。
アニメ「グレンラガン」のクライマックスで銀河を掴んで投げるシーンがあったけど、あの荒唐無稽さにすべて理屈をくっつけた感じ。
とにかくスケールがでかい。
ただ、このスケールをの大きさを描くにあたって、きちんとそれを実現するための理論が記述されており、その部分は意外とハードに仕上がっている。
前二作もハードSFの部類に入ると思うのだけれども、それでもまだ一般的に受け入れられるレベルだった。
しかし今回はちゃんとハードSFしてしまっているので、読む人は選ぶかも知れない(後書きにも、それを意図して書いたとの記述)。
しかしそれでも、よくわからない部分はすっ飛ばしてしまってでも、SFに馴染みのない人にも読んで欲しいと私は思う。
多くの人が、映像が一番情報量が多いと思うでしょう。
「惑星が爆発する」というシーンを描くとき、多分多くの人は頭の中で「ドーン」という爆発イメージを思い描くと思う。
それを踏まえた上で、本作での惑星が爆発するシーンを読んで欲しい。
一つの惑星が爆発し、死の星になるまでを描いた凄まじい臨場感。それをテキストで実現するこの筆力。
ある物体が、まさに別の次元に取り込まれる息をのむ瞬間。読者の息をも止めさせるこの筆力。
文章が持つ無限の力のようなものを垣間見させてくれる。
想像力と筆力が組み合わさったときの力というものを嫌というほど味わわされる。
私の筆力が足りないので、私の感動をすべて伝えることができない。
なので是非、読んで欲しい。
一作目から本作まで合わせて2766ページ。
この時間は本読みにとっては決して無駄にならない。 -
葉文潔がすごく懐かしくなるくらい、物語がとんでもなく広がってSF初心者には難しいところの方が多かったけれど、下巻では雲天明のプレゼントにキュンとした。読み終えることができて良かった。
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三体これにて終わり!
長かったけど非常に楽しかった!
Ⅱでかなり綺麗に完結していたように思えたので、これどう続くんだろう?と思ってたけど杞憂でした。
Ⅱ以上にスケールでかくてとんでもない展開!
今まででいちばんSFしてて難しかったけど、純粋に楽しめました!最高です。最後の方は難しすぎてよく分からなかったですけど。
三体ロスだ〜 -
三体。最高のエンタメだった。
壮大。壮大。壮大。
ただ唯一の不満はラスト。
ここまでの壮大なストーリーの最後をわれわれの想像に任せる(私はそう感じた。)といった展開は不完全燃焼であった事は否めない。
しかし、登場キャラクターが多いにも関わらず、掘り下げも程よいバランスを保ち、先の読めない展開から各最終節では見事な回収を行うなど、エンタメ性のみならずストーリーの構成も素晴らしかった。
2024年度最高の傑作である事は言うまでもない。
人類史の中でも恒星の如く力強い輝きを放つ作品であることもまた、言うまでもないだろう。 -
1から3までよくこんな壮大さを続けられたなとただただ感動。
でも500ページくらいから最後までが何が何だかよくわからないまま終わってしまった。 -
三体三部作の完結編。
文化大革命から始まった話がまさか宇宙の終焉まで描く壮大な年代記にまで広がるとは・・・
一作目の「三体」が売れるのはまぁ判るが、三作目の「死神永生」はゴリゴリのSF、しかもどちらかというと奇想系・トンデモ系といって良い内容。ロートルには絶対一般受けする訳ないと感じてしまううが、これが書店で平積みされてベストセラーになっているのだから不思議な話。時代は変わったのだなぁ。
三部作の中では本作が一番面白かったというか好みであった。細かい部分でご都合主義だと感じたりアレっと違和感を感じるところもあったけど、とりあえずその発想がとんでもない。バリントン・J・ベイリーの「時間衝突」のアイデアにも驚いたけど、本作はそれを遙かに超える衝撃。島田荘司の奇想ミステリに近い感じだろうか。
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