戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.08
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レビュー : 292
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150306922

作品紹介・あらすじ

南極大陸に突如出現した超空間通路によって、地球への侵攻を開始した未知の異星体「ジャム」。反撃を開始した人類は、「通路」の彼方に存在する惑星フェアリイに実戦組織FAFを派遣した。戦術戦闘電子偵察機・雪風とともに、孤独な戦いを続ける特殊戦の深井零。その任務は、味方を犠牲にしてでも敵の情報を持ち帰るという非情かつ冷徹なものだった-。発表から20年、緻密な加筆訂正と新解説・新装幀でおくる改訂新版。

感想・レビュー・書評

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  • DVD見たので原作も♪

    淡々と続く無音世界のようなFAFの最前線基地。
    「必ず帰ってこい」という至上命令を実行する十三機のシルフ。
    ブーメラン戦隊の一員の深井零中尉。

    前半は難しくて、半分借りたことを後悔しつつ読んでけど
    中盤、終盤と面白くってページをめくる手が止まらなかった。

    ジャムにとっては人間は脅威で、雪風にとっては中尉は
    ・・・・・・。むふ^^

    「全系統異常なし」から「戦闘妖精雪風」「スーパーフェニックス」
    までは、ブッカ―の名言の多さにジーンとしびれた。
    そして雪風、クールビューティー過ぎてカッコいい。


    いつかこんなジャムのような敵が現れそうで、こわいし
    いつかコンピューターが意思を持ちそうで、ぞわっとした
    場面も多数。
    人の存在意義を色々と考えさせられた。

  • ある日突然南極大陸に出現した超空間ゲートから、謎の異星体〈ジャム〉が地球への攻撃を開始した。その由来も目的も、姿すらも判明していない〈ジャム〉の攻撃に対抗するため、人類は超空間ゲートの向こう側へと突き進み、ゲートの出入り口に存在する謎の惑星〈フェアリィ〉に前線基地を建設し、フェアリィ空軍FAFが最前線の防衛の要となっている。
    FAFが誇る最強の戦闘機〈スーパーシルフ〉を擁する特殊戦第五飛行戦隊、通称「ブーメラン戦隊」。彼らの任務は、一切が謎に包まれた〈ジャム〉との戦闘を有利に導くために実戦に関するあらゆる情報を収集し、基地に持ち帰ること。そのため、たとえ目の前で友軍機が〈ジャム〉に撃墜されようとも、援護も救助もせず見殺しにして基地へと帰還する非情さが要求される。そんなブーメラン戦隊の三番機、パーソナルネーム「雪風」に搭乗する深井零少尉は、親友のブッカー少佐以外には誰にも心を開かず、ただ愛機・雪風にのみ心を寄せる機械のような心の持ち主だったが、雪風とともにフェアリィの空を舞い続けるうちに、様々な人々と出会い、少しずつ変貌していくことになる。そして、〈ジャム〉と人間との闘いもまた、思いがけない変貌を見せていくことに・・・。

    この厨二病全開なタイトルにドン引きしてこれまで手を出さずにいましたが、評価の高い作品なので思い切って読んでみたらあらびっくり。タイトルからは想像もつかない、実にハードでワン・アンド・オンリーな認識論SFの傑作です。

    この作品最大の特徴は、主な舞台となる惑星フェアリィの設定。〈ジャム〉が侵攻してきた超空間ゲートの先に地続きで存在する惑星で、地球との距離や位置関係等、基本的な情報は何一つ判明していない一方で、地球人類が生存するに何ら問題ない大気組成、地球によく似た植生とランドスケープを有しており、それを前提にFAFの大規模な前線基地が建設・維持管理されています。これ、実はある程度SFを読み慣れている人ならたぶん誰もが違和感を覚えてしまいそうな設定で、「超空間ゲートの先が宇宙空間じゃなくて惑星の地表に当たる確率って、すごく低いんじゃないの?」とか「いくら地球人類の生存に問題ない環境だからといって、いきなり基地を建設したりする?」とか、突っ込みどころ満載なわけです。
    しかし、この突っ込みどころ満載な舞台設定が、この作品を純度の高いSFたらしめています。軍を維持管理するために必要最小限の人数が適材適所で配置され、自己完結した小さな社会の中で日々同じような任務を繰り返し続ける、言い換えれば、もっと生々しくて変化に満ちたごく普通の人間の世界から「社会的に隔離」されたフェアリィという舞台において、この作品のテーマである「人間とは何か?/人間であらざるものとは何か?」という根源的な命題が一切の社会的ノイズを排してくっきりと輪郭を現してくるからです。

    そもそも生物であるかすらも判っていない異星体〈ジャム〉。何のために地球侵攻を狙うのかわからないまま、人類は〈ジャム〉を敵と見なして戦い続けています。しかし、〈ジャム〉は人類に対して戦いを挑んでいる、と言えるのか?〈ジャム〉は人類など認識していないのではないか?なぜならば、〈ジャム〉が戦う相手は常に戦闘機であり、機械であって、そこに人間の息づかいは存在していないから。
    その戦いの最前線に立つのは、自律戦闘が可能なスーパー戦闘機と、同じ仲間であるはずの人間よりも機械を偏愛し、同僚の死にも「俺には関係ない」と言い放つ非人間的なブーメラン戦士達。他の人間達からは「機械のようだ」と忌み嫌われる彼らも、〈ジャム〉との戦いの中で「この戦いに人間は必要なのか?」と思い悩み始めます。そんな中、〈ジャム〉が取り始めた新たな戦略に、戦いは新たな局面を迎えます。そして、深井少尉と雪風の関係性も。

    機械のような人間とは?人間のような機械とは?そもそも人間とは?何のために人間は存在するのか?

    この”新たな局面”を示唆して、「戦闘妖精・雪風〈改〉」は幕を閉じます。この終わり方の、背筋がぞっとする怖さ!ここでこの物語が終わっていたら、歴史に残るホラーSFになっていたかもしれませんヽ( ´ー`)ノが、現時点であと2巻、続編が出ています。壮絶な思考実験とも言えるこの作品、先が気になって仕方ないので、あと2巻ももちろん読みます!どんどん難しくなるらしいけど!(汗)

  • 一言で言うと「これは面白いわ」である。

    心理学の講義を受講している学生が,「今,戦闘妖精雪風という本を読んでいるのですが,人間と機械の違いとはどのようなものでしょうか」というコメントを書いてきて,なんだそれはと調べて行き着いたモノ。

    書評を見ると,日本オリジナルのSFである,とか書いてあるので,SF好きの私としては手に取らなければならない気にさせられる。
    しかし,同時に,検索結果で出てきたアニメ動画を見て,なぁんだマニアックなモノなのか,という気もする。しかも戦闘機がメインに描かれているから,ミリタリー・マニアの好むような話なのかも知れぬ。

    という葛藤はあったものの,SFであるというポイントを信じて読んでみた。

    読むと,これは確かにSFであり,心理学である。
    非人間的・機械的と言われる主人公の,なんと泥臭くて人間的であることか!機械とは何か,生きているとは何かということを,深く考えさせられる内容である。

    確かに軍隊モノのマニアックな文章表現なども含まれるが,それを越えて伝わってくるものが間違いなく存在する。

    森博嗣の書く理系小説にでてくるのとは,またちょっと違った意味で非人間的,非文系的な主人公の考え方を通して,人間とは何かを考えさせられる良書だと思う。

  • 「未知の異星体vs人類」という単純構造にならない物語が面白い。

    地球に侵攻してきた異星体“ジャム”との戦闘のために 人間がつくりだした高性能コンピュータ。それを搭載した戦闘機“雪風”は、もはや足手まといな人間の手を離れて、「〈われわれ〉の敵」であるところのジャムとの戦いを遂行しようとしていた。一方 ジャムもまた 人間ではなく戦闘機の方を敵として認識しており、人間たちは自分たちの存在意義、そしてこれまでの戦闘の意義を疑い始めることになる。

    機械と人間。両者を区分するものとはいったい。

  • よくもまあここまで細かく描写するもんだ。

  • いやいや、面白かった!
    途中まで、「そこまでかー?」なんて思ってたけど、ジャムが人間じゃなく、地球産の機械を相手にしてるんじゃないか、そして地球産の機械もそれをしってるんじゃないか?ってあたりから、たまらなくなってくる。
    日本SFなめてました。
    すいません!
    そして、日本SFみんな読もうぜ!

  • 約30年前に読んでいたら、衝撃度が増していただろう。戦闘機による戦争の話だと思って読んでいたら、全く違った展開になった。今でこそマトリックスやターミネーターなどで一つの物語ジャンルとさえ言えるようになった、機械が人間を超えてしまう話。

    ただ、戦闘機乗りが人間というよりも感情が薄く機械化していたり、アンドロイドの方が人間味を帯びていたり、その中でいつの間にか戦闘機雪風は人の能力を追い越している。対比の書き方が見事。そして、渇いているのに、うっすらと抒情的なのがとてもいい。

  • 初め人間と機械という対立かと思ったがそう綺麗にわけられるほど両者は違わない。雪風という人間には手の届かない、まさしく戦闘妖精がどこに向かうのか、人間と機械の違いとは、そう考えると強いメッセージ性のある作品だった。

    個人的にはブッカー少佐が人間くさく作者の気持ちを代弁してるのではないかと思った。

    戦闘描写は細かく、リアリティはあるので取材をよくしたことは分かるが専門用語が多く、素人には食いつきにくかった。
    日本の近代SFの代表かと思ったが個人的にはそれほど残るものではなかった。

  • 初めて読んだ時は戦闘機のドッグファイトに胸踊らせたものだが、今読んでみるとまた違った面白さがある。機械と人間の関係を描く<雪風>は25年近く経った今でも色褪せない。

  • 小説のあらすじはamazon辺りに任せるとして。SF愛好家などのオススメを見ると高い確率で上がっている本作品。その人気ゆえOVAも製作されたほど。個人的には国産SFのバイブルがこれで、海外SFは「星を継ぐもの」なのかなと勝手に勘違いしている。(星を継ぐものは読んでないけど)
    勝手な勘違いはさておき愛好家にオススメされ、レビューでも高評価を受けているだけあって非常に面白い。全体的に暗めのトーンが横たわっている感じが心地よい緊張感を生み出しており、細かい設定やトンデモはあまり気にさせずに物語りを十分に楽しめることができる。ただ著者は戦闘機マニアなのか、戦闘機についてはかなり細かい描写が繰り替えされ若干食傷に感じた。後半はその辺りの描写は飛ばして読んでしまっていた。
    ネタバレせずに本品の場面や言葉などを賛美するのは非常に難しいのだけど、ブッカー少佐が勲章の件でコンピューターと対話するシーンや、雫が病院に運び込まれるシーンなどはかなり緊張感を持って読むことができる。かなり昔の作品なので取り扱うテーマは特に目新しさは無いといえるが、評判通りにSF好きなら誰もが楽しめる内容であろう。むしろこのような「枯れたテーマ」を扱っているからこそ、SFマニアだけでなくライトな小説好きにも受け入れやすく、評価に繋がっているのかもしれない。
    何れにしてもエースコンバットシリーズが好きな人であれば迷うことなく読むべきである。メビウス1は人間であっても、マシン自身であってもロマンにあふれているだろう。

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著者プロフィール

1953年、新潟県新潟市生まれ。79年、短編「狐と踊れ」で作家デビュー。『敵は海賊』、『戦闘妖精・雪風』シリーズなどで数多くの星雲賞を受賞し、95年、『言壺』で第16回日本SF大賞を受賞した。『魂の駆動体』、『永久帰還装置』、『いま集合的無意識を、』、『ぼくらは都市を愛していた』など著書多数。SFファンの圧倒的な支持を受けている。

「2017年 『フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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