無重力でも快適 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (1989年2月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784150302863

感想・レビュー・書評

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  • [無重力でも快適]
     あははは、久しぶりに笑わしてもらいました。「こちらITT」には及ばないにしても、これはいいっす。空間転送装置も使い方次第でこうなりますか。とぼけた語り口もこの短編の雰囲気にはぴったり。
     こういう話読んで喜んでるってことは、俺もかなり下品な奴かも。

    [クーラー売ります]
     「無重力でも快適」といい、この話といい、だんだんサラリーマン小説としての側面が強くなってるような気がする。なんか海外勤務の商社マンの悲哀が・・・(^^;)。
     しかし日頃の不満をこういうふうにSF短編のアイディアにできちゃうんだったら、ネタに困らなくていいだろうなあ。
     寒冷化が進んでる星でクーラーを売りさばかなければいけなくなった営業マンはどうすればいいかって問題に対して、今回はバッチリオチも決まる。例によって一番最後のオチは余分だと思いますが。

    [太公望]
     なんかほのぼのしてる。一応これはファーストコンタクトものなんだよなあ。釣りを知ってるからには知的生物に違いない、ってホントにそうか(^^;)。アイディア的にはそれほど独創的でもないけど、釣り下げるってところがちょっと意表を突いてる。このひねり方のセンスは見習うべき。ただでは終わらないってとこですか。
     わかりました。どうしても最後のオチはこうじゃないと納得できないわけね。もうおとなしくついていきましょう。

    [ウィークスを探して]
     これは意表を突かれた。自分より強い相手の遺伝子を取り込んで相手と同じになってしまうウィークス、そのために愛したメイリアが自分と同じ姿になってしまい、別のメイリアを探し求める主人公。この設定で残るメイリアが一人だとすれば、当然ほろ苦い、悲しい結末が待ってると思うよな、普通。見事に裏切られました。
     シリアス路線ではこれまでで最高のデキ。

    [ヘイブン・オートメーション]
     来ました来ました、久々の大当たり。あー、腹痛い。
     最初の神様が互いに愚痴を言い合ってる場面もかなりおかしいんだけど(ゾロアスター教には善と悪の神様がいるとか、モルモン教は酒はダメとか、いろんな宗教の勉強にもなるし)、そのあと天国がコンピュータを使って合理化されてからはニヤニヤしっぱなし。いきなり分散オフィスになってるわ、デュプレックス精霊プロセッサとかいうものを使って処理効率をアップさせようとしてるわ、エクトプラズマ・ディスプレイなんてものはあるわ、冒頭で信仰者の振り分けをしていた会議が祝福システムのプレゼンテーションになっちゃってるわ、議長が鎚を鳴らすのに水晶球を回して鎚のアイコンをクリックしてるわ。多分コンピュータ関係の仕事をしてる人は笑いが止まらないんじゃないだろうか。あげくの果てに、暇になった神様が天地創造をしようとするのが、DOSのフォーマットそっくりと来たらもうたまりません。「天地創造バージョン2.3」(2.3ってとこが何とも言えずいい感じ)、性の数が0~8っていうのも最高。そうか、キリストが馬小屋で生まれたのは、惑星が1つ増えたからだったのか(^^;)。
     「ウィークスを探して」も良かったけど、これはそれ以上。遂に「こちらITT」と並ぶ傑作が出た。しかもしっかりとサラリーマン小説。完璧。

  • 「無重力でも快適」・・・快適じゃない!
    「クーラー売ります」・・・古典的な感じ
    「太公望」・・・釣り好き船長
    「ウィークスを探して」・・・アクション満載。アダルトテイスト
    「ヘイヴン・オートメーション」・・・天国にコンピュータ導入したら

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著者プロフィール

草上 仁(くさかみ・じん)
1959年生まれ。1981年ハヤカワ・SFコンテスト佳作入賞。短篇『割れた甲冑』を「SFマガジン」1982年8月号に発表してデビュー。
1989年に『くらげの日』、1997年に『ダイエットの方程式』で星雲賞日本短編部門受賞。
1997年『東京開化えれきのからくり』でSFマガジン読者賞受賞。
近年も「SFマガジン」に続々と作品を発表している。

「2020年 『キスギショウジ氏の生活と意見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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