ハイブリッド・チャイルド (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (1993年8月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784150303938

みんなの感想まとめ

愛や命、信仰といったテーマが交錯する、残酷で美しい世界を描いた作品です。SFとしての要素が豊富に詰め込まれたこの物語は、短編と長編が融合し、独特の読書体験を提供します。特に、戦闘用サイボーグB3号が旅...

感想・レビュー・書評

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  • SF。連作。機械&バイオSF。
    短編2作と長編1作。全部合わせて1つの長編作品。
    短編2作品はとても面白く読んだが、本編であろう長編「アクアプラネット」が難しい。
    読めば読むほど分からなくなっていった、珍しい読書体験。
    ”愛”がひとつのテーマになっているのが苦手なのと、自分の想像力不足でしょう。

  • [ハイブリッド・チャイルド]
     とりあえず、大原まり子は初めてと言っていいかな。まあ短編は昔いくつか読んだ記憶があるけど、覚えてないし。最初少女マンガ的な描写が気になってちょっと引きそうになったけど、この密度は魅力的。アディアプトロン機械帝国に対抗するための兵器であり、機械と生体とのハイブリッドであるために半永久的に活動できるサンプルB群、子供のような外見を持ちながら軍を支配するかれ、そのかれを未来で産むことになるダナ・ヘスといったSF的な設定だけでなく、拒食症と過食症を交互に繰り返し自分の子供を虐待する大人のヨナという心理サスペンスを思わせるひねった設定もいい。そして裏プロットとして、ヨナの家のハウスキーパーの正体は?サンプルBⅢ号に逃亡を促したものは?というミステリ的な引きもあって全体も締まってる。
     初めて少女の形をとったときの動きとか、卵の中にヒヨコが詰まっていたりとか、少女の腹を突き破って赤外線カメラを出したりとかいった風に、ところどころで現れるグロテスクさもいい感じ。
     話自体は、全体の一部という感じで、解決されない謎がいっぱい残ったまま。こうなってくるとシノハラ一族のこととか、シリーズの背景となる設定も知ってた方がいいんだろうな。「未来視たち」とかにも手を出すか。

    [告別のあいさつ]
     今まで大原まり子に対してなんとなく持ってたイメージというのは、あくまで個人的なものだけど、キラキラ光っている儚げであやういもの、少女の持つ残酷さ、なんかよくわからんストーリーといったものだった。少女マンガのファンタジーのようなイメージが主題といった印象とでも言えばいいか。「ハイブリッド・チャイルド」は、そういう要素も若干感じられはしたけど、それ以上にSFとして魅力的な設定がいっぱいあったので、俺としてはかなり気にいってた。
     で、この短編だけど、全体としてファンタジーっぽい印象が強くてちょっと弱ったという感じ。最後に星間生命体の細胞をサンプリングして、ヨナが宇宙船となって飛び立っていく、という部分にはSF者のツボを刺激するものがあったけど、全体のストーリーが個人的になんかもの足りなかった。タイトルから想像してたような別れの悲しさといったものもあんまり感じられなかったし。せっかく生物と無生物の境界をあやうくするサンプルB群という、サイバーパンク以降でもっとも魅力的なアイディアを使ってるんだから、もうちょっと何とかならんもんかなあ。もったいない。
     こうなってくると次の「アクアプラネット」が心配だな。もしダメだったらどうしよう。大原まり子を切り捨てなきゃならなくなったとしたら、SF者としてはダメージでかいよなあ。キリスト教についての記述だと思われるところや、ヨナの背中から羽が生えてくるところの描写とかに、エヴァ的なものとのシンクロ率の高さを感じたから、大原まり子には期待してるんだけど。

    [アクアプラネット]
     400ページ近い長さだから、ほとんどもう長編。最初の印象は、コードウェナー・スミスっぽいなあ、ってこと。読んでて「スキャナーに生きがいはない」とか「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」とかを思い出した。スミスの未来史に触発された短編でデビューしたという著者ならでは。
     軍を脱走したサンプルBⅢ号とそれを追うⅩⅢ号、ヨナは自分を守るために母親である<ドラゴン・コスモス>を産み、殺し、喰う。アディアプトロン機械帝国の兵器”石の妖精”のために狂って人間を殺し始める人工知能ミラグロス、ミラグロスを修理しようとするアディアプトロン人、死にかけの体を白い棺に接続され生きながらえさせられているシバラーマウス、レシア、老人として生まれ軍の神官として800年の時に偏在するかれ、そしてヨナのアディのレシアのかれの人生を変えたもう一人のかれ。そしてかれの元を訪れた「生むもの」とは?
     ざっと抜き出してみただけでもかなり魅力的な設定。固有名詞のセンスもカッコいいし、「観察者の意志は宇宙を変えられるか?」とか「生むものはすべて女である」なんて必殺の一文も出てくる。ヨナと2人の母親との親殺し・子殺しの関係は血の業を感じさせるし、心配していたような自己完結した話ではなかったし、ラストのダニエルとヨナが触れあってからの怒濤の展開も盛り上がった。
     で、これだけ揃ってるとなると、本来なら鳥肌立って背筋がゾクゾクしてるはずである。それなのに、なぜか今回に限ってはもどかしさをどこかで感じてて、諸手を挙げて絶賛するのには躊躇してしまう。もちろん俺としても、結果的にはこの作品が傑作のひとつであると認めるのに異議はないし、SF者としてこれを切り捨てるられるようなレベルのものではないと思うけれども。
     例えば「戦闘妖精雪風」だと、俺としても不満な部分はほとんどない。というか、完璧すぎるのが欠点だと思えるくらい。このシリーズも設定の魅力でいえば、ほとんど同じレベルにあると思う。でも、なんか引っかかってるんだよな。どこか感覚的に俺と大原まり子とでは合わない部分があるのかなあ。やせ細って死んでいく人々を、痩せ細るコンテストの「膨大な数の優勝者」と言ってしまったり、ダニエルに「こいつにはまだ原罪がないのだ」と言うセンスは好きだから、それ以外の部分ということになるけど。それが男だから女だからというレベルの話だとすると、今後も大原まり子の作品にはどこかしら違和感を持ち続けることになるんだろうか?困ったな。ドレイファスが少女を殺す部分とか、ヨナが3人組に襲われるところとかも、もうちょっと弾けて一気に突っ走ってもらったら良かったのかも。ラストシーンの怒濤の展開は気に入ったんだから、つまりはそういうことなのかもしれない。
     まあ、いろいろ不満も書いたけど、大原まり子には最高のSFを書いて欲しい。つまり、ギブスンやティプトリーや神林長平やそしてもちろんコードウェイナー・スミス。大原まり子にはそれが出来るはずだ、と俺に認めさせるものは確かにあるから、余計に不満に感じてしまうのかもしれないけど。
     結局ラストでほとんどの謎は明らかにされる。著者は結構律儀な人なのかもしれない。

  • 2016.2 2

  • 命とか、信仰とか、愛とか、母性とか、いろいろな印象が混ざりあっている、残酷で美しい世界の話。女性だからこそ描けるSFというのもうなずける。産み出すものはすべて女だ、というような一文があって、フェミニズムとかそういうことではなく、なんだか素直に納得してしまった。

  • 中高生の時に読み逃した一冊。当時読んでればなぁと悔しい。機械と生物のハイブリッドというSF的ギミックが物凄く臨場感溢れ魅力的に描かれていてワクワクさせられる。

  • 機械帝国と戦う人類が生み出した兵器『ハイブリッド・チャイルド』。そのうちの一体が意思を持って逃げ出し放浪の旅に出ます。細胞を食べ、その遺伝子や記憶を取り込み変身する機械が感情を持ち、愛を覚え、哀しみを覚え…と進化する姿と人類側の軍の神官として800年の命を老人から子供へ若返って過ごす体を持たない『かれ』の時空を飛んで出没する影響が女性らしい文体で書かれていました。
    グロテスクな場面ですらファンタジー化される、と言うと変ですが本当にそんな感じでした。

    最終的には『愛』に収束されてしまうのだけれど惑星と長い時間が織り込まれた美しいタペストリーみたいな作品でした。

  • やわらかい けれど つめたい SF

  • 小学生のときに読んでとても印象深かったのをふと思い出して、タイトル等は完全に忘れ去っていたためかなり苦労して探し出しました。とても強力なオリジナリティで構成されたSFファンタジー。擬音などが若干稚拙というか余分な描写な気がしますが、そんなことを差し引いても天才的な名作です。いずれまた再読したい。

  • 愛と命に関する話。
    最後、結局愛がすべてを再び無に帰してしまったところに無力感と希望を感じた。

  • SFなんだろう。ひどく読むのに疲れた。最後まで読めなかった。

    私にはSFやファンタジーは向かないんだろうなって思ってしまうような本。

  • 初めて読んだ大原作品。
    それからずっと通学電車の中で、通勤電車の中で、病院の待合室で、もう何度読み返したかも判らないくらいに読んでいるけどまだ飽きない。

  • 図書館から借りました
     SF
     絵がとっても綺麗です。正統派、本格SFと銘打たれてます。

     本筋に絡むのは、800年を支配する一人の軍の神官(老人として生まれ、若返り死んでいく時間的奇形児)。
     ヨナという7歳で母親に殺された少女。
     彼。

     機械であり生物である、ハイブリッド・チャイルド「サンプルB群」の?号は神官の計画によって生み出され、「彼」という存在に導かれて自我を持ち、軍を脱走する。そして、死んだヨナの魂を封じた家にたどり着き、棺に納められた彼女を食べて、その形態をとる。記憶も、遺伝子もすべて取り込んで。
     そして、?号は「ヨナ」になった。その後も色んな動物や機械を食べて記憶や形態を手に入れていくが、あまりにも強固なヨナという人格は?号にきっちりと根を下ろす。
     「彼」という存在が作り出した宗教。
     狂った機械ミラグロス。子供達と呼ぶ、都市の住人すべてを食べてしまい、統合しようという欲望を持ってしまった母機械。ここにも宗教めいたものが絡む。

     『母』はここでは大きく壊れている。
     ヨナは母親のクローンで、溺愛と虐待を受け、最後は餓死寸前に追い込まれて雪道に放り出される。そして凍死させられる。
     母なる管理機械ミラグロスは子供達を殺して取り込もうとする。
     寂しさからヨナが生んだ母親は、貪欲で支配力が強く、ヨナに最初の母を思わせるため憎まれ、最後には殺されてしまう。
     神官の母親は老人を生み出すことに大きなストレスを感じてしまう。(これは仕方ない)

     時間の流れがぐちゃぐちゃしているところもありますが、概ね、読みやすい物語。(神官が時間枠にとらわれていないので、あちこちで若かったり老人だったりするんです)

     ミラグロスは「死者の書」チベット仏教を連想させます。ヨナもそう。死者の魂は仏と統合、統一することによって成仏となる、という思想に近いかな。

  • ジャケ買いしたら以外と楽しめた。SFだけどちょっと不思議な読後感。世界観は絵的に面白いと思う。小説だから人によって思い浮かぶ絵は違うでしょうけど・・・。

  • 読み終える迄の数時間がとっても長く、作中時間の数百年に思えてしまう。つかの間の幸せが永遠に続く事を祈りつつ、はかなくも望みは叶わない所に泣けました。

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