戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (1984年2月28日発売)
4.07
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150301835

感想・レビュー・書評

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  •  星雲賞受賞も納得の超傑作。1章を読んだだけでも、雪風の戦闘シーケンスの描写やブーメランのくだりなどうまいし、ぞくぞくするしで完璧。
     この著者は戦闘シーンの描写とかめちゃ理系の人だという感じだけど、かなりの小説巧者でもある。新谷かおるの戦争物みたいな感じから、機械対機械という戦争の図式が明らかになってくる過程の構成力もそうだし、「フェアリィ・冬」や「戦闘妖精」のラストなど小技も効いてる。
     最後の雪風がFRX00に自分のシステムを転送するシーンなんて、まあ確かにラストはこの方法しかないという気もするけど、SF者&戦闘機者である俺にとっては最高。「あなたの魂にやすらぎあれ」とこれと、ただいま連勝中。次は海賊だ。

  • 南極大陸の一点に突如出現した未確認戦闘機。それは、人類と異星体ジャムとの長く壮絶な闘いの前兆だった。反撃を開始した地球防衛軍は、ジャム戦闘機を追い、地球侵略用超空間通路を通り抜け、惑星・フェアリイを発見する。やがて、ジャムに対抗するため前哨基地がフェアリイに設営され、高度な電子頭脳を搭載した戦闘機シルフィードが配備された。さらに、未知のジャムを探るべく、遊軍機を見殺しにしてでも敵の電子情報を収集し、帰投することを至上命令とする戦術戦闘電子偵察機〈雪風〉が投入される。はたしてジャムの目的は何なのか?
    (1984年)
    — 目次 —
    FAF・特殊戦隊
    Ⅰ 妖精の舞う空
    Ⅱ 騎士の価値を問うな
    Ⅲ 不可知戦域
    Ⅳ インディアン・サマー
    Ⅴ フェアリイ・冬
    Ⅵ 全系統異常なし
    Ⅶ 戦闘妖精
    Ⅷ スーパーフェニックス

  • 20年以上ぶりに再読。アニメ化されたり、フィギュアが出たり、とりまく状況は予想もできなかったくらい変化したけど、自分の中ではこの表紙の機体とパイロットが雪風と零。

    主人公を含めて、目の前のやるべきことをやるだけ、お偉いさんの思惑なんか知ったこっちゃない、という感覚が異様に理解できるようになった自分に驚愕。

  • あぁ面白かった。愛機雪風に絶対の信頼を寄せるパイロットの零。でも雪風は次第に人間を必要としなくなっていた。コンピュータのゴースト的な物についても想いをめぐらせたし、敵対する生命体、ジャムの目的は人ではなくコンピュータだった皮肉も気に入った。戦闘シーンも他の小説だとしばしば冗長に感じるけどこれはテンポよくイメージが浮かんできてひたすらかっこよかった。ストーリー以上に雰囲気というか魅せ方がいい。〈改〉の方はどの辺が変わってるんだろ。気になります。

  • はじめは正体不明の敵が不気味だったが、後になるほど雪風の不気味さが増してくる。この構成が大変秀逸。
    なんといっても戦闘機のマニューバがここまで写実的に表現された文章がすごい。空戦シーンには文句なしの臨場感がある。

    あと大事なことだけど、改じゃないから「むは」が読める。

  • ただの人工知能を持った戦闘機じゃない

  • 和製SFの名作。
    異星体ジャムと戦う超国家軍FAF。中でも「戦場に出ても戦わず、全てのデータを収集し帰投する」事が目的で、その為には味方を見捨てることも厭わない特殊戦隊のパイロット、深井零が主人公。
    それぞれ独立した短編が、全体で1つの物語になっています。

    人間とはうまくコミュニケーションが取れず、搭乗機雪風だけを信頼する深井零は、徐々に自立していく雪風に裏切られた思いを味わい、ラストで本当に裏切られ、衝撃を受けながら意識を失います。
    もちろん雪風はあくまで任務を完了させただけで、裏切りなどとは考えません。全編通して零の雪風への愛着が沁み渡っているだけに、ラストの無人で飛ぶ雪風の帰投通告は、かっこいいんですが、読んでいる方に虚無感さえ与えます。

    FAFの中での確執、戦争の存在を忘れかけている地球と最前線の深い溝、いまだ覇権を争う国々、名声を求める人々。複雑で緻密な背景に、さらに正体も侵略目的も不明なジャムが影を落とします。

    このシリーズ、ずっと続いてほしいなあ。

  • 異端の重要性を知った作品。

  • なんでイメージが無いの……。 <改>の方も持ってたけど購入。ただのむは目当てです、はい。

  • 久々にハードSFを読んだが、なかなか楽しめた。
    ブツ切りの文体で、それによってスピード感を出しているが、読みにくくはなかった。
    なにか「エリア88」に近い印象だな。
    雰囲気としては。

    この巻では結局結論が出ていない部分もあるが、この時代(1979年)これだけの設定と世界観を、切れ味鋭く表現できているのはすごいと思う。
    良作。

  • 昭和59年のハヤカワ文庫。定価400円と書いてありました。さすがに文字が小さいなぁ。

  • 最初は「SFだと思って読み始めたのにガチガチ戦闘機モノ…」とか思ってたけど、零と雪風の関係、ブッカー少佐との会話、そしてジャムの戦略など、背景が見えてくるにつれてどんどん引き込まれていった。ラストもハッピーじゃないけど考えさせられるものだったし、機械対人間の話としてユニークな解釈で興味深かった。しかし、やっぱり戦闘の描写とかはヲタ発揮しすぎだしw(機体の概説まで付いてる…)、30年戦闘しててこれしかわかってないのかとか、結局アレは何だったの…、みたいなのも多めだったのが個人的な好みとはズレがあった、かな。

  • 私はあまりSFを読みなれていないので、世界観を飲み込む導入部分でかなり時間がかかってしまうことがしばしばでした。
    ですが、本作は専門用語も多いにも関わらず、かなりスムーズに読み進めることができました。

    そして内容も非常に面白かったです。
    未知の敵ジャムとの闘争も、その狙いが明らかになるにつれ、背中に水をたらされた様なおぞましさ、不安感に襲われます。それがまた巧みな構成で描かれています。

    普段SFをまったく読まないような人にも是非読んでほしい作品です。おすすめ。

  • 改訂版も出ているようだが、まずはオリジナル版で読了。非常にハードなSFで、概念的な部分を楽しんで読めたこれまでの神林作品とは異なり、戦術用語・工学用語がストーリー的にも重要な位置を占めているので、読むのに少々苦労した。が、読み進める内、加速度的にストーリー展開に完全に引きこまれ、用語の壁を感じなくなる。物言わぬ無機物だからこそ「信じられるのはお前だけ」という愛情と信頼を愛機≪雪風≫に寄せるパイロット・深井中尉。しかしその愛情は相手が無機物だからこそ一方通行で…。
    人間によって人間のために生み出された機械だが、機械それ自身の「生存」のためには必ずしも人間は必要ではない。高度な知能を与えられ人間に愛される機械であるほど、その結論は明白で、機械と人間の思いのすれ違いは大きくなっていく。「あなたの魂に安らぎあれ」のテーマとも繋がっているが、完全なる“メカ”が相手である今作には、相手がアンドロイドだった「あなたの~」とはまた違う雰囲気がある。
    登場アイテム的にもストーリー的にもメカニカルな題材ばかりの話なのに、「機械のよう」な深井中尉の雪風への愛と執着があまりに人間的で、読後感はセンチメンタル。深井中尉とは対照的な、情にとらわれず羽ばたいていく雪風の冷たい美しさも印象的だった。

  • 戦闘機のデザインに惹かれてOVAをパケ買い。
    アニメ版では人物、人間関係の描写を物足りなく感じ、原作購入。

    素晴らしい作品です。

    ☆5でもいいんですが、これ一冊は猛烈な勢いで神林さんの世界に投げ込まれたまま迷子になってしまうので、好意的に一つ下げました。
    もちろん続編2冊も購入済み。早く届いてくれ!

    まず世界観がきちんと成立している点を高く評価します。
    才能というのもあるんでしょうけど、とにかくよく考えて練ってある。
    SFでありがちな読者放置の暴走ストーリー展開をせず、しかし所々意表を突くような大胆なうねりを加えて、こりゃよくできてるなと驚きました。

    戦闘用語連発でテンション上がります。泥臭い人物描写もさすが。

    純文学好きとしてもオススメできます。

  • 今、現在でもパソコン(電子頭脳)を依存した世界になっている。パソコンが今、使えなくなったら人間はどうするだろうか。もうパソコンが反乱したらどうするだろうか。そんなことを読みながら思った。

  • ランクが4なのは(改)が出てるから。

  •  高校時代に先輩から借りて読んだ本。雪風をモチーフにしたシミュレーションゲーム(PCではない)を作れないかと思ったりしたものだ。
     人間が戦っているはずだったのに、相手も、そして自分の側も人間の存在があたかも邪魔者であるかのようになっていく。どきどきしながら読んだのを思い出す。

  • 想いは報われるはずだとか、生きていることにはそれだけの価値があるとか、証明してくれることを無自覚に期待していた。だけど救われない。明確な結末さえ与えられない。そして優しい。言葉少なに重要なことだけを伝えようとして、結局黙ってしまうような優しさ。それが苦しくって、でも離れがたくって中毒症状を起こしたようになる。ああ、だから雪風中毒ってあちこちに居るんだ。なるほど。

  • もう一つ前のヤツ?は見つからないになってしまうので…。

    どっちかというと改訂前の方がオススメかな…。
    フリップナイトとの戦技訓練前の会話が
    古い方がスマートという気がするので。

    新しい方は…蛇足じゃないか?と思う部分があって気になる…。

    ところで、古い方の表紙画像も欲しい…。
    NO IMAGEは悲しい所だ…。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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