ゴルゴン―幻獣夜話― (ハヤカワ文庫FT)

  • 早川書房 (1996年2月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (369ページ) / ISBN・EAN: 9784150202170

みんなの感想まとめ

幻想的な幻獣を題材にした短編集は、単なるおとぎ話とは異なり、背筋が寒くなるような緊張感や、心に残る深い余韻を提供します。特に「ゴルゴン」をはじめとする作品群は、視覚的な美しさと同時に、時にはアイロニー...

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の「ゴルゴン」が幻想短編の受賞作というのが腑に落ちない思いが以前あり……このたび読後に反省。「それ」を目撃することは幻想文学の作家には致命的な一撃かもしれない。それは恐るべき提起かもしれません。が、そこで終わるなら終わりじゃないかという気持ちです。もっとも、短編集を俯瞰すれば、集全体としての印象はあるでしょう。ゴルゴンの目に石化するような一点から、あるいは機智や、しょうもないダジャレ、真底からの怒り、優しい許し…

    13年後の『水底の仮面』でもこの仮面テーマは再来します。このたびまとめて読み返しているところでは、「タニス・リーの話ならこれで終わらず、話はここから始まる」という思いはあると思います。
    (追記)タニス・リーのデビュー作『The Birthgrave』(1975)を読んでいるかいないかで印象が変わる作品で、わたしは上のコメント時では読んでいませんでした。その比較だと非常に面白い「小説家の幅」を見ることができます。90年代以降リーは作家業への姿勢自体を変えているようなのですが、その契機のように見えたりもする。なかなか現在の邦訳状況では読み尽くされていないようには、後でまた思いました。

  • 目次
    ・ゴルゴン
    ・アンナ・メディア
    ・にゃ~お
    ・狩猟、あるいは死――ユニコーン
    ・マグリットの秘密諜報員
    ・猿のよろめき
    ・シリアムニス
    ・海豹
    ・ナゴじるし
    ・ドラコ、ドラコ
    ・白の王妃

    毎日一緒に高校へ通ってた友だちが、「私タニス・リーって結構好きなんだよね」と『闇の公子』を貸してくれたのですが、ばりばりリアリストのその友達がファンタジー色の強いその本を貸してくれたことがよほど意外だったのか、何十年たってもタニス・リーと聞くと彼女を思い浮かべてしまいます。

    この短編集は幻獣が出てくるくらいなのでやっぱりファンタジー色は強めですが、心の中で勝手に作り上げてしまう幻獣というのもあるので、それはちょっと現実寄り。
    宇宙人が幻獣に含まれるかは判断の分かれるところだと思いますが、それらも含めて、作中人物たちは幻獣に惹かれますが、必ずしもあこがれというわけではないところがミソ。

    不穏な雰囲気を感じたり、明らかに異臭や見たくないものが見えてしまうのに、目を離せない、そういう惹かれ方。
    愛ではなく業のような離れがたさ。
    だから、どれもダークな気配に彩られているといえるでしょう。

    『アンナ・メディア』や『にゃ~お』はホラー寄り。
    比較的愉快だったのは『猿のよろめき』。ばかばかしくて好き。
    母親としてこわいなあと思ったのは『マグリットの秘密諜報員』。
    手放すために育てるのが子育てと言えば言えるけど、そっちに手放すの?って。

    ユニコーンと、それに捧げられる処女(乙女)と、彼女を救うべく現れる若者。
    この3者が複雑に絡み合う運命というか、運命に囚われた時点で同一となってしまったというか、難しい命題が突き付けられる『狩猟、あるいは死――ユニコーン』。
    運命って無情。

    すてきな王子さまと美しい姫の出会いにねじりが加えられ、呪いとなってしまった『白の王妃』。
    おとぎ話のアンチテーゼとして、実に鋭い痛みを伴う作品。
    でも、最終的にはハッピーエンドなのかなあ。

    全体的に解釈が難しくて、それほど長くない作品ばかりなのに、時間がかかってしまいました。
    これも老化の一種でしょうか。

  • 数年かけて読了。
    ユニコーンの話と、車いすの青年の話が印象的だった。

  • 古書購入

  • ロマンティックで味わい深い文章だが、作風が自分には合わなかった。

  • 幻獣を主な題材にした短編集。
    とはいっても、夢見がちなおとぎ話などではなく、背にひやりとしたものが這うような話であったり、胃の下のあたりにいつまでも残るような話であったりもする。
    決してこの手につかむことのできない美しいものを目の当たりにした時のように、恍惚とわずかな絶望感にとらわれながら読むこの快感。
    文章的な美しさはもちろんのこと、「白の王妃」や「ドラコ、ドラコ!」のようにアイロニーたっぷりのミステリめいた話も面白い。
    時折読み返したい、満足感のある一冊。

  • 世界幻想文学大賞を受賞した「ゴルゴン」を含む幻獣たちの短編集。 かなり昔に読んだので、時間さえあれば再読したい作品の1つ。 

  • ファンタジー短篇集。

    中学のときに高校受験の休み時間に読んだ覚えがある。

    たぶん、ゴルゴンというファンタジー色いっぱいの表題と、
    天野喜孝のカバーに惹かれて、何も考えずに買ったと思う。

    その実、中身は夢と冒険のファンタジーと程遠く、
    大人向けの深淵な世界観がある話ばかりだ。

    久しぶりに読みたくなったので、
    amazonで見てみたら中古が10円で購入できた。


    ゴルゴンが住むという孤島に興味本位で
    降り立った男の立場を借りて話が進む。

    島にゴルゴンは本当にいるのだろうか。

    少なくとも言えるのは
    この話は「見るものを石に変える」というゴルゴンの魔力をまとっていて、
    読む者の柔く未熟で脆い部分を確かに石化させる。

    ゴトリと腹の中に異物感を感じさせるような読後感には
    後に引く魅力がある。

    短篇集の中にあって「ゴルゴン」は頭一つ抜けた面白さがあるが、
    どの話も独自の雰囲気があって面白い。

    再読にあたってとくに、
    「ドラコ、ドラコ」
    「白の王妃」
    がとても良いと感じた。

    「ドラコ、ドラコ」はファンタジーの定番ドラゴンが登場するので、
    テーマだけでゲーマーとしては心踊るのだが、
    フタを開けると見苦しい歯車がまわる舞台裏を除くような話。

    「白の王妃」は白と黒のシンプルな色彩描写と
    人間の業と終焉についてが短い話にまとめられている。

  • 幻想の中にある残酷さが美しい。加藤俊章の表紙と挿絵も作品の雰囲気に合っている。

  • タニス・リー版、幻獣をモチーフにした短編集

  • 短編集。ネコ関係の話は2話。

  • 私の好きな耽美度は平たい地球シリーズの方があるのだけど、表題作の耽美じゃない美しさ、怖さは忘れられません。

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