マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 1433
レビュー : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150307301

感想・レビュー・書評

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  • SF史に残ると言ってよい傑作では。
    このボリューム、戦闘やカジノのしつこすぎる展開と描写なのに、全くダレさせない。
    少女とネズミ、ギャンブルと武器、とてつもない強力な敵との対決、乱暴に言えばこんなもんで構成されているのに、サイバーな舞台設定と魅力的すぎる登場人物で読み手を惹き込むこと甚だしい。
    この長いストーリーの全編を通じ、何ら裏切られるものがなかった。
    ラストも染み渡った。驚異的です。
    作者の圧倒的な筆力のなせる技でしょうなあ。
    あとがきで、反吐を吐きながら書いたとある。
    うなずける内容です、感服。
    感動薄れぬうちにヴェロシティに移ることをお勧めする。冒頭にシーンは繋がっている。

  • 想像していた感じにまとめてきたね。

    とはいえ、圧倒的な世界観に脱帽である。
    途中からすっかりカードゲームの話になってしまったのが少し残念に思う。

    とにかく、これで「ひと段落」なのだ。

    ところで、私はバロットに抱きしめられたら、
    きっとお尻を撫でるだろうことをここで伝えておかねばならない。

  • 全3巻とちょっと量はありますが、この人文章うまいです。なかなか読ませます。んでもってちょっと泣かせます。ひさかたのSFハードボイルド。主人公の少女とネズミがお互いの「有用性」(=存在意義みたいなものかな)を求めてお互いを尊重しあいながら戦うという設定もグッと来ます。オススメです。

    アクションもいいですが、個人的にはハードボイルド特有のちょっと気障なセリフ回しや、人物の内面描写がうまいと思います。カジノでのブラックジャック対決の最後なんて本当にうまいなあと思いました。カジノのシーンは僕も途中でちょっとツラくなりました。でも勝負の最後で思わず目頭が熱くなってしまったのには自分でも驚きましたが。

  • 【シェルの記憶が移植された100万ドルのチップを求め、バロットたちは彼の雇い主が経営する高級カジノへ向かう。ウフコック、ドクターのサポートを得ながら勝ち進むバロットの前に、ついに世界トップクラスのディーラーが立ちはだかる。さらに宿命の追跡者ボイルドが彼女たちを追い詰める。今、すべての勝負に、決着をつける時がきた!】

     この作品の肝とも言えるカジノ編のクライマックス、そしてボイルドとの壮絶な死闘が今回の見どころです。ブラックジャックは初心者でしたが、ストーリーを交えたわかりやすい説明だったので助かりました。
     最後はこっちも泣きそうになりましたね〜。言葉が泣かせてくれます。
     ボイルドとのバトルは、どれだけ叩いても立ち上がる執念さから、ターミネーターを思い出しました。

  • シリーズ読了。

    書いた後吐いたというカジノシーン。
    有用性。
    ウフコックの最後の姿。
    ストンと腑に落ちるエンディングだった。

    長い話もSFも不得手なのに最後までぐいぐい読めた。
    貸してくれてありがとうございました。

  • 前回のドンパチから一転、カジノのシーンがたっぷり。
    みんなウフコックが大好きだな。。。

  • テンポ、スピード感。
    この作家の良さは、そこに引き込む力と勢い。
    素晴らしいエンターテナーである。

  • バロットは自分をとりもどした。面白かったが、やはりポーカーのくだりが長かったかな。あれはあれで面白いのだけど、本流かというと、違うよなぁ。
    アニメ化されてるみたいなのでチェックだね。

  • このシリーズはアニメ化されていて、主人公の声は林原めぐみさんが担当してます。綾波レイの声にしか聞こえなかった、綾波レイという役柄は良くも悪くも林原さんには影響多かったんだろうな…としみじみ思いました。と本筋には関係ありません、3冊からなっているので1冊ずついきます。

    「圧縮」
    少女娼婦ルーン・バロットは保護者である賭博師シェルの奸計により瀕死の重傷を負うものの、委任事件担当官である、ドクター・イースターとねずみ型人工生命体ウフコックに助けられる。金属繊維の全身移植により高度な電子干渉能力を得て再生したバロットは、最強の個人白兵戦兵装であるウフコックを手にシェルの犯罪を追う、しかし彼女たちの前に、かつてのウフコックのパートナー、ボイルドが立ちはだかる。

    近未来を舞台にしたSFです、しかしながらその社会は未成年への性的虐待、ドラッグ、犯罪と現代に通じており、バロットの抱える闇を彼女がいかにして打ち破っていくのか?そして彼女のパートナー、ウフコックとの関係は?というのがストーリーの中核です。しかし後半では虐げられてきたバロットが大きな力を持つこととなり、彼女の心象と行動の変化に驚きました。

    バロットを狙う殺し屋たちを、電子干渉と空間認識能力で圧倒するのですが、それが次第に虐殺へ、いたぶりながら屈辱に塗れさせたうえで命を奪う、というモノへ変化していきます。己のが手にした力を屈折した喜びのうちに振るうバロットに予期せぬ事態、ウフコックの離反というしっぺ返しが襲います。その間隙を待って最凶の敵ボイルドが…

    『燃焼』
    ボイルドの追撃を辛くも逃げ切ったものの、ウフコックは傷つき、バロットも精神的痛手を被ります。彼等が非難した先は「楽園」失われた科学技術の結晶がひっそりと息づく場所であり、ウフコックの生まれた場所でもあります。ウフコックとの絆も深め、さらにシェルの悪事を暴く切り札がカジノの100万ドルチップに隠されているという情報を得ます。そして後半はカジノシーンへと…

    いわゆるSF作品でこのような展開があるとは予想外でした!さまざまな書評を読んだところ、このカジノシーンは冗長という意見もあるようですが、このカジノシーンこそ最も面白いパートでした!かつてカジノを描いた読み物を読んだ記憶はないのですが、ポーカー・ルーレット・ブラックジャックと勝ち進んでいく様は緊張の途切れることなく息つく間もない勢いでページがめくられるのでした。

    後半でバロットは一人の女性と出会います、ルーレットのスピナー。彼女がバロットに示唆した言葉はとても印象深く心に残りました。

    「いるべき場所、いるべき時間に、そこにいるようにしな。着るべき服、使うべき言葉、整えるべき髪型、身につけるべき指輪と一緒に。女らしさは運と同じさ。運の使い方を知ってる女が、一番女らしい女なんだ。そういう女に限って運は右に回るのさ」


    『排気』
    勝ち続ける彼等は目的である100万ドルチップに手をかけます、しかし最強のディーラーが最後の敵として立ちふさがります。勝負がブラックジャック、このディーラーも女性スピナーと並んで非常によいキャラでした。成長途上のバロットに様々な示唆を与えたといえます。窮地に陥るも、己の力を、ウフコックとの信頼を、進むべき道を信じたバロットはギリギリの勝利を収めます。そして宿敵ボイルドとの最終決戦へ…

    SFアクションなので最後は安心して読めました。やはりこの物語の核は燃焼後半から排気前半のカジノシーンです。反論はあるかもしれませんが、個人的にはそうでした。

    カジノでちょっと勝負したくなります

  • 2011/10/6(~50) 7(~133) 10(~224) 15(~340) 17(~379終)

    前3部作の最終巻。
    カジノがまったくといってわからない私からすると興奮すべきカジノシーンは少々長ったらしく感じてしまったのが正直な意見だけれど、物語りすべてを通して考えるととても面白かった。
    悲しき経歴を持ち1度殺された少女が小さな金色の存在に恋をし救われていく過程、二人の絆に私が恋をしかけてしまった。

著者プロフィール

冲方丁(うぶかたとう)
1977年、岐阜県生まれ。4歳から9歳までシンガポール、10歳から14歳までネパールで過ごす。早稲田大学第一文学部中退。小説のみならずメディアを限定せず幅広く活動を展開する。
『マルドゥック・スクランブル』で日本SF大賞、『天地明察』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、北東文芸賞を受賞し、第143回直木賞にノミネートされた。『光圀伝』で第3回山田風太郎賞受賞。
代表作となる『天地明察』は2011年にコミック化、そして2012年に岡田准一主演で映画化されヒット作となる。2019年1月、『十二人の死にたい子どもたち』が堤幸彦監督により映画化。

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