探偵はひとりぼっち (ハヤカワ文庫 JA (681))

著者 :
  • 早川書房
3.49
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本棚登録 : 791
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150306816

感想・レビュー・書評

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  •  『探偵はバーにいる』でススキノ探偵の<俺>がデビューしたのが1992年。本書は長編第四作で1998年。28歳だった<俺>も中年の領域に入り、可愛い恋人もできて、多くのススキノの脇役たちとの繋がり方もよりいっそう年輪を経て、磨きがかかっている。

     ハードボイルドの探偵はたいていどこか孤立した存在で反社会的な傾向があるものだが、このシリーズの主人公も例外ではない。そればかりか、むしろへらず口を武器に、真っ向から多くの社会の側から押しつけられる価値観に牙を剥いたりもする。

     オカマのマサコちゃんが嬲り殺しにされる事件に端を発する、かなり奥深い今回の事件も、社会の闇に切り込んでゆく颯爽たるナイトの物語でありながら、ススキノで酒ばかりカッ食らう快楽主義者の<俺>は欠点だらけで親しみやすい非常に身近な存在であり続ける。まあ、それがこのシリーズの最大のポイントなのだけれど。

     この主人公を作り出すことでほとんど成功したシリーズではあるけれど、ぶつかる敵の大きさは巻を重ねるごとにどんどん巨大になってゆくイメージがある。本作では権力に影響を与えることのできる代議士の不正に挑戦。

     北の街のリアルな描写のなかで、ゆったりと好きな映画を好きなように語る主人公の面白おかしさがあるかと思えば、一気に緊張に持ってゆく権力機構の闇の暴力が取って代わる。これ以上ないようなメリハリがこのシリーズの厚みである。娯楽性と、何とも言えぬ人間たちの物語。友情、そして愛情の物語である。探偵を取り巻く生活の匂い。それを書き切ることのできる筆力の確かさ。

     この頃から東直己の作品から大きな作家的自信を、こちらとしても感じ取ることができるようになってきた。多作とは言えない彼が、作家という商売だけで飯を食えるようになるための、試練をクリアしてゆく様子が、何とも頼もしい限りである。

  • みんなに愛されていたオカマのマサコちゃんが、めった打ちにされて殺された。若いころに彼と愛人同士だったという北海道選出の大物代議士が、スキャンダルを恐れて消したのではないかという噂が流れはじめる。マサコちゃんの友人だった俺は、周囲が口を閉ざすなか調査に乗りだした。やがて、身辺に怪しげな男たちが現われ、奇怪な事件が…

  • 映画観終わってすぐ映画館の下の本屋で買って読みながら帰っててその日のうちに読み終わったので、映画とちょっとごっちゃになってる。
    映画1作目のバーにかかってきた電話はかなり原作に忠実だったけどこれはけっこう違うんだね。
    とはいえ大筋は一緒だから結末とかはわかってるんだけど、おもしろかった。
    他のも読みたいけど映画になるなら映画を先に観たいからなー。
    そして春子が何者なのか気になるんだけど消えた少年て映画にならないかな。

  • みんなに愛されていたオカマのマサコちゃんが、めった打ちにされて殺された。若いころに彼と愛人同士だったという北海道選出の大物代議士が、スキャンダルを恐れて消したのではないかという噂が流れはじめる。マサコちゃんの友人だった俺は、周囲が口を閉ざすなか調査に乗りだした。やがて、身辺に怪しげな男たちが現われ、奇怪な事件が…日本推理作家協会賞受賞作家が描く、軽快なハードボイルド・シリーズ第4作。

  • (2015.7.18)
    (535P)

  • 2014.11.20ー76
    探偵シリーズ4作目。
    オカマのマサコちゃんの惨殺犯と噂のある代議士の後援会長の甥を追い詰めるものの犯人は見当違いとの結末はあっけないが、東直己ワールド全開で一気読み。

  • ☆3.0
    うーん…。
    何だかあっけない終わり方。

    「俺」がオカマのマサコちゃんの死の真相を追うことで、色々な勢力に狙われ、強力な親友、高田まで負傷して入院。
    窮地に陥った「俺」がどのように奪回していくのか、と思いきや、アレ?これで終わり?って感じで肩透かしをくらった気分。

    色んな「大人の」事情に真っ向勝負を挑む「俺」の無謀さにハラハラしつつも、胸がすく思いをしていたのでちょっとがっかりしてしまいました。

    ストーリーは変えてあるものの、映画の方が面白かったです。

  • ススキノ探偵。図書館で借りました。
    分厚くてびっくり。

    セクシャルマイノリティの犯罪事件に大物政治家の影有と言うことでしょっぱなから捜査が及び腰になってしまい結局ゲイコミュニティのアカ狩りで終わってしまうのか、と言う所に現れた主人公…の割にあまりかっこよくない(笑)。収まる処に収まる話しをひっくり返して…と言う周囲のお説教をものともせず果敢に挑む割に随分見当違いな所で犯人が見つかったり。なんだったんだ、と言うか(笑)

    それにしても主人公が見当違いな所から色々付け狙われていてナンダカナ。日本って法治国家だよね?とか思ったりもしますが実際危ない橋を渡るととんでもなく危ないんだろうなあ。と言う所で春子さんの爆弾発言で終わり。

    個人的には中学校教諭なんてやってる安定志向性の高そうなハルコさんが何を好きこのんで定職ナシ、やってることは犯罪スレスレの主人公と付き合いだしたのか理解に苦しみます。まあ人間自分に無いものを持つ人に惹かれると言うしね。まあそれにしても…と思いますがハルコさんあまり好きでは無いのでどうでも良いかとも思ったり。

    でも主人公は無茶するのはご自分の勝手ですが周囲に飛び火するのはどうにもなあと思います。カッコつけるなら友人・恋人に飛び火しないように自分の尻は自分でもて、と言いたいけどまあそういう主人公なんでしょうね。

  • 俺は、少しでも自分のことを知っている人のそばにいたかった。だが、それは悲しいほどにみっともない気持ちだと思った。

  • 原作と映画でストーリーが違うのは何故?

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著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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