バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.72
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本棚登録 : 2102
感想 : 251
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150305383

作品紹介・あらすじ

いつものバーで、いつものように酒を呑んでいた「俺」は、見知らぬ女から、電話で奇妙な依頼を受けた。伝言を届け相手の反応を観察してほしいという。疑問を感じながらも依頼を果したのだが、その帰り道、何者かによって殺されそうになった。そして、ひとり調査を続けた「俺」が知ったのは依頼人と同じ名前の女が、地上げ放火ですでに殺されていたことだった。

感想・レビュー・書評

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  • 世間一般から見ると、いわゆる「壊れてるヒト」の探偵がたまらなくカッコ良い。
    ススキノの住人達も個性豊かで愛おしいです。
    あくまで私自身の問題なのですが、映画上映時に観てからほとんど忘れていたのに、たまたま最近CSで観てしまったから、プロットがしっかりと頭に残っていて、「コンドウキョウコ」が勝手に脳内変換されてクライマックスが今ひとつになってしまった。
    惜しいコトをしました。
    本当はもっと心動かされたんだろうな。

  • シリーズ2作目。
    ハードボイルド。
    前回よりも読みやすかった。
    復讐は悲しい。
    良い人が死に、悪い人が生き残る世の中。
    せちがない。
    女性は凄いね。
    男性より強い。

  • ルンペン生活、ホームレス、刑務所出所後から突然文才を発揮し芥川荘賞受賞などと文壇に登場する人は少なくは無い。そして一発屋も多い。だがしかしこの人は凄い!
    文章もおしゃれだし組み立て方も良い。東直己、追跡開始
    但し、個人の好みとして、最終の時系列的謎解きなんぞは首を傾けざるを得ない。
    最初の登場人物の説明は、光輝高齢者目前の私には・・・・助かる

  • ススキノの便利屋である主人公。謎の女からの一本の電話で依頼を受けたことからはじまり、命を狙われたことで奮起して事件にどっぷりと巻き込まれる、ハードボイルドのテンプレのような話だ。
    会話や文体は軽妙だが、扱っている問題は軽くはない。

    主人公「俺」は自分なりに他者を尊重している(たまに問答無用で殴ったりもするが)。ススキノの客引きと黒澤明の映画を見て感想を言い合ったり、尾行を頼んだタクシーの運転手との見えざる心理戦に負けたり、ヤクザにブードゥーの呪いの講釈をしたり、耳の遠い人にきちんと話しかけてほめられたり…。
    登場するたくさんの人物とちゃんと対話し、台詞から彼らだけの人生が垣間見える。現実世界でも忘れがちな「人に歴史あり」がきちんと描かれていて、これは作者の膨大な他者との会話の蓄積からくるものかなと想像する。

    自分でものを考えているなら相手に貴賤は問わないが、権力を嵩にかけたり、汚い手段で利益を得ようとする低脳を軽蔑していて、自分が考えることに対してある程度の自負もある。
    それでいて「自分で自由に選べないのに、いきなり生まれさせられて、そして自分の人生の責任を押しつけられる。それで楽しくやれる人間はそれでいいけど、ついて行けない人間はどうすればいいのだろうか」と、どうしようもない人間に対する同情とも、自戒ともとれる湿っぽさを見せることもある。

    また謂れのない一方的な暴力を憎み、自分の被害に限らず、その現場に居合わせると断固として抵抗する。その手段として、暴力を使うことの矛盾。
    それを正義感で覆って、結局のところ暴力でしか解決できない事柄が世の中にはある虚しさ、その結末の苦さを主人公に体現させているのかなと思った。

    矛盾を多くはらんだ人間らしいっちゃらしい主人公なので、読み手の主義主張によっては好き嫌いが分かれるかもしれない。私はとてもおもしろかった。

    「俺」シリーズは本作が2作目で、短編や過去編を含むと12作刊行されている。短編集を除いた4作目までが若き「俺」の活躍で、それまで怒涛の展開を見せる。次作の「消えた少年」も、個人的にラスボスに度肝を抜かれたのだが、本作がシリーズの中で一番ロマンがある気がする。文体が平易で読みやすいし、映画化云々の割に意外と知られてない作家さんなので是非多くの人に楽しんでもらいたい。

  • 東直己さんの「バーにかかってきた電話」読了。ススキノの街を酔いどれ探偵が駆け抜けるシリーズ第2弾。ある晩、コンドウキョウコと名乗る女性から電話で奇妙な依頼を受ける。ある場所に伝言を伝え、相手の反応を教えてほしいというもの。不安を感じながらも任務を果たした「俺」は、危うく殺されそうになり、依頼人と同姓同名の女性が地上げにまつわる放火事件で殺されていたことを知る。。本作は大泉洋が出演した映画の原作です。謎の依頼人との電話のやりとりで、悲しいかな美人を連想させるその人に、いいように振り回される「俺」が面白かった。また予想外の展開もあり、最後まで楽しめます。気になる方は是非。

  • 映画はチラッとしか見てないけどいつか原作をじっくり読んでみたいと思ってました。いやいや中々おもしろい!一作目は読んだ記憶が朧げにあるんだけどなんか印象が全然違う。主人公の「探偵」は、大麻を育てたりギャンブルで小銭を稼いだり毎日飲んだくれて喧嘩してあんまりまともなことはしてない。80年代が舞台らしくて携帯もメールもない。なんとも不自由な時代の、ろくでなしの話なのにワクワクしてどんどん読める。最後は悲しい結末なんだけど復讐を果たしたせいかどこかスッキリする。シリーズ制覇したいなこれは。

  • 大好きなススキノ探偵シリーズの第2弾。
    シティーハンターが大好きなんだから嫌いなはずがない!
    これに関しては特に実写もすこぶる好きで何度か観たし近年サブスクでも観た!

    最後の手紙の余韻がね…作品全体に横たわる物悲しさから深いため息が出る。

    ちなみに…
    映画タイトルは「探偵はBARにいる」ですが、原作はシリーズ二作目のこの「バーにかかってきた電話」になります。

  • ススキノ探偵シリーズの第二作。
    映画化されたのはコチラの作品ですね。
    映画も良いけど、小説も良いですよ。

  • 忘れないうちにまず言っておきたいのは、僕はモンデの店員が大好きです(無事でよかったな、兄弟ぇ)。
    相変わらず、何でもないようなところが面白い。偽名の読み方なんてどうでもいいのに「二十郎」の読み方を訂正して心の中の三船敏郎にこれまたどうでもいいことを言わせたり、あらゆる地の文が退屈でないのはすごい。
    カタルシスを予感させる流れになっても、それで痛快に終わらないのがハードボイルドなのだなぁと思う。読後感は非常にしんみりとしていて、それこそ強い酒を1杯飲み干したいような気分だ。

  • カッコいい‼︎

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著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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