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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150308094
感想・レビュー・書評
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SF短編集
SFに馴染みがない人には手を取りにくいタイトルかもしれない、でもSF的な教養がなくても表題以外はおそらく豊かな読書体験が出来ると思う
当時人生でとても悩んでいた僕には、今も本を読み続けるきっかけになった本
信念を否定され広大な洞窟に投獄される物語、「ギャルナフカの迷宮」(プロジェクトX風)
知性体の生態と、「老ヴォールの惑星」
世にも奇妙な物語風、「幸せな箱庭」(タイトルがネタバレ)
食べられる海しかない惑星に不時着した男の物語「漂った男」
一つだけ凡作(でも友達は1番面白かったと言っていた)があるが、手塚治虫と星新一しかSFというジャンルを意識していなかった当時の僕には、まさにセンス・オブ・ワンダーでした。意識して初めて小説を読み、終わりのない読書の世界に入門させてくれた本。ありがとう図書館でたまたま見かけた、このSFが読みたいと、魅力的なキャラクター、タワリ中尉へ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良いですねー。社会科学的な観点も含めて、本寸法のハードSFですね。
「環境による意識の変容」を共通のテーマとした4篇を収録。といってもそれぞれの作品に繋がりはなく、テイストも様々で、同じ素材を様々な手法で調理したコース料理を味わった感覚です。なかなか贅沢。
あまりSFを読み慣れていない人が「SF」と聞いて想起するイメージをそのまま作品にしたような、無駄なく引き締まった端正なハードSF揃い。冒頭の「ギャルナフカの迷宮」はSFの「S」風味薄めですが、社会科学系SFと言えますし、普段SFを読まない人にもお勧めできる、文句なしの傑作。
明るい結末の話ばかり、ではありません。暗い未来が待ち受けている不穏な雰囲気を漂わせたまま幕を閉じる作品もあります。それでも、登場人物たちが(時には悲壮な決意混じりながらも)共に協力し合い、前向きな勇気を持ち続けていることが、爽やかな読後感を残します。ちょっと理想的過ぎやしないか、と思うところも、正直ありますけどね(^_^; SFだもん、これぐらいキレイでも良いじゃないか!
小川一水氏の作品は、これまでアンソロジー収録の短編をいくつか読んだことがあるのですが、実はその「理想的過ぎる」ところが少々鼻についてしまい、あまり楽しめなかったのでした。この作品集に納められている短編群は、バランス感覚が絶妙で鴨的にもとても楽しく読むことができました。他の作品も、機会があればチャレンジしてみたいと思います。 -
「ギャルナフカの迷宮」「老ヴォールの惑星」「幸せになる箱庭」
「漂った男」の四篇を収録。
読友Mirokuさんのお勧めで購入しました。
実は、SFが苦手なんですが、小川作品は、SFと知らずに
読んだら印象がよくて抵抗なく読めました。
ギャルナフカの、人間としての意識を持ったまま
脱出を諦めない思考が感動的。暴走したとしても心情的に
納得できて、楽な方に逃げてないのがいい。最後のシーンも好き♪
「漂った男」の最後の1行で感動。
もう脱力しながら泣きそうになりました。
すぐに先を想像できちゃうところもスゴイです。
想像を絶する孤独って、体験したことないので、読みながら
ゾクゾクしました。 -
小川一水という人は『天冥の標』で超有名なSF作家。
日本SF界では次世代の日本SFを代表する一人と言われている。
『老ヴォールの惑星』は初期の中編4話を集めたもの
表題作「老ヴォールの惑星」
他の惑星に住む住人、生命体、知性という概念が、人間の想像を超えるとすると……。
この作品では、生み出される生命体の様式はその惑星の環境が決定づけている。
イメージすることがなかなか難しいが、不思議と納得できる物語。
「漂った男」
誰もいない惑星にたった一人取り残される物語といえばアンディ・ウェア「火星の人」が思い浮かぶ。
不時着した惑星の環境がこの人の幸福と悲劇をもたらすことになる。
全て水面の大きな惑星に浮かぶ人間ひとり、もう砂漠に蟻を探すより気が遠くなる。
頼みの綱が通信機。昔の遠距離恋愛のように画像のない電話だけで他人と繋がるようすが、とてもリアルに展開される。
悲劇も長く続くと日常になり、いい人ばかりではなくなる。
エンディングがとてもいいので、爽やかな読後になる。
その他の中編2話も「孤独と社会」や「幻想と実体」などのテーマを持ちながら、物語自体の面白さですっかりファンになってしまった。 -
どれも好きだ。特殊な言葉もすっと入ってくる読みやすさがあって、話に入っていきやすかった
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この作品を根底に持っている作家さん
なので、他の作品の時
だいたい安心してる自分がいる。 -
SF作品集。普段あまりSFを読まないので、頭ん中のいつもと違う部分が刺激されました。いきなり訳のわからない世界に放り込まれて、手探りで進む内に色々と判明してきて楽しくなり、もっと先へと進みたくなる。そんな感覚を楽しみました。
過酷な環境の惑星に適した姿を得た知的生命体が、自分たちと別の存在へコンタクトしようとする「老ヴォールの惑星」には、小説ならではの味わいがありました。この惑星に住む生命体や生存法は、それこそ映像にすれば一目瞭然なのでしょうが、文章で表わされたものを想像する時の刺激は、何とも言えない面白味がありました。その後で表紙のイラストを見て改めて感嘆の声が出たものです。
また水の惑星に漂着した男を描いた「漂った男」では、究極状態に於いて人は何をもって人と為されるのかが問われます。絶対的孤独の恐怖を淡々と描いた後のラストの盛り上がりには身が奮えました。
SFとしての面白さはもちろん、人とは何か、知的好奇心の行き着く先は何かという普遍的な問題も提示されています。何より未来へのまなざしが明るいのが素敵です。 -
小川一水を読むのは2冊目。
至極読みやすくてサクサク読めてしまうので、
ラノベっぽいのかなと思いきや、
この中編集で改めました。
不親切じゃないかと思えるようなSF特有の難解さは一切無く、
やはり読みやすいのですが、面白い!
サクッと読めてしまう小説は残らない物が多いのですが、
残るし、結局後でまたじわじわ読みなおしてしまいました。
「漂った男」が一番お気に入りです。
最後まで描き切らない、読み手の思考の余地を残す描き方が
どれも秀逸でした。
もう少しボリュームのある物が読みたいので、
今度は続きものにしようかな。 -
−−希望が百億光年星の彼方だとしても、それは確かにあるのだ。
『老ヴォールの惑星』。書店でふと手に取った、名も知らない作家の、SF中篇集。
寄ったマックで熱中し、最後まで読んで、動揺を隠せない自分に気付いた。
すごいものを読んでしまった、という驚きだった。
それが「ギャルナフカの迷宮」。これは二段三段と展開が急スピードで変化に富み、まったく退屈するヒマがない。
社会を作るって正しいこと?統治者は必要か?
主人公と一緒に自分の価値観もがつんと揺さぶられた作品。
この短編集は、ひとつひとつの物語の世界観がものすごくしっかりしている。
それゆえに、一気には読めない。
ひとつひとつ丁寧に噛み砕いて、読んでいった、そして最後の作品を読み終えたのが今日だった。
「老ヴォールの惑星」。
最初読んだ時は一番意味がわからない話だったけど、読み終えて思い返してみると、壮大さに心がふるえる。
老ヴォールの願いが、たわごとが、引き継がれていって、最後には強く輝く光になった、というような。
「幸せになる箱庭」。
おまえはどうやって自分が自分だと証明できるんだ?現実が現実だと認識できるんだ?
幻覚を現実として認識させ、理想の世界を差し出してくる異星人。
人類の前に立ちはだかる絶対的な力をもった存在と、それに翻弄される人間の姿を描いた作品。
「漂った男」。
絶望って、なんだ。
それを、絶望を経験した男が言うような、そんな気持ちよさ。
ある星に遭難して、Uフォン越しの会話だけを支えに生きていく男の話。
その星には生命を維持できる水があって、ただ生きる目的だけがなかった。Uフォン越しに会話する相手は、いつしか友となっていた。
「君が心の支えになっていた。どんな戦火も、君には届かないんだと思うとね」は、すごくすてきな台詞。まさにこのシチュエーションで言うべき台詞!
小川一水の作品では、登場人物たちは一度どうしようもない絶望を経験する。
時には正論だったり、環境だったり、そういうものに打ちのめされて、でも主人公たちは「それでも生きよう」と立ち上がるのだ。
それは宇宙の彼方で光る星の姿にも似ている。
こんなに高レベルの短編集があっていいのか、と正直思う。読まないで死んだら損以外の何者でもないなと思う。 -
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・短編集。ぼくにとっては正統的なSF作品。古いタイプとも言う? その分安心して読める。
・個と社会、といったふうなのが主潮低音のような気もするが単純にSF設定を楽しんでおけばいいとも思う。
・「ギャルナフカの迷宮」政治犯とされ人工的な地下迷宮に放り込まれた主人公は誰も他者を信じない弱肉強食が確立された世界であがく。
・表題作は地球とは全く異なる生物が日々サバイバルしている過酷な星に迫る終末の日。個体であると同時に全体がひとつであるような社会性を持つ生物がおもろい。
・「幸せになる箱船」限界までリアルになった仮想現実は本当の現実と何かが異なるのか? それは誰にもわからないとは思う。
・「漂った男」海しかない惑星に不時着したパイロット。絶対沈みそうにない装備と重くて沈みにくい海水だし何よりその海水は「食べる」ことができる代物で命の心配もなく通信機はどんな状態でも使える優秀さで会話にも不自由なく、ただ未知の惑星なので座標を割り出すことができず救助が来るまでひたすら漂うことになった。そんな彼の存在は? 安部公房の作品でも読んでる気分になった。 -
日本人作家自体あまり読まないうえに、ごく最近の若い作家だという事で、最初は抵抗があった。何というか、薄っぺらい?軽薄?ラノベか?という感じが拭えなかった。でも、いつの間にかのめり込んでいる自分に気づいたとき、不思議な感覚に襲われた。「漂った男」では涙すら流しそうになってしまった。
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【こんなに生きているものの力を信じて書かれたSFは読んだことがない】
一つ一つはそれぞれの秩序によって構成されているのに、四篇全て美しい藍色に包まれている。
渇望した奇跡は生き物が放つ光の中で簡単に色褪せ、生き物が生き物であるという事実の前で単なる必然に成り下がってしまう。
そのことに人は気づけないまま、起こった偶然に手を合わせ神に感謝する。
夢の中を心から楽しめるような、空想を頼りに道を歩くような、すごくここに居てくれるSFだった。 -
読んでみたいと思いつつ、なかなか手を出せていなかったSFジャンルに、ついに挑戦しました。読みやすい短編(集)で検索していたら、こちらの作品が薦められていたので、手に取らせていただきました。
発想は驚きに満ちていて、文体は非常に読みやすく、描写は丁寧で深い。初めてにして、とても良質な本に当たったのでは、と思います。「SF小説には興味あるけど、難しい用語や描写ばかりで、なかなか取っつきにくいんじゃないだろうか」なんて思っていた私のような方には、ぜひお薦めしたいです。
四つの短編が収められていて、どれも五つ星ですが、あえて順位をつけるなら、個人的には「老ヴォールの惑星」>「漂った男」>「ギャルナフカの迷宮」>「幸せになる箱舟」でしょうか。特に「老ヴォールの惑星」と「漂った男」は、作者の宇宙に関する造詣の深さが、ひしひしと伝わってきます。 -
中編4編を収めた中編集です。4編の作品全てが素晴らしくレベルの高い作品だと思いますが、個人的には「漂った男」がベストでした。1人だけで極限状況の中生き抜くには、逆説的ですが他人とのつながりが不可欠であることを強く認識させてくれます。希望を抱かせるラストも良いです。
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今、読み終わった本があまりにも良かったので、久々に感想を。
涙ぐみながら、書いてます。
小川一水さんのSF短編集です。
4編あるんですが、どれも一級品です。
素晴らしいの一言。
どれも素晴らしいんですが、とくに印象的な2編をご紹介します。
『ギャルナフカの迷宮』
短編集の一話目で、ガッツリ掴まれました。
とある国で、主人公の男性が政治犯として、逮捕され、刑として地下迷宮閉じ込められます。
中の条件は
「他にも国に盾突いた政治犯が閉じ込められている」
「パンみたいな食べ物と水が、どこかで発生しているが、そこを特定するのが困難であり、中の人が奪いあっている。それによって疑心暗鬼になっている」
「食料に満足できない人たちが、人喰いを始めている」
というもの。
そんな苛烈な環境を、主人公が徐々に変えていきます。
与えられた環境をどう幸せなものにしていくか?という話でした。
ワクワクしながら、それでも幸せって何だろう?って考えさせられます。
素晴らしい!!
『漂った男』
ある惑星の探索中に事故にあい、水しかない惑星で漂流する人生を送ることになった男性のお話。
電話みたいなもので母星の人と会話はできるんですが、それだけしかできなくなります。
この短編集全てで言えることなんですが、テーマは「幸せになるには?」「何のために生きるのか?」です。
ちょっと宗教チックなテーマではありますが、誰もが考えたことがありますよね?
それを突き詰めて、最高に表現するにはどうすればよいのか?と考えられたのが『漂った男』だと思いました。
読む人によって、結論が変わる類のお話ですね。
とにもかくにも、ラスト数ページで僕はガンガン泣かされて、最後の一行は今年読んだ本の中で最高でした。
そんな短編集。
SFなんですが、近未来的な環境を用意するに留まり、中身は普遍的なテーマを扱っています。
や~ここ最近、小川さんの本を何冊か読んでるんですが、大好きです!! -
【とりあえず「漂った男」のみ】
陸がなく海ばかりの惑星パラーザに不時着(遭難)し、救助を待って海面を漂い続けるパイロットのお話。そんな星新一っぽいショートショートな設定とけっこうある残頁数を比較して「このワンシチュエーションでこんなに引っぱるの?」ってな不安もおぼえたが、何のことはない、読み終わったら傑作ばかりのこの中編集でいちばんのお気に入りとなった。
真摯な作風の小川氏らしく、このトンでもない設定を茶化すのではなく、描かれるテーマは、極限におかれた人間の心理状態。漂う主人公・タテルマ少尉の愚痴っぽいキャラが軽妙さを醸しだし、怒ったり喚いたり泣いたり笑ったりとワンシチュエーションでも飽きることはない。そして物語は、通信で励まし続けるタマリ中尉との友情を軸に、残された妻とのやり取りから、軍部の思惑、揺れる戦局等の大状況が交差していく。
時折、通信に登場(乱入)してくる宗教家や大量殺人犯とのやり取りを通じて、実存への深い考察が展開するが、その辺は小川氏らしく、哲学や宗教やスピリチュアルに偏らずぼやかさず、極太の人間ドラマに仕上げているのが嬉しかった。
いやしかし、人間ひとり海に漂わせてこういうお話を描けるのは凄い! -
すばらしい。これだからSFはやめられない。知的生命体(←人間だけじゃないのよ)というものは、いつだって明日のために闘い続けるものなのだよ!って我ながら臭いですけど、ちょっとハインラインを思い出させるようなやみくもな前向きさがたいへんいい味を出している一冊。全国の少年少女に読ませたいけどそれはなかなか難しいだろうから、どっかでアニメ化してくれないだろうか。
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短編?中編集?です。表題作以外のモノが気に入った。一番気に入ったのは「幸せになる箱庭」です。「漂った男」も「ギャルフナカの迷宮」も良かった。それにしても、仮想世界と現実との関係、今の自分が知らないだけで仮想現実の中にいるかどうかというのは、この世界から離れられない私達には永久にわからないですからねぇ。逆に仮想世界なら、ファンタジーの様な魔法も超能力も使える世界に生きてみたい気もします。実は覚えてないだけだったりして…
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政治犯が投獄される迷宮で
人間が弱肉強食の世界に置かれる「ギャルナフカの迷宮」
天体の衝突で自分たちが滅亡することを知った生命体が
持てる知識をまだ見ぬ生命体に伝達しようとする「老ヴォールの惑星」
木星を救うために人間より遥かに優れた生命体のもとへ
交渉に行く「幸せになる箱庭」
栄養価の高い海の惑星に漂流し続ける「漂った男」
ドSFです。
SFは説得力を持たせるために科学的説明がつらつらある所が
あまり好きではないんですが、
それを除けば舞台はSFでも人間の根源を問いただしている作品。
特に最初と最後の話は脱コミュニケーションの場において
人間がどれだけもろいかを如実に描いています。
著者プロフィール
小川一水の作品
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