永遠の森 博物館惑星 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.79
  • (79)
  • (75)
  • (115)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 674
レビュー : 91
  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150307530

作品紹介・あらすじ

地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館"アフロディーテ"。そこには全世界のありとあらゆる芸術品が収められ、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、分析鑑定を通して美の追究に勤しんでいた。総合管轄部署の田代孝弘は、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていく…。優しさと切なさの名手が描く、美をめぐる9つの物語。日本推理作家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • SF初心者だからか少し戸惑ったけれど、知的で優しく美しい素敵な話だ。幸福感が漂う読み味のよさで、読後はうっとり。

    あらすじ:
    地球の衛星軌道上に浮かぶ星には世界中のありとあらゆる美術品、動植物などが集められたアフロディーテと冠される博物館がある。学芸員、田代孝弘は芸術品がらみの部署間の争いや厄介な命令に、頭を悩ませながら対処しているうちに、さまざまな人の想いに触れる。

    何が大変かってそれぞれのデータベースや部署の名前を覚えるのが大変で、さらにいろんな横文字の名前が出てくるから混乱してしまって、初めは「解らないー!」とそこだけ戸惑った。ミステリ風味のストーリーたちはどれも優しく美しくて、素敵。全編を通したテーマがあって、それがまた抜群の効果を持っている。

  • 表紙の絵の通りパステルカラーの小説
    全体的に児童小説のような雰囲気。

    主人公の最後の言葉は陳腐なセリフだが
    そこに至るまでの、
    音楽と花の開花音、ピアノの寿命と雪のような雄花、喪失と補完、スピード感と幸福。
    それらがその陳腐なセリフに説得力を持たせている。

    コレこそが、感情の記録だと言えるのではないだろうか。
    ただ、この感情は空想の産物なのだけど。

  • SFと芸術。
    一見接点が遠いように思えるが、読んでみると違和感はない。

    短話がいくつも連なっている形式だが、毎回別の芸術ジャンルと別の展開が待っていた。
    加えて最終話への導線も各話に少しずつ盛り込まれている。

    舞台が同じ作品が他にあるなら読んでみたいと思うが、無いなら無いでいい。
    この一冊で十分満足した。

  • 設定はハードSFなのにリリカルな読後感。
    わりと大騒ぎな事件もあるのに、全体的にしんと静謐な空気が感じられて、初めて読んだ作家さんだったが、かなり好み。特に最後の「ラブ・ソング」がロマンチックでよかった。

  • とても"綺麗"で優しいSF。
    芸術やら美術とテクノロジーを融合させた話は読んだことがなかったのですが、面白い。

    イメージや「だいたいこんな感じ」で脳と直接接続したデータベースから検索できる技術も、そのうち実現するんだろうなという感想。
    今の技術だと、キーワードによるGoogle画像検索で概念がなんとなく調べられるので、それの超発展系のような感じか。

  • 10数年ぶりに再読。
    初めて読んだ頃の私は、まだあまりパソコンに馴染みがなくて、”バージョン”とか”接続”とかいうことの意味が本当にはわかっていなかったなあ。
    このお話が最初に書かれたのは1993年。SF作家の想像力ってすごいもんだ。

  • 「<ガイア>、覚えてね。こういうのが『綺麗』なの。
    この幸せな気分も一緒に覚えてね。」

    ハヤカワと言えばSFだろうか。ミステリだろうか。
    この作品は月と地球の重力折衷間に作られた人工星「アフロディーテ」を舞台として繰り広げられる。そこは動植物から舞台芸術まで、あらゆる美術品が集められる巨大博物苑であり、「直接接続者」と言われる学芸員が無敵のデータベース「ムネーモシュネー」を駆使して美術品鑑定を行っている。

    それぞれの短編が最後にまとまって1つの作品になります。どの作品もガラスのように透明感があり、とても綺麗な作品。分析鑑定により「綺麗」という「感動」を忘れてしまった主人公が最後に「芸術とはこういうものだった」と感動を思い出すシーンにはこちらがハッとしてしまいます。芸術作品対してのウンチクはないので、芸術に親しみのない人でも大丈夫(笑)。

    ほとんど設定がないにも関わらず、それでも「こんな場所があったらな」と思ってしまう、そして物語だとわかっていても「その世界は私が生きている間には作られないだろうな」とガッカリしてしまう、妙にリアルな世界観。

    ロマンチックで、ファンタジック。さほど多くない作品設定から、自分で想像で世界を膨らましていくのが好きな人には最適。

  • 人生で今まで読んだ本の中で最も美しい本です。

    やっと見つけた…
    たぶん八年くらい前に読んで、タイトルを忘れたままずっと探していた作品。
    やっと見つけた!!!

    SF小説で、宇宙中の『美』を集める巨大博物館『アフロディーテ』職員が主人公のお話し。

    SFなのにテーマは『美』
    不特定多数に対してなんらかの情動を歓喜する何らか。
    それって時代とともに変わらないんでしょうか??
    何か感動を生むものの共通点てあるんでしょうか??
    そもそもみんなが感じる美って同じなんでしょうか??


    例によって脳みそパソコン直結の攻殻的要素もありつつ(個人的ツボ)、
    それが設定要素としてきっちり盛り込まれていて実はキーだったりもする。

    設定に飲まれることなく話が進んで設定に必然性がありかつ登場人物達の内面は普遍的な人間らしさを持ち続けていてその中にこそテーマがある、というのは素晴らしいSFの必要条件だと思うのです。

    あぁ見つかって本当に嬉しい。
    たぶん五年くらい探した…
    私にとっては一生忘れない本の内の一冊です。

  • 2001年のベストSF、星雲賞、日本推理作家協会賞。宇宙に浮かぶ惑星の博物館、音楽・舞台・文芸、絵画・工芸、動植物各部門をもち、人類の芸術品を収集・分析・研究・育成している。新婚の学芸員が遭遇する謎とその解決、9連作短編集。

    さすがの受賞作。アートの謎には、感性、情熱、祈り、憧れ、そして愛がある。部門間のいつもの対立に悩む調停役..という連作お定まりの定型句も、最終話のラブストーリーにつながるとは。

  • まず設定に引き込まれる。

    一編毎に程よい読後感がありながら、後半まとめ上げる感じが良かった。

    美とは何か。
    感情とは何か。
    人間とは…といつの間にか考えさせられる本。

全91件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年生まれ。SF作家。2015年、『放課後のプレアデス みなとの宇宙』のノベライズを上梓。他の著作に『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など。本作がはじめてのビジュアルブックとなる。

「2016年 『GEAR [ギア] Another Day 五色の輪舞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永遠の森 博物館惑星 (ハヤカワ文庫JA)のその他の作品

菅浩江の作品

永遠の森 博物館惑星 (ハヤカワ文庫JA)を本棚に登録しているひと

ツイートする