私が殺した少女 (ハヤカワ文庫JA 探偵・沢崎シリーズ 2)
- 早川書房 (1996年4月11日発売)
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感想 : 252件
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784150305468
みんなの感想まとめ
緊迫感あふれる誘拐殺人事件を描いた本作は、探偵・沢崎が冷静に犯人を追う姿を通じて、サスペンスの醍醐味を堪能させてくれます。将来を嘱望されたヴァイオリンの天才少女が誘拐され、高額な身代金が要求される中、...
感想・レビュー・書評
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【900冊目記念レビュー】誘拐されたヴァイオリンの天才少女を探せ! ハードボイルドの名作シリーズ、第102回直木賞受賞作
■あらすじ
私立探偵沢崎のもとに依頼の電話が入る。依頼人の自宅に行くと、いきなり誘拐犯の扱いを受けてしまう。事情を聞くと、依頼人の娘であるヴァイオリンの天才少女が誘拐されてしまったというのだ。
警察から犯人扱いをされる沢崎だったが、続けて犯人から身代金の運搬を指示されてしまう。図らずも誘拐事件に巻き込まれてしまった沢崎は…
■きっと読みたくなるレビュー
900冊目のキリ番記念に読んだのは、骨太な私立探偵小説、ハードボイルドの名作。第102回直木賞受賞作です。
始まっていきなり面白い。依頼人から呼び出されたと思ったら、あっという間に事件に巻き込まれる。ドタバタ劇から主要人物の背景説明が一気になされ、探偵フェーズに入っていく。もう物語なら抜け出せず、最後まで一気読みですよ。
なんつっても主人公である沢崎がカッコいいすね~ 令和の時代だと絶滅してそうな男くさい男、相手が警察だろうが暴力団だろうが決して負けず、自身の考えを貫いてゆく。そんな彼もかつて仲間との間でとある出来事があり、心の傷を抱えている。
もはや精神力だけで私立探偵を続けているようにも見えてきますね。依頼人のため、真相を導くため、無骨でクールにひとつひとつ丁寧に捜査を進めていくのです。他の登場人物たちも人間臭くっていいすね。特に刑事やヤクザたち、いかにもプライドの塊って感じで最高に好きです。
またストーリーも秀逸ですよね。ひたすら人探しになりがちな私立探偵小説ですが、いろんなイベントが差し込まれて読み手を飽きさせない。
中盤、身代金を追って、とある老婆を尾行する一幕があるんですが、どうなることやとドキドキハラハラの緊迫感に潰されそうになる。さらにこの局面では、驚きの真相が待ち受けており、読者はすっと足をすくわれるのです。こういった工夫された展開が素晴らしいんすよ、もう安心して楽しめますよね。
物語が終盤になると、いよいよ真相が浮き彫りになってくるんですが… 果たして大金の使い道は何だったのか? この誘拐事件は何だったのか? 本作におけるコアとなる謎については、なかなかの強烈な事実が提示されます。人それぞれ様々な想いや背景があるのはわかるけど、犠牲者は声をあげることができないことを忘れてはいけません。
ハードボイルドとしても、ミステリーとしても楽しめる名作でしたね~。読み終わったあと、じっくりと余韻に浸ってしまう作品でした。原尞先生の沢崎シリーズ、まだまだ読み残してるので、ゆったりまったり読みたいなーと思いました。
■ぜっさん推しポイント
本作の強みは「古めかしさ」ですね。何でもクラシックの良さってのがあって、眺めていると味わい深く吸い込まれてしまうような、あの感覚です。
沢崎の目線で物語が語られてゆくのですが、ひとつひとつの行動が良く言えばシブイ、悪く言えば古臭い。ビル窓ごしにブラインドを開け、夕焼けが広がる街並みを眺めて思いをはせるなんざ、今どきキザすぎて誰もやりません。でもそれを沢崎がやると、とてつもなくカッコイイんすよ。往年の石原裕次郎を思い出しちゃいました。 -
久しぶりにじっくりとサスペンスを堪能しました。
ハードボイルドミステリーでしょうか。
感傷や恐怖の感情に流されない探偵・沢崎が誘拐殺人事件の犯人を追います。
将来を嘱望されたヴァイオリンの天才少女が誘拐される。要求された身代金は6千万円。
沢崎は、その身代金の受け渡しに 巻き込まれてしまう。
身代金受け渡しに失敗した彼は、彼女の生存に責任を感じながらも、冷静に犯人を絞り込む。多くの関係者が絡み、ストーリーが緻密で繊細。
結末には、違和感が残りますが、関わった人達の心情を描きながら核心に近づく魅力的な作品でした。
作家原尞氏も直木賞受賞の本作も 全くノーマークでした。本とコさんご紹介、的確で素敵なレビューありがとうございました。
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「木原音瀬」沼の話、皆さん愉快で、掛け合いは
読んでて楽しいですね。
私は臆病者で、沼に(意図的に)ハマらないように
してます。
「機が熟す...「木原音瀬」沼の話、皆さん愉快で、掛け合いは
読んでて楽しいですね。
私は臆病者で、沼に(意図的に)ハマらないように
してます。
「機が熟すのを待つ」派です(ウソつけ!)。2023/07/21 -
2023/07/21
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2023/07/24
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今月4日、作家の原寮さんが逝去されました。2018年発表の『それまでの明日』しか読んだことがなく‥、えっ、これがまさかの遺作!
本作は、1989年刊行の直木賞・ファルコン賞W受賞作品です。優れたハードボイルドという証なんでしょうね。
本書は、探偵の沢崎がシリーズ化された第2作とのことで、沢崎が「私」という一人称で語る、ヴァイオリンの天少女の誘拐事件を軸にした物語です。
なるほど、沢崎の特定の感情に流されず、強靭で時に冷酷な言動の描写や、天候、実在の街並み、家屋周辺や室内に至る詳細な表現から〝硬派〟という印象を受けます。
読み手は、探偵である沢崎視点で事件と様々なエピソードに触れ、緻密な新展開が続くスピード感があり、飽きさせません。
誘拐犯は誰? 事件の真相は? と最後のギリギリまで焦らされながら、突然解決に向かう終末の展開に‥。ん? (読み手の私は)沢崎に置いてかれた? と若干の「狐騙されモード」もありました。
タイトル『私が殺した少女』の「私」に、いろんな人を当てはめられる意味合いを感じ、そこにも著者のねらいがあったのかなと考えました。
巻末の(あとがきに代えてー敗者の文学)「ある男の身許調査」、原尞さんによる「私がはじめて原尞に会ったとき〜」で始まる文章は、寡作である著者の半生を語るもので興味深かったです。
心よりご冥福をお祈り致します。 合掌‥ -
原尞氏の作品は、デビューから2023年に亡くなるまで長編5作、短編集1作のみ。
今回、数十年ぶりに読み直し、味を噛み締めながら楽しんでいます。
時系列に従うと次は短編集『天使たちの探偵』、1990年の作品です。とても楽しみ。 -
西新宿の私立探偵・沢崎が主人公。実はシリーズもので、本作の1年前に出た『そして夜が甦る』が1作目。作中にも、前作をうかがわせる記述がところどころにあるのだが、ストーリー的には前作を読んでいないとわからないことはないと思われる。
探偵・沢崎のもとに依頼の電話が入る。行方不明の家族を探す依頼だったが、「依頼人」宅に行ってみると、すでに警察がいて、沢崎は誘拐犯の一味と疑われる。わけがわからないまま、彼は少女誘拐事件に巻き込まれ、「犯人」の指示で身代金受け渡し役を引き受ける羽目になる。あちらこちらと振り回されて、挙句に殴られ、身代金を奪われる。
少女はバイオリンの名手で、将来を期待されていた。その家庭にはなかなか複雑な事情があった。警察からの犯人の一味ではないかとの疑いが晴れぬまま、沢崎は少女の叔父の依頼で、さらに事件の背景に迫っていくことになる。
果たして少女は無事なのか。男のような女のような声の「誘拐犯」は誰なのか。
最後に沢崎が突き止める「真相」とは。
ストーリーはかなり練られたもののように感じるが、それよりも文体が特徴的である。冒頭近くの
まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。
というのがすでになかなかすごい。幾分、シニカルでしかし自虐が過ぎるわけではない文体が、作品全体の空気をどこかさらりとしたものにしている。個人的にはところどころ凝りすぎで若干鼻につくのだが、ベタつかない点は美点である。
沢崎は、引用文に違わず、誘拐犯と疑われたりぶん殴られたりと散々な目に遭うし、犠牲者の描写もそれは凄惨なのだが、全体として硬質で都会的。
最終的に沢崎がたどり着く「真犯人」には、私としては少々違和感があるが、見事なタイトル回収、ということになるのだろう。
巻末のあとがき代わりの「ある男の身許調査」によれば、著者の経歴はなかなか異色なようである。さまざま蓄積された「教養」が文体の背後にあることがうかがえる。バーテンダーが『白痴』というタイトルの本を読んでいるのが見え、沢崎がチップを渡しつつ「『悪霊』も読みたまえ」というと、バーテンが礼を言いつつ「失礼ですがこれは坂口安吾ですので・・・」と返すエピソードが個人的お気に入りである。
沢崎が乗るブルーバード。身代金受け渡しのために使用されるあちらこちらの公衆電話。両切のタバコ。バーや喫茶店。重病の暴力団幹部とその用心棒。
さまざまな「小道具」が作品の雰囲気づくりに一役買っているのだが、実はかなり「時代」に依存しているものであったりする。本作発表は平成元年だが、多分に昭和の香りがする。西新宿という、都会だけれどハイソではない舞台でそれらが映える。
本書の著者はもう亡くなっているので、新作は望めないが、果たして令和の時代のハードボイルドというのはどういうものになるのだろう。公衆電話で探偵が右往左往させられることもないし、タバコをぷかぷか吸ったりできないし、泥酔して暴力沙汰もまずいし、反社勢力を登場させるのも、LGBTQを揶揄するのも慎重を要するだろう。おんぼろのブルーバードを爆走させて無断駐車もできないだろうなぁ・・・。
それでも探偵はクールに都会的でいられるものなのか。それはそれでちょっと読んでみたいような気もする。 -
再読。直木賞。少女誘拐事件の身代金受け渡し役に指名された沢崎。悪漢に襲われ、身代金は奪われ、少女は死体で発見される。
少女の叔父から金に困った自分達の子供達が誘拐に関わっていないかの調査依頼を受けるが、関係なく無軌道に事件の解決に迫る。
誘拐ものかつこの結末は、擦り尽くされている感がありますが、プロットの緻密さと登場人物の魅力がよいですね。予定調和的と感じますが。 -
前から読んでみたかった探偵沢崎シリーズです。
登場人物のだーれも携帯を持っていない、そんな時代の話。
本作で沢崎氏は、誘拐事件に巻き込まれて右往左往させられるのですが、
電話で連絡をとる場面が多々あって、それが全部公衆電話で、沢崎氏は
テレカにすら、なんとなく拒否感を持ってて。
どうしても、今読むと陳腐なかんじは否めない。中途半端な時代ものみたいで。
今更ながら携帯電話の起こした変化の凄まじさを実感します。
そんで、ハードボイルドですよ。探偵っすよ。今読むと陳腐なところもあるけど、
文句なしにカッコいいんですよね。酒と煙草と車。
探偵って、警察からも依頼人からも、いいように利用されたり
スケープゴートにされたり、めっちゃ弱い立場なんだけど、沢崎氏は矜持を失わず
警察に脅されようがヤクザに邪魔されようが、殴られ蹴られされても自分の進むべき方向を見失わないんです。んで、彼の日常は一切、語られない。心情も、思いも。
タフでなければ生きていけない。
おすすめです。古いですけど。 -
前作を読んだのが、もう10年ぐらい前。内容なんて、全然覚えてない。でも、14年ぶりに新刊が出ると言うので、続きを読んでみることに。
作品は1988年に書かれており、いろいろ現代とは違う部分も多いが、最初からレイモンド・チャンドラーの影響をもろ受けたような展開に古さよりも渋さを感じる。昔ながらの「ザ・探偵小説」と言う感じ。沢崎の一匹狼感もいい!
この後、6年の時を経て発表された第3弾は時代背景がどうなっているのか?沢崎の活躍もだけど、それが一番気になる… -
「そして夜は蘇る」に続く探偵・沢崎シリーズ第2作目。 日常の些細な出来事から生じてしまった殺人事件。間接的に事件に関わっていた少年・慶彦の葛藤と、それを知った沢崎の普段は見せない言動の描写がこの作品に温かみを与えているように感じた。 東野圭吾の「真夏の方程式」を思い出すような作品だった。
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この2週間、ハードボイルド小説を立て続けに3冊読みました。
本家チャンドラー「ロング・グッドバイ」、それに日本のチャンドラーと言われている
原尞の「私が殺した少女」と「愚か者死すべし」です。
3冊とも文章が簡潔で大変読みやすかった。
個人的には「私が殺した少女」が一番面白かった。
その中の一件を紹介しましょう。
『私はパッケージを破ってタバコを一本抜き取ると、
フィルターをちぎり取って火をつけた。
二人は、それを不思議な儀式でも見物するかのよう目つきで見ていた。』
これら小説はこのタバコを吸ったときのように、すうーと一気に文章が入ってくる。
フィルターやパイプをつけて吸った時のように屈折して喉に入ってこない。
ハードボイルドとは堅く茹でた卵のこと、でも続けざまに3冊も読むと
私の頭の中は、「スクランブル・エッグ」になりそうです。
彼は作品のほとんどを一人称で書いている。
これは素晴らしい事だと思います。 -
私立探偵沢崎シリーズ2作目
テーマは誘拐
今回はテレフォンカードが登場した。
車でぶっ飛ばすシーンが最高でした。
分厚い本ながら、余計なこと考えず、一気読みできる作品に感謝します。 -
初めて<私立探偵 沢崎>シリーズを読んだが、こんなにおもしろいのかと一文一文噛み締めながら読了。緻密なストーリーとハードボイルドの文体。東京という都市が立体的に描かれた細密な描写と詩情、皮肉とタフさが滲む台詞。ただ主人公の探偵・沢崎より新宿署の錦織警部が格好いいと思ってしまったが。和製レイモンド・チャンドラーと評されるが、いや、決して模倣と括れない原尞という小説家がここにいる。
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14年ぶりの新刊を読む前に予習。30年前の作品ながらそれほど違和感はない。昭和の匂いを強く残す車、電話、煙草等の使われ方や、機知に富んだセリフに何度もニンマリさせられた。
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主人公である私立探偵「沢崎」が幼いバイオリニストの少女の誘拐事件の依頼を受け、登場する冒頭シーンから「おっ!」と思わせ、最後まで繊細に練られたハードボイルドミステリーだ。
ヤクザが絡むサブストーリーは特に必要性も感じなかったが沢崎が登場するシリーズの2作目という事もあり、1作目にその詳細があるのか?と思ってしまった。
あまり作品が多くはない作者「原尞」実はジャズピアニストということもあり、ここにこんな和音を?こんなとこでそんな弾き方?というイメージで読み終わった。 -
登場人物の数が多く物語も7割を読み終えてもいい意味で先が見えない!
最後も2転3転する展開があり、終始楽しめました!
主人公の探偵沢崎のふてこくもどこか人間味溢れるキャラクターも良かった! -
身代金誘拐事件に巻き込まれた
私立探偵・沢崎。
警察の必死の捜査にも関わらず、
身代金も犯人も行方が知れず、
人質となった天才バイオリニスト少女の
安否も不明となった。
沢崎は孤独に事件の真相を追う。
大傑作。
これを本格ミステリとして
読むのはおすすめ出来ない。
本格としてはアンフェアな部分も多く、
用意されているオチも
さほど強烈な一撃をくれない。
だが、ハードボイルド・エンタメ小説
としては、日本の文芸界の歴史に
名を刻む一冊だと感じた。
昭和の香り漂う大都会で活躍する
探偵の姿や、登場人物達の口調、
キャラクター、文章の語り口、
ユーモア、誘拐事件の謎、
好き嫌いは出ると思うが、
ハマる人には堪らない作品だと思った。
私にはどストライクだった。 -
依頼の電話があって出かけたのに、警察に囲まれた。
初っ端からすごい疑いをかけられています。
協力するか否かの選択も、したくないものがありますが
料金を説明して仕事とするのがすごいというか…w
身代金の受け渡し、入った邪魔に、呼び出し電話。
あからさまな罠もあり、どうなってこうなるのか。
容疑者多数に、首を突っ込んでくる兄も。
背負うには辛すぎる真実が分かった時
おろしていいというのに、ほっとします。 -
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いつもコメント嬉しいです、まだまだ読みますよっ
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akiさんのレビューの凄い所は星3でもめちゃくちゃ名作に思える所ですね。でも人それぞれだから誰かにとっては5かもしれないわけで、そこも凄いなって思ってます。目指せ1000ですね!すぐ行きそう!
お褒めいただき、嬉しいです^^ 次は1000冊目ですね、楽しんでいきます~
お褒めいただき、嬉しいです^^ 次は1000冊目ですね、楽しんでいきます~