ミステリ・オペラ (下) (ハヤカワ文庫 JA (812))

著者 :
  • 早川書房
3.18
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本棚登録 : 136
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (579ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150308124

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻を通した感想。
    書かれたかもしれない探偵小説というのはなかなか魅力的だし、壮大な謎も多い。こんな膨大な要素をひとつの結末に収斂させる手腕には感激するが、数々の謎に対する解決がよくいえば合理的、わるくいえば謎自体の壮大さと次元の異なるような現実的な陳腐さがあるように感じた。
    あと旧仮名遣いのわりには文体が現代のものと変わらないのと、作者の自意識が滲み出ている(それをメタ的な観点ととらえることもできなくはないが)のが残念だった。

  • ちゃんといちおうは「本格」の体をとっていたことをまずは評価。いやまあ、さすがに「それは無理くりやろ!」という謎解きばっかりだったけどね。

    あとは結局検閲図書館とは何かがようわからんとか、村瀬のキャラ作りとか不満はあるんだけど、ここまでの長編をちゃんと収束させていたのはすごいと思うし、終わり方もなんだか切なくてよい。読んで損はないね。

  • このラストは評価分かれるだろうなあというのが第一の感想。とはいえ"昭和"への鎮魂歌ともいうべき壮大なオペラであるのなら、これくらい恣意的である意味"甘い"結末でもむべなるかな。「それはお伽噺だ」と言いかける古海を遮り、強い口調で黙が言う「これは探偵小説なのです」の真摯で切実なる響きは、五十年の長きに亘り書き継がれてきた"歴史"の重みに重なる。
    あと、555頁の「あなた」がどうしても気になる。直前の"古海さん"を荻野目の誤植と読むべきなのか、さもなければ頁を捲っている読者を指してでもいるのか……?

  • 長いミステリが読みたい!!!と思い立ってしまった時にたまたま目についたこの上下巻


    ながーいと言えば、読むのに時間がかかってしまった『薔薇の名前』
    いつまでも事件が起こらなかった『暗黒館』
    何故読んだ御大


    ぱっと浮かぶ超大作はこんな感じなのですが、たまに読みたくなるのですよね。このながーいミステリ。


    ぱらぱらと捲ってみると、旧仮名遣い。
    えええ?そんな古いの?と思ってあらすじを読んでみたらどうやら平成。
    しかも作中作。しかもパラレルワールド??

    <第2回本格ミステリ大賞受賞/第55回日本推理作家協会賞受賞>
    の行を見てこれに決めたのでした。

    パラレルワールドとか言い出すと、SFなのでは……?ってなるのですけど
    本格ミステリらしいのですよね
    作中作で50年以上前の時代のミステリと倒錯する感じ?
    わくわくが止まらない……!!1

    ただこのミステリ、長いだけではなく十分とは言わなくても予備知識必要じゃないですか?
    と言うか、少し知っていた方が頷けるジャンルがいくつかあるのです。
    カーやヴァン・ダイン、エラリー・クイーンはこの本を手に取る人は読んでる可能性高いのですけど

    オペラの『魔笛』
    映画『アパートの鍵貸します』
    1931年満州事変
    1936年二二六事件
    ギリシャ神話のオイディプス
    ※重要順 下に行くほどなんとなくで

    この5つの要素は知っていたらもっとストーリーが入ってくるのですよね
    オペラも映画も知らなかったので、小説内やwikiでいちいち調べて着いて行く感じだったのです

    旧仮名遣い、つまり手記の部分は漢字や言い回しが難しくて
    ん?と一旦考えたり、調べたりすることもしばしば。
    ただこれはしーなには許容範囲だったのです。苦じゃなかった。

    それと、覚えにくい登場人物の名前。


    その辺の問題がクリアできるなら、きっと楽しめる!!!
    そうお友達には勧めたいと思うのです。


    ネタバレをしない様に気を付けて……なのですが
    満州陥落の時期、現地にある「宿命城」に集められる人々。
    城に着く前からもう事件は始まっていて、段々と人が退場していく。

    そう言うミステリがあったそうなのです。
    タイトルは『宿命城殺人事件』
    著者は、その本に登場する小城魚太郎(こしろうおたろう)

    『宿命城殺人事件』は書かれたのか、完結したのか、存在するのか。は不明。

    古書の修理をしていた祖父の影響で、古書に触れることの多い主婦が主人公?なのですが

    この、『宿命城殺人事件』とその登場人物の一人、善知鳥良一(うとうりょういち)による手記。

    この2冊を主人公の桐子が読んでいくストーリーになっているのです。
    桐子の旦那様は不審な自殺を遂げていて、その謎も絡んでくる。


    50年以上前の満州事変と、ミステリ。そして平成に居る主人公の事件。
    これがどう繋がって、どう解決されていくのか。


    面白うそう!
    とっても面白そう!!11


    ただ、SFじゃなのですよね?
    としーなはずっとヒヤヒヤしてたのです。
    桐子はまるで自分が『宿命城殺人事件』の登場人物になったかのように感じていて
    あまつさえ、並行世界なのでは……?とSFの方向へどこまでも引っ張って行ってしまうのです。

    本当これは不安だったのですけど

    大丈夫。ちゃんとミステリとして完結してるのです。ここ大事。


    下巻の途中まで、手記と現実の行ったり来たりでかなり読んでいて混ざってしまうのですが
    手記は旧仮名遣い。ちゃんと区別が付く様になっているのです。上手い。
    の、ハズなのに、ちゃんと混乱する。凄い。

    仮名遣いも作用して、ChineseGothicな雰囲気がもの凄いのです。
    イメージが止まらない……!!1

    宿命城と平成を行き来する内に、「こ、これは、誰の台詞……?!」とか混乱する場面があったり
    もうSFでも、そっちのが良いのでは……?と考えてしまったり
    下巻に入る頃にはすっかり夢中になってしまうのです

    そして作中作の『宿命城殺人事件』と手記を素直にそのまま読んでいると「ん?ま、まさか……」と
    ある描写を境にもっと複雑な構成にビックリ。

    なかなか……ではないのです。ボリューム。構成。ストーリーの重厚さ。とっても満足なのですよ。

    長いミステリがしっかりと読みたくなったらまた再読したいのですね。是非。
    しかも3部作……?!
    こ、これは探さねば……!!1

  • 文庫本上下合わせて1,163ページと言う大作。
    かつ、時代・場所が50年前の満州と現在の日本だし、殺人事件も多いし、登場人物も多いし、伏線も多いしで、中身もかなり濃い。
    しかも、読みだすとかなり引き込まれてしまうので、読後は非常に疲れてしまいます。
    これから読まれる方は、こころして読んで下さい。
    でも、面白かった。

  • うわあ、本当に最後はひとつの物語に収束してしまった…すごい。
    やたらと長い話なので中盤までたまに冗長に感じてしまう部分もあったけれど、終盤の加速っぷりが個人的には堪らなかった。あの予定調和的なラストシーンも個人的には全然あり。というか、あれが救いだなあ。

    「これは探偵小説なのです。」

  • ひさびさにずっしりした本読んだわー満足!
    メタ推理小説的ではあるんですが、「虚無への供物」みたいに投げっぱなしじゃなくて、辻褄はしっかりあってた。
    小栗虫太郎みたいな登場人物でてくるだけあって、小栗的な、非現実なトリックが多用されてるんですが、それが許される空気はしっかりできてんじゃないでしょうか。

  • 早見風弘はスタースクリームっぽい

  • 謎は不可能性が高く、数も多いのだが、小説として多くの要素を詰め込み過ぎ、その解決にカタルシスが感じられなかったのが残念。

  • 上下巻あわせてかなり長いこと読んでた気がします。単純にページ数が多いだけでなく個人的には若干冗長かなぁと思う部分があったのも事実で、それで読了まで時間がかかったということかも知れません。
    タイトルのとおりミステリのつもりで読んでいたのですが、後半になるにつれSF・ファンタジー色が強くなってきて、私の読みたいジャンルとは微妙にずれてしまいました。

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著者プロフィール

山田正紀(やまだ・まさき)
1974年、『神狩り』(早川書房)でデビュー、同作は第6回星雲賞日本短編部門を受賞した。『最後の敵』(徳間書店)で第3回日本SF大賞を受賞、『ミステリ・オペラ』(早川書房)で第2回本格ミステリ大賞と第55回日本推理作家協会賞を受賞。「神獣聖戦シリーズ」「五感推理シリーズ」など、多数の著作がある。

「2019年 『大江戸ミッション・インポッシブル 幽霊船を奪え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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