終わりなき索敵〈下〉 (ハヤカワ文庫JA―航空宇宙軍史 570)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150305703

作品紹介・あらすじ

謎の重力波源は、回転するブラックホールの多重複合体と判明。だが、観測を続行するユリシーズは、重力波源との衝突の危機に陥る。それを救ったのは、作業体Kと呼ばれるサイボーグだった。未来におけるユリシーズの遭難を見たKは、過去に干渉して艦を救おうとする。やがてKはブラックホールに落ち、未来へと転生するが…。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだがどのような結末が具体的に思い出せない出来(の悪さ)。ハードSFと認識されているように思われる本シリーズだが、ついには光速も突破し東洋的宗教じみた展開もあり、呆れるのは原始的な生物から知的生命体への進化が転生の繰り返しのように延々と描かれ興味深くはあるが、これまで一応宇宙空間での小数の艦艇での地味な戦いをギリギリエンタメとしてやってきたシリーズの(今は新シリーズが始まっている【しかしあまり覚えていない結末だがどのような新シリーズがありえるのだろうかこれで?】ので前シリーズとなるが)結末としてはあまりに抽象的、悪い意味で形而上学的、アジア風雰囲気のまといかた。奇麗に、かつ人間の情感に激しくあるいは重厚に響きわたるるような人間ドラマの結末とはいえないため、個人的には低評価とならざるをえなかった。

  • 上巻と同様、古本を購入。下巻に入って、話はますます壮大になったが、現実感というか、もしかしたら本当にこういうことが起こるかもしれないという期待感は、すっかり失われてしまったような気がする。特に、第三部の後半部分(第十一章「星を追う種族」から第十四章「反乱」まで)には、「航空宇宙軍史」シリーズの世界とまったく異質の物語世界が紛れ込んだような違和感を覚えた。人類と起源が異なる知的生物との邂逅を描いた部分だから、この違和感は作者の意図したとおりなのかもしれないが、それにしても、草上仁か大西科学の作品に出てきそうな世界は、このシリーズでこれまで描かれた世界と共存するには異質すぎるのではなかろうか。超光速飛行技術が話に登場したときは、相対性理論が予想する因果律の矛盾をどうするつもりかと心配したが、過去が改変されて矛盾は生じないという結末には、それなりに納得した。当初はこのシリーズに含まれていなかった「惑星CB-8越冬隊」は、この「終わりなき索敵」でこのシリーズの一作品として取り込まれたことが分かった。その他の作品で描かれた事件も顔を出すが、作者が「あとがき―終わりなき物語の途中で」で書いているとおり、時代背景、技術的背景が共通しているというだけで、物語上の顕著なつながりはない。全作品を読んでみて一番印象に残ったのは、やはり「星の墓標」だった。

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著者プロフィール

1951年兵庫県生まれ。青年海外協力隊などを経て作家デビュー。SF小説、冒険小説、山岳小説など広い分野で高い評価を得ている。96年「白き嶺の男」で第15回新田次郎文学賞を受賞。主な著作に「航空宇宙軍史」シリーズ、「覇者の戦塵」シリーズ、『白き嶺の男』などがある。

「2019年 『硫黄島航空戦線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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