- Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150302153
感想・レビュー・書評
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SFばかり読んでいた学生時代に、鮮烈な印象を受けた本。数十年ぶりに再読し、昭和のSFの良さを再認識した。
主要人物について、ここに至るまでのエピソードや人となりなども、もっと書いて欲しかったと思う一方、それなしでも感情移入できるのはさすがだし、SFとしての枠組みがしっかりしていて、読み応えがある。
三部作になっていたのは不覚にも知らなかったので、これから他を読むのが楽しみ。 -
お、おおお、おもしろかった…!おもしろかったし夢中で読んだんだけど。一番の感想は「既に似たような設定があるとかなんとか、そういうのは全てどうでもよろしい。文章のすすめ方が好きなんでしょ。世界を描く言葉が好きなんでしょ。」ということ。あぁとっても気持ちいい。火星三部作、続きも読みましょう…
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図書館で。絵の表紙でしたが。
有機物で生命体を作った場合、その生き物はどの時点からモノでヒトでは無いのだろう?と言う哲学的な事を考えさせられました。クローンはどうなるんだろう?受精卵を無機物から作成出来た場合、人はその生物をモノとして考えるんだろうか。非常に難しい問題です。
そして救いとは何か。色々考えさせられました。すごいSFだなあ。 -
初めて読んだ神林作品がこれ。
人間の価値って何なのか、魂が器に収まっていれば、それはもう人間と呼んでいいんじゃないか。
自分の存在の在り処を考えさせられた本。
読み始めは、ガマンが必要(笑)
頑張って読み進めると、もう抜け出せない。
その後、神林の本を読み漁りました。 -
神林氏の単行本二冊目にして長編第一作、実は初読。汚染された地上に住むアンドロイドと、彼らが生み出すエネルギーを利用して地下で生きる人間たちの物語……と書くと、ごくありきたりな設定のごくありきたりなSF作品のようだが、リアルで緻密な科学技術設定とリアルで切ない登場キャラクターたちの感情が同居する神林作品は、やはり「ありきたり」では終わらない。硬派で王道な“サイエンス・フィクション”なのに、そうした理系の理論ベース上に、繊細微妙な文系の世界――まさに“文学”世界が広がっているこの持ち味が本当に好きだ、と再認識。
「人間」の生きる目的、「人間」を「人間」たらしめているものは何か? アンドロイドという異種生物(バイオ体なので実際に「生物」)と比較せねばそれは見つけられないものなのか? 読後感は切なく、でも新しい世界への期待にも満ちている。批判すべき点はあっても悲観すべきではない、終末が来てもその先に新たな始まりがあるという姿勢で世界に臨む神林作品の目線は、作品世界がどう展開しようともタイトルの祈りの言葉通りにあたたかい。“SFとして”というジャンル分けは不要な傑作だと思う。 -
3.97/761
内容(「BOOK」データベースより)
『核戦争後の放射能汚染は、火星の人間たちを地下の空洞都市へ閉じ込め、アンドロイドに地上で自由を謳歌する権利を与えた。有機アンドロイド―人間に奉仕するために創られたそれは、人間のテクノロジーをひきつぎ、いまや遥かにすぐれた機能をもつ都市を創りあげていた。だが、繁栄の影では、ひとつの神話がアンドロイドの間でひそやかに伝えられている。「神エンズビルが天から下り、すべてを破壊し、すべてが生まれる…」果して破壊神エンズビルは本当にあらわれるのだろうか?―人間対アンドロイドの抗争を緻密なプロットで描く傑作!』
冒頭
『夢からさめると別の夢の世界のような気がする。秋川誠元は暗い天井を見つめてまばたきした。
寝汗をふくためにシーツを引くとかたわらの絹子が寝ぼけた不満の声を出した。誠元はため息をついて寝返りをうつ。
どうやら夢の世界から無事に帰ってきたらしい。火星の、破沙空洞市の、小さな家、妻がひとり、息子がひとり、そしておれはやがて起き、朝食をとり、牛乳工場に仕事にゆく。』
『あなたの魂に安らぎあれ』
著者:神林 長平(かんばやし ちょうへい)
出版社 : 早川書房
文庫 : 399ページ -
『あなたの魂に安らぎあれ』『帝王の殻』に続く「火星3部作」完結篇。
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電子版で再読。
繰り返し読んでもめちゃくちゃ面白い。
登場人物多め、かつ色んなキャラクターの主観で物語が紡がれていくんですが、場面転換多くても混乱しないしぐいぐい読めるので、SFは世界観とか設定とかちょっと難しそうと思ってる人にぜひ読んでみて欲しい1冊です。 -
雪風と敵は海賊しか読んでいなくて積読していた神林長平を読みはじめ、プリズムはなかなか難しいと思っていたらこれは面白い!良かったこれで次に進める