死の泉 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 950
レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (659ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150306625

感想・レビュー・書評

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  • 戦時下ナチスが管理していた未婚の妊婦/ドイツ周りの国から連れて来た孤児を保護する施設に身を置く人々を中心に展開される幻想ミステリ。

    文章がとても読み易くスラスラページをめくる事が出来るが、あまり注意をせず読むとラストに向けてのドンデン返しで置き去りにされてしまう。

    後読み易いとは言え物語が長過ぎるので、ミステリ部分を期待して読んでしまうと冗長に感じてしまう恐れあり。
    耽美的な雰囲気を小説で味わい人なら期待に十分に応えてくれるはず。そのついでにラストに驚くのが本書を一番楽しめる読み方かと。

  • 読み終わった瞬間の衝撃が計り知れない。
    感想を書くとネタバレせざるを得なくなるのであまり詳しく書けない。
    ナチス・ドイツのレーベンスボルン施設からはじまり、時に敗れた中世の廃城にて物語は終わる。ドクター・ヴェッセルマンはいけ好かないが各所に鏤められたモチーフが美しい。

    この物語を読んでいるあいだは、ずっとこの物語のゆくえを思い続けていた。ここまで心を捕らわれる話もなかなかない。
    最後のどんでん返しがまたこの上なく絶妙で、この物語に捕らわれる日々はまだまだ続きそうです。

    再読したい。

  • 新装版を購入。アマゾンが画像を切り替えたらこちらも変わるのかな?
    http://yaplog.jp/y-sketch/archive/751

  • 幻想的な文章が肌に合わない。この世界に浸りきることができれば、メタミス的な部分であったり、入れ替わりトリック(なりすましか)にもハマるのだろうが・・・。

  • 第二章あたりから、ぞくぞくするような感覚と一緒に早く早くと先を急ぐ目が止まらなかった。読んでいたのは夜で、早く寝たかったんだけどどうしても最後まで読まなきゃ眠れないようなそんな感覚。文章の構成がうまいのだろうし、いちいち気になるワードが出てきて「え、それって?」と作者の解答を得たいがために先へ先へと読み進める。最高だった。
    この作者の作品はどれもぞくぞくっとくるものがあるけど、ドイツを書かせたらそのぞくぞくっも二倍三倍。伯林蝋人形館もそうだったし、この死の泉もそう。
    最後の最後まで気の抜けない話。そして構成がおもしろかった。
    どこからどこまでが現実で、幻想なのかわからなくなる世界はここちよくて不気味。
    読み終わった後で結局なんだったんだろう、と、思って呆然とする感覚が気持ちいい。

    ■概略
    第二次大戦下のドイツ。私生児をみごもりナチの施設<レーベンスボルン>の病院に身をおくマルガレーテは、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウスの球根を承諾した。が、激化する戦火のなか、次第に狂気をおびていくクラウスの言動に怯えながら、やがて、この世の地獄を見ることに……。
    双頭の去勢歌手、古城に眠る名画、人体実験など、さまざまな題材が織りなす美と悪と愛の黙示録。

  •  「開かせていただき〜」を読み、辛抱たまらず再読。
     うしろぐらい美しさを集めた完璧な世界観に息がつけられなかったっけ。読了後、凄まじい夢も見た。
     でも、これは紛れもない娯楽小説なのだと改めて思う。ちょっとB級かも。心のゴシック・ロマン棚からは外さないけどね。

  • 第二次世界大戦下と、戦後のドイツが舞台。
    芸術を偏愛し不老不死の研究をする医師・クラウスの狂気に、
    私生児をみごもったマルガレーテ、
    美声を持つポーランド人の少年、エーリヒとフランツ、
    私生児の父・ギュンターなどが、巻き込まれていく…ような。

    作中作とか、
    そもそもミステリであることを、
    失念して読んでいたので、
    置いてけぼりにされました…

    でも、美の描き方が退廃的というか、
    後ろ暗さを伴った美しいものの表現が、
    なまめかしくて惹きこまれます。

    ナチスドイツは物語の装置として、
    すごく興味深いと思ってしまう病気だと思う。

    ミステリはミステリの心づもりをして読まないと、
    ラストに呆然としますが、
    それでも雰囲気だけでけっこう満足な一冊でした

  • 最後にどんでん返しで作中作っぽい構成といい、さすが皆川博子さん。重厚です・・・浦澤直樹の「モンスター」とか京極堂の「魍魎の箱」思い出したり。

  •  次第に崩壊していくナチスドイツと、それに歩調を合わせるように次第に退廃的になっていく登場人物たちの人間模様が、ある種の陶酔感を残す魅力的な作品でした。
     
     ただラストに近づくにつれて、ストーリーが一気に進むが、スピード感が増すというより、文章が粗くなった。

     非常に惜しい気がする。

  • 最後の最後まで恐かった。ナチスのことは知っているような気がしていたが、まだまだ知らないことがあるらしい。
    美に狂気を向ける人間が権力的な力を持つとこれ程に恐ろしいとは。この狂気や恐怖は皆川博子さんでないと書けない。恐ろしいと同時に美しいのだろうな、と想像してしまった。
    最後のオチがまた恐怖を煽るので、終わったと思っても気が抜けない。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ ひろこ)
1930年旧朝鮮京城生まれ。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁・旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞(長編部門)を、『恋紅』で第95回直木賞を、『開かせていただき光栄です‐DILATED TO MEET YOU‐』で第12回本格ミステリ大賞に輝き、15年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。著作に『倒立する塔の殺人』『クロコダイル路地』『U』など多数。2019年8月7日、『彗星図書館』を刊行。

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