モンゴルの残光 (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (1973年3月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784150300050

みんなの感想まとめ

歴史改変をテーマにしたこの作品は、1960年代のSFとして独特な魅力を放っています。物語は、元の時代にタイムスリップした白人の主人公が、歴史の流れを変えようと奮闘する中で、次第にその世界に溶け込んでい...

感想・レビュー・書評

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  • 1960年代のSF作品。元帝国を舞台としたタイムスリップもの。ちょっと読みにくいところはあったが、物語はとても面白かった。

    時は、蒙古人の建てた帝国元が世界を席巻し、黄人が支配階級として君臨するアナザーワールド(この世界では、鎖国していたのは英国で、第二次世界大戦の枢軸国は朝鮮、満州、英国の三国同盟…)の成吉思汗(ヂンギスカン)紀元811年。虐げられた白人たちが、反政府活動を行う地下組織、黒耶蘇。その黒耶蘇に工作員として拾われたシグルト・ラルセンは、歴史の流れを変えるべく、タイムマシン刻駕を奪って元の時代にタイムスリップ。星卜刺(シンボラ)として、勇猛な王子、武宗海山の信任を得て引き立てられ、国政に影響を与えるようになり。次第にミッションを忘れていくが…。

    星卜刺が図らずも歴史を変えてしまったその理由はなかなか凄かった。海山に砂嵐の到来を予言した星卜刺が、疑いを避けるため、あれは予言したのではなく、喇嘛(ラマ)僧の話を立ち聞きしただけだと誤魔化したことが、「戦いに生甲斐を見出だした勇猛な王子の心に」、「いつしか安定した超自然的な力を求める気持」を惹起してしまい、喇嘛教にはまり、荒淫と酒毒に蝕まれる遠因となった、というもの。

    結局、星卜刺が変えた新たな歴史は、「白人と黄人の立場を入れ替えた裏返しの歴史」に過ぎなかった、というオチも奇抜。

    著者のあとがき、イデオロギー的に強烈過ぎてちょっとなあ(まあ、昭和40年代という時代のなせるわざかもしれないが)。素直に面白く読めたSFだったのに、変にイデオロギーの色をつけてしまうと、面白さ半減。なので星四つ。

  • 何度目かの再読。小前亮「蒼き狼の血脈」「中原を駆ける狼」、杉山正明の何冊もの著書に導かれ。40年以上前に書かれた、成吉思汗紀元811年の黄人支配の世界から、白人優位の歴史に改変するため送り込まれてきた白人のシグルト。黄人支配の世界を作りだすきっかけとなった、カイシャンの生きる時代にたどりつき、その弟アイユルハリバトラとあわせ、その人間的魅力、英邁さに心惹かれ、元の世界では得られなかった人間的尊厳、精神的充実を得て、次第に元代に溶け込んでいくが、自分の無意識な行動が歴史のかじを曲げ、さらに別のタイムパトロールからの一言が、当初の使命にめざめさせ、結局はカイシャンもアイユルハリバトラも失うことになってしまう。再びタイムマシンで改変なった世界を見に行くが、そこは王道楽土ではなく、単にもとの時代の黄人、白人の立場を入れ替えただけのものだった。憤激し、自分の役割をもとに戻そうとするも果たせず、と。歴史とは、確固とした流れのあるものではなく、ふとした切っかけ、偶然のつみかさねでいかようにも動く可能性のあった不確かなものであることが、繰りかえし語られる。裏返しに見ることにより、得られる視点も興味深い。/アイユルハリバトラは人種にとらわれぬ広い視野を持ちつつも、周囲が蒙古人中心主義に凝り固まり、自分との間に溝ができつつあることに気づけなかった。/「喇嘛の神通力は広大無辺じゃ。阿闍如来の化導教化により、過去未来の森羅万象は、自ら明らかである。このことを心しておけよ」/

  • 2010/1/22購入

  • 歴史改変モノの巨峰.これは21世紀になった今,ハリウッドで映画化したらいいと思うのだよなぁ.
    風景もちょうどフューチャー・チャイナだし,主人公も白人,それに中国時代劇スペクタクルなので,非常に今風に仕上がると思うのだ.

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著者プロフィール

1938年、群馬県生まれ。島根県立大学名誉教授。若くしてSF小説界にデビュー。歴史小説や社会評論など幅広い分野で執筆活動を続ける一方、古代日本史を東アジアの流れのなかに位置づける言説を展開して活躍。著作には数多くの小説作品の他、ノンフィクション作品として『たのしく老後もはたらく生き方』(ビジネス社)、『ヤマトタケルの謎-英雄神話に隠された真実』『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 いかに誕生し、進化したか』(いずれも祥伝社新書)などがある。

「2023年 『不思議の国 ニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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