血のごとく赤く―幻想童話集 (ハヤカワ文庫FT)

  • 早川書房
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本棚登録 : 205
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150202323

感想・レビュー・書評

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  • いままでにも童話を焼き直したものを読んできましたが、これがピカイチ。今まで読んできた名作といわれる定番童話が色あせて感じる程。正義と悪、立場は常識を覆して、でもこちらを納得させる力で入れ替わり、魔法は神聖を帯び、初恋はエロスに変わる。「いばらの森」(眠り姫)の結末や、「緑の薔薇」(美女と野獣)のSF仕立てだけれど美しい世界に息をのむ。かなり好みです。

  • グリマー姉妹こと、現代のシェヘラザード姫タニス・リーの描く残酷童話九編。原話となっているのはハーメルンの笛吹き、シンデレラ、赤ずきんちゃん、白雪姫、美女と野獣など有名な話ばかりだが、中には原話を特定しがたいほどアレンジが加えられているものもある。妖しい美と悪の香りを芬々と湛えた物語集。魔女たちの何と生き生きとしていることか。そして、加藤俊章さんのビアズリーもかくやとばかりの挿画が実に美しい。

    七人の小人が不気味すぎる白雪姫(「血のごとく赤く」)、時計という小道具を巧みに用いたシンデレラ(「時計が時を告げたなら」)、人狼譚とかけ合わされた赤頭巾(「狼の森」)の三編がとりわけお気に入り。

  • 童話などに題材をとった短編集。タニス・リーなのでもちろん昏く麗しい物語に仕立てあげられています。以下、収録作品タイトルと感想。

    「報われた笛吹き」(20190731読了)
    報われたって、そういう報われかたかーい! タニス・リーの物語に出てくる神さま(を含む人外と言ったほうが正確か)は、明らかに人間離れしていて、ありようがひとを超越しているけれどもやたら生々しい。どう表現したものか迷うけれど、敢えて一言でいうならわがままだよね~。

    「血のごとく赤く」(20190808読了)
    王子さまの正体にびっくり。姫は夜長姫を想起させて仕方なかった。タニス・リーと彼女の信仰について私は何の知識もないが、キリスト教圏のひとにしては、彼女の描く神はどこまでも異教的だと思う…この話にしてもね。

    「いばらの森」(20191019読了)
    けっこうあっさり風味。しかし終わりかたが、何というダークなリアリズムなんだ…笑。

    「時計が時を告げたなら」(20191019読了)
    息もつかせず最後まで一気読み(まぁ短編ですが)。語り手は死神なのかいっそ魔王なのか。

    「黄金の綱」(20191026読了)
    ハッピーエンドでよかった! 闇の公子って闇の公子さまなのかしら? 読みながらそればっかり気にしてました笑。

    「姫君の未来」(20191028読了)
    読んだことないから無知の想像なのですが、クトゥルフってこんなのなのかしら。もちろんこんな生易しいものではないのだろうけど…キレイなクトゥルフ? といいますか、確かに姫君は生意気だけどここまでの仕打ちで相応なほどの罪は犯してない気がします。昔話というものは因果応報ではなく、ときに理不尽であるところに魅力があるのだと言われたらそれまでなのですが。

    「狼の森」(20191031読了)
    ハッピーなの? ハッピーエンドなの!?
    女は大地に根づく。したたかな生命。ドキドキしながら読みました。

    「墨のごとく黒く」(20191228読了)
    救いがない…ように思えるのは私が強欲だからなのか。読み終えて理由のわからない鳥肌がたちました。

    「緑の薔薇」(20191229読了)
    古風で端然として薫り高いSF。
    この話が最後に配置されていることが読後の満足感を完璧にしている。先にSFと書いたが、これは訳者あとがきで書かれていたゆえの分類。個人的にはSFといっても、Science Fictionではなく、Space Fantasyでもなく、Sur-fantasyとかではないかなと。
    ある意味とても残酷で、極めつけに美しい。そんないつかの地球で綴られた異形の物語の幕引きであり、この1冊の本に連れられて異界を堪能させてもらった舞台もこれにて終演。


    訳者あとがきによりますとハッピーエンドは9篇中2篇とのことでしたが…、どれがそれなんだろう? 2篇以上あるように読めてならない笑。
    ひさしぶりにタニス・リーを読んだらまた平らな地球シリーズを読み返したくなりましたが、とりあえずは積読の消化を頑張らないと!(でも読んでも読んでも減るどころか増えていく一方です)

    挿画の加藤俊章氏は、私の記憶が確かなら「邪龍シリーズ」(新田一実)や「神狼記」(斉城昌美)の挿画も手がけられたイラストレーターさんだったはず。あの頃からとても好きなイラストレーターさんだし、タニス・リーの物憂げな古色蒼然たる世界にとても合っていて心地よく世界に没入することができました。

  • 古書購入

  • かなり昔に完読。
    タニス・リーの作品は、長編も短編も焼き直したこの童話も見事に読ませてくれた。

  • ハーメルンから、白雪姫、白鳥の湖に美女と野獣、
    アラブっぽいのから中世ヨーロッパ、近代、SFまで幅広く耽美に割りとブラックなパロディ集。

    個人的には、狼の森が好きかな。
    キリスト教的な感覚はかなりあって微妙に気になる。

    イラストとか挿絵がすごい好みだった。

  • <ダーク・ファンタジーの女王>タニス・リー流の童話集。『パラディスの秘録』シリーズを紐解く前に何か…と思って。結果、タニス・リーへのとても良い入口になった。

    『報われた笛吹き(ハーメルンの笛吹き男)』『血のごとく赤く(白雪姫)』『眠り姫(いばらの森)』『時計が時を告げたなら(シンデレラ)』『黄金の綱(ラプンツェル)』『姫君の未来(蛙の王様)』『狼の森(赤頭巾)』『墨のごとく黒く(白鳥の湖)』『緑の薔薇(美女と野獣)』の9編。

    元ネタのイメージを逆転させて、もっと美しくてずっと執念深くてぐっと皮肉を効かせた、(あとがきによると)「悪魔のように美しい」おとぎ話。
    どれも好きだけど、今回特に好みなのは『血のごとく赤く』『時計が時を告げたなら』『狼の森』『緑の薔薇』かな。
    『緑の薔薇』は、醜い野獣だと思われていた異星人が本当はとても美しい神の様な生物であったことで、自らの醜さと精神の愚かしさを受け入れなければならない…というのが本当に素敵。
    なんて皮肉で怖ろしい反転!

  • ラスト2篇、特に『緑の薔薇』がいい。

  • タニス・リーの童話においては、母と娘は邪なたくらみにおいて結託する。
    隠微さと、血のイメージの美しさを堪能。
    「黄金の綱」「狼の森」が好み。

    ことに「黄金の綱」では、“手首から飛びだす”“真紅の蝶の帯”、“真紅の紐”という言葉にクラクラさせられる。

  • 童話をモチーフに練り直した物語で、これほど妖艶で危険な魅力に満ちたものには、なかなかお目にかかれない。1つ1つの話を味わうごとに、ひんやりとした暗い情熱が馥郁たる香りをともなって口の中に広がるようだった。

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