たまご猫 (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-1)

著者 :
  • 早川書房
3.41
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本棚登録 : 241
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150305949

感想・レビュー・書評

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  • 怖い、妖しい、美しい短編集。
    どの話も本当たまらなく良かった。
    「おもいで・ララバイ」
    「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」
    「骨董屋」が特に気に入りました。

  • 一言で表すと、美しくて怖い物語でしょうか(ベタですいません)。

    表題作の「たまご猫」が気に入りましたが、どの話も面白かったです。
    「をぐり」や「厨子王」などは実在の古典がベースになっているのでしょうか。
    この「厨子王」ですが、以前山椒太夫を読んだ時のことを思い返して、こんな描写あったかな?と感じたのですが、皆川さんがお考えになったのでしょうか。
    それか、私が読んだものが読みやすいように(あるいは子ども向けに)変えられていたものかもしれませんが。

    怖いと言っても、どのお話も震えあがるほどではないのですが、「骨董屋」はゾッとしました。
    エツ子とリュウも怖いけど、麻子はてっきり小島との結婚を断ると思っていたのに、それをしないで(?)『変えてあげるわ』などと言うので、一体何をするんだ?!とそちらの方が怖かったかも。

    あと、いくつかの話が繋がっているのでは?という感じを受けました。
    微妙ですが、もしかしたらこの人とさっきの話のあの人は親戚なのかな、というような。

    ところで黒澤明監督作品に夢というオムニバス形式の映画があります。
    最初から最後まで観たわけではなく、たまたまやっていたのを観ただけですが、
    その中の一つにお雛様が出てくる話がありました。
    詳しくは覚えていないのですが、雛人形が人の大きさになって(人間がお雛様に扮装している)、
    梅?が咲く中、お雛様よろしく段になって並んでいる場面があります。
    そのシーンが強烈に印象に残っているのですが、「春の滅び」というお話を読んでそれを思い出しました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「をぐり」や「厨子王」などは実在の古典がベース」
      「をぐり」は不思議な(ってどれもですが)話で結構好きです(小栗判官)。
      「「をぐり」や「厨子王」などは実在の古典がベース」
      「をぐり」は不思議な(ってどれもですが)話で結構好きです(小栗判官)。
      2012/05/02
  • 現実と幻が入り混じるような雰囲気の短編集。ちょっと背筋が寒くなったりならなかったり。
    「雪物語」が怖くなくて好きだ。

  • 表題作が凄い! ラストのイメージがとても鮮烈で、恐ろしいのだけれどそれ以上に美しい。「たまご猫」という、一見わけ分からないタイトルも惹きつけられるし、これは名作。「クライン・キャット」欲しいなあ。こんな結末になってしまうのは嫌だけれど。
    「骨董屋」は他の短編集でも読んだ覚えがあるけれど、やはり傑作。幻想的な美しさもさながら、はっきりとしたオチもあるので、「皆川作品はどうも分かりにくい」という人(かくいう私もけっこうそう思っています。好きなんだけどね)にもお薦め。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「雰囲気に呑まれてしまう部分」
      確かに、、、
      初期の作品「ペガサスの挽歌」が、そろそろ書店に並ぶ頃らしいです。
      「雰囲気に呑まれてしまう部分」
      確かに、、、
      初期の作品「ペガサスの挽歌」が、そろそろ書店に並ぶ頃らしいです。
      2012/10/05
    • ao-nekoさん
      「ペガサスの挽歌」買いました!
      読むのが楽しみです。
      「ペガサスの挽歌」買いました!
      読むのが楽しみです。
      2012/10/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「ペガサスの挽歌」買いました!」
      おっと、早いですねぇ~私は図書館に予約予定です。。。
      「「ペガサスの挽歌」買いました!」
      おっと、早いですねぇ~私は図書館に予約予定です。。。
      2012/10/09
  • 友人におすすめ頂いた作品。
    一番の感想は「この著者さん[結婚]に何か恨みでもあるんかな?」という事。

    短編集で読みやすい。作品の全貌がわかった時のゾワゾワ感が良かった。

  • 現実との境界が曖昧で、気がつけば幻にとらわれている。もしかしたら、現実などないのではとも思えてくる。甘美な悪夢を見ているようで、頭が蕩けた。「春の滅び」と「水の館」が好み。

  • 初めて読む皆川作品集。
    『たまご猫』『をぐり』『厨子王』『春の滅び』『朱の檻』『おもいで・ララバイ』『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』『雪物語』『水の館』『骨董屋』の10篇。

    どの短編も、短編の鏡というべき、構成のひねり、あっといわせる結末、虚実の反転、が描かれる。
    そして一文の無駄もない文章。
    茫洋と闇の中にゆっくりと沈み込んでいくような、えもいわれぬ恐さや不気味さを感じる。

    たまご猫、春の滅び(雛人形のライトモチーフ)、朱の檻(座敷牢への取材)、骨董屋(骨の笛)、が気に入った。

    解説の東雅夫も書いている通り、幽霊小説。
    幽霊、異世界、幻想によって現実の世界が一変する、小さいが大きい力を持った短編群。

  • 帯の「怖い、妖しい、美しい」まさにこれ。

  • 可愛らしいタイトルだけど、意外と怖めのお話ばかり。表題作は自殺した姉の遺品を整理する妹が出くわす怪異。「をぐり」「厨子王」はタイトル通り説経浄瑠璃の「小栗判官」と「山椒大夫」をモチーフにした歪んだ姉弟もの。古い雛人形に魅入られた女性の「春の滅び」はアンソロジーで読んだことがあったけどこれも不気味で淫靡。新婚旅行で訪れたペンションが実は過去のトラウマに関係していた「おもいで・ララバイ」も最後のオチがとても怖い。

    座敷牢のある旅館「朱の檻」、ジャズバンドのメンバーの夜ごとの同窓会「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」、バーのマスターと常連客の「雪物語」、アイドルグループの少年と男性マネージャーの「水の館」、奇妙な姉弟が妊婦を脅かす「骨董屋」は、いずれも死んだ人がしれっと現れたり時間が歪んで過去と未来がごっちゃになったり、全体的に類似のテーマだった気がする。「雪物語」はこの中ではハッピーエンドなほうかな。「骨董屋」が個人的には一番ゾッとした。

    ※収録作品
    「たまご猫」「をぐり」「厨子王」「春の滅び」「朱の檻」「おもいで・ララバイ」「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」「雪物語」「水の館」「骨董屋」

  • かわいらしい書名とは裏腹に、おどろおどろしいお話ばかり。
    骨董屋の狂い具合が素敵。
    文庫のカバー絵は北見隆氏。赤川次郎の三毛猫シリーズの表紙なんかもこの方なので、子供の頃からなじみ深い感じです。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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