EXPO′87 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (1973年6月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784150300128

みんなの感想まとめ

テーマは日本経済の歪みや万博を背景にした欲望の絡み合いで、読み応えのある長編作品です。登場人物の成長や、架空の設定である産業将校が物語の中心となり、過去の技術や社会の状況がリアルに描かれています。特に...

感想・レビュー・書評

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  • 1970年の大阪万博前に書かれた、架空の1980年代後半の日本を舞台としたSF。そこでは、東海道万博の開催が企画され、最初は万博をめぐる企業間の争いと思いきや、万博推進派と万博反対派のぶつかり合い、外資と日本勢の産業対決、日本の産業を牽引する異能の若手集団みたいな話にまで広がり、発想は面白かった。60年近く前にこんなこと考えてた人がいたとは。実感装置=VRなど現在では実現してるようなこともあるし、圧縮した記憶を睡眠時に急速に取り込む装置など今も実現してないこともある。そういうところも楽しめた。あと、想定より約20年後に、同じ土地を舞台に愛・地球博が開かれたが、もちろんまったくの別もの。けど、今から振り返ると見通してたみたいで面白い。◆「人々がだまされていたことに気がついたときにはもう遅いのだ。人間の自由はなく、自由な思考もなく、思考は社会のためのものしか許されない時代になっているのだ」p.368

  •  眉村さんの作品は、今まで短いものばかり読んでいましたが、この長編は読み応えがありました。(ページ数も内容的にも。)

     以前読んだ本に出てきた『産業士官候補生』が、卒業して産業将校になり、ストーリーの中核となって進んでいくのも面白いところです。(ほかに、パイオニア・サービスの無任所要員などという単語も出てきて思わずニヤリ。)

     日本経済の歪みと万博を利用した様々な欲望の絡み合いが、読んでいるうちに現実の世界と区別がつかなくなりそうですが、幸いなことに、'08になった今も、眉村さんが描いた'87ほどにはひどくなっていない(はずです)のが、救いです。

     話の中心にある実感装置もさることながら、
    P.160 (音声タイプを使えば手で書く場合の七倍ちかいスピードになる)

    という音声タイプや、立体テレビが興味深いです。おなじみの映話は、現実になっていますが…。

     SFとして書かれたものに、少しずつ時代が追いついてきて、新しい読み方、楽しみ方が出てきたように思います。

  • 書棚に眠っていた本を読み返す。これが千里万博以前に書かれた作品だというから驚く。産業将校は架空の設定だが、あの頃の通産官僚とかメーカーの技術者にはそれに近いものがあったのではないか。眉村卓といえば組織SFみたいな感があるが、この頃から既にそうだったのですね。

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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