真珠たち (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (1994年7月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784150304065

みんなの感想まとめ

奇病「真珠病」によって、感染も治療法も不明なまま隔離された患者たちの運命を描く物語は、悲しみと美しさが交錯する深いテーマを持っています。特に、同性の恋人たちが直面する過酷な状況が感情を揺さぶり、読者の...

感想・レビュー・書評

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  • 皮膚が硬質化して死に至る業病。現代社会は偏見、パニック、騒乱を経て、社会自体が未知の段階に変容していく。疫禍を生き延びた種は人類のニュータイプかもしれない――挙げてみると、今はまず遠藤浩輝による漫画『EDEN』を連想しますが、それに較べると本作はまだ、それほどハードではありません。真珠病の描かれ方はハードSFよりはファンタジー的で、この頃はパンデミックよりも自然神話の再来の方に重みがある。残虐描写もそこまでハードな心配はない。

    SFとしては現代に読んでいて古さは感じたのですが、やはりここは久美沙織作品の文体の美麗さ! とくに第二話「黒真珠」のレズカップル、レズコマンドーの凄絶なるところは耽美さの粋と言わざるをえない。ロボトミー手術で愛を失うのは、今書かれるにはちょっと難しいと思います。第三話冒頭のダンス! あのダンスにそれほど必要性はあったかはともかく……誰もいない砂原に半裸で踊る美青年のところの文章は本当にいい。

    前後の作品を続けて読んでいるところでは、「ソーントーン・サイクル」「獣蟲記」シリーズよりもわたしは本作が熱く好み。読み終えるまでにとくに意味もなく悪役の方に気持ちが逸れていって、物語のハッピーエンドを横目に読者は一人疎外感に耽るのも続きのよう。わたしはこのあと、『夜にひらく窓』を読みます。

  • かなり好きな作家さんなのですが、読み始めはいつもどきどきします。中心読者層からは年齢的に外れるので、ヘタをしたら大外れだなぁと思いながら、今のところそれほどの大外れには当たらずに済んでます。これはどうかなぁ。
     
    守備範囲から少し外れた彼女の本を読むようになったきっかけは、子どもにと買った「ドラゴンクエスト」でした。 
    若い人向けのエンターティメントは、物語が面白くてもストーリーの作り方とか、言葉の選び方とか、何かが気になり始めると楽しめません。この方の作品はその辺に配慮がある気がしますが、残念ながらお話しに入り込むまで、ちょっと時間がかかるようになりました。やむを得ないですね。
     
    ■  2002/04/07:読了

  •  美しくて妖しくて、エンターテイメント性が高く佳作だと思う。

  • 体が徐々にツルツル虹色に光る硬い幕に覆われるようになる真珠病と呼ばれる奇病が発生し、感染方法も有効な治療法もわからないまま患者は隔離される。そんななか真珠病によって過酷な運命に放り込まれる同性の恋人たちの話が悲しくも美しい。

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著者プロフィール

1959年、岩手県盛岡市生まれ。上智大学在学中に作家デビュー。フィクション、ノンフィクションを問わずさまざまなジャンルの作品を手がけ、ゲームやコミックのノベライズなどもおこなう。おもな著作に「プリンセス・ストーリーズ」シリーズ(角川つばさ文庫)、『丘の家のミッキー』(集英社)など多数。公式サイト「久美蔵」http://kumikura.jp/

「2019年 『プリンセス・ストーリーズ 赤ずきんと狼王』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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