ブルースカイ (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2005年10月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150308209

みんなの感想まとめ

時を駆ける少女の物語は、SF要素と哲学的な深みを兼ね備えた独自の世界観を持つ作品です。三部構成で描かれるそれぞれの物語は、異なる時代や場所を舞台にしながら、共通のテーマである「少女」を中心に繋がってい...

感想・レビュー・書評

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  • この小説は三部に分かれており、物語を総括すると少女が時を駆けるタイムスリップものだったけど、一つ一つを見ていくと哲学的で独自の世界観をもった短編小説だった。
    前半は普通の物語で、後半から世界が繋がっていく感じ。

    全体的なバランスがいびつな気はしたが、一つ一つの世界が丁寧かつ深い物語になっていたので、最後まで飽きずに読むことができた。
    違う時代、世界にタイムスリップするとこんな感じなんだろうなぁー、と妙にリアルな描き方がまた面白かった要素の一つだと思う。

    それぞれの物語(特に最初の中世ヨーロッパを舞台としたマリーのお話)が中途半端な終わり方をしている部分が、現実味をよりいっそう深めているように感じた。
    (…物語には完結が必ず用意されているが、現実は完結しない事柄も多いので。全体的な物語のスパイスとしては、中途半端な幕引きはかなり効果があったのてはないかと思う。)

    ただ、一つの世界があまりにも濃すぎて、またリアリティがありすぎて、全体的にまとまりきれてなかったような気はする。しかし、最後が綺麗な終わり方だったので、読了後は綺麗な物語だったという印象が強かった。

  •  個人的な話で恐縮だが、本を買う時にジャケ買いならぬ“表紙買い”をする事が多い。綺麗だったりおっと目を引く表紙だったりすると内容は二の次でとりあえず買ってしまう。
     この文庫本の表紙は書店でひときわ目立っていた。青一色の中にタイトルと著者名だけ。シンプルだけに目についた。
     しかし表紙に負けず劣らず内容も非常に印象に残るものだった。こういう出会いがあるから表紙買いは楽しいのだ。

     物語は大きくわけて3つの部分に分かれている。それぞれ1627年のドイツ、2022年のシンガポール、そして2007年の鹿児島市が舞台で、それぞれまったく雰囲気の異なる奇妙なストーリーが語られる。そして雰囲気は異なれど3つの物語を繋ぐのは≪少女≫というキーワードだ。
     現代社会史を語る上で見過ごされがちで、その実重要なファクターである女子中高生。彼女たちの考えていることなど男でしかもオッサンの僕には解りようもないが、漠然とした孤独と不安感を最も敏感に感じ取っているのも彼女たちなのだろうという気はする。

     まあ、彼女たちの心を同時に完全に理解する事はたぶん男には無理なんだろう。
     ケータイを単なる機械ではなく外の世界との繋がりであるととらえる感性も少女たちのナイーブな感受性だろう。この小説は基本的にはSF小説だが、青春小説の側面も強い。

     ≪少年≫に関する物語は星の数ほどあるような気がするのだが、≪少女≫に真っ向から向き合った青春小説は珍しいのではないか。

  • ”少女”という概念が未だ存在しない中世ドイツ、”少女”がもはや存在しない近未来、そして現代。”少女”を巡る3つの時代の物語。これもイマイチだったな。いろいろ詰め込みすぎて処理できてない感じ。第一部の中世ヨーロッパだけに絞った方が面白くなった気がする。

  • 1627年ドイツ、魔女狩りの時代から始まるタイムトラベルもの。&箱庭世界。
    書かれた時点での近未来のシンガポールの様子は、一瞬シンガポールってこんな感じなの?…と思わされたけど、ちょっと読み進めてみればそんなはずはなくて、短期間で超進化してるシンガポール人。
    ちらっとしか触れられてないけど、残念な道を辿ったらしい日本。
    なかなか面白い近未来図だった。
    ラストが超展開じゃないのも好み。

    何より、言葉の扱いが秀逸。
    大昔のドイツの10歳児と、ほぼ現在(2005年の作品なので)の日本の女子高生の会話が面白い。
    言葉の通じない外国人のしかも子供相手、という状況から、あえて単語ばかりの片言で話し掛ける。わかる。よくありそうな表現だし。
    でもそれを10歳児が、こいつは言語能力の低い生物だ、と受け取るのが面白い。
    面白いし、ありそうだと納得出来る。

    ちょっと未来のシンガポール青年と女子高生の、翻訳機を通した会話で、女子高生の台詞が機械翻訳そのままで、しかもやや男っぽいのもリアルで良い。
    これも言われてみれば納得だけど、あんまり見ないかも。
    だいだい翻訳機やら翻訳魔法やらを通して、自然に、独白部分と同じ言葉遣いで会話してるもんなぁ。

    ドイツ編は結局、2022年の彼等が作った仮想世界の中、でいいんだよね?
    仮想空間作って遊ぶ時代から20年前後で、実体を持ったアバターを過去に送り込めるようになるとは思えないし……。
    2007年の日本、2022年のシンガポール、いつだかわからない多分遠未来のタイムパトロールがいる世界は現実の未来でいいのかな?

  • 目次や紹介がある本などは敬遠しがちだったけれど、やっぱり桜庭さんは面白かった。◆個人的には第二の箱庭の話がよかった。変わる時代の文化を形成する、少女、青年、老人というクリーチャー。なるほど。第一部の長さや濃さから、二部三部の薄さも目立ってきたけれど、それでもまじりあう様々なことは確かに世界とつながって、僕の脳内にアクセスしていた。

  • 初めは昔の西洋?の女の子の話、次に近未来の青年の話、最後に現代(少し前)の少女の話。どれも考えてしまうような部分というか議題があって、ふむふむと思ったり考えたりもして楽しめた。
    どれもテイストが違うけれど、それぞれ空気感はやっぱり桜庭一樹。大きな感動などはないけど、スラスラ読めた。謎が多い感じでスッキリ!って感じではないけど、惹かれる文章が多かった。

  • 20190213読了 少女の感覚の切取り方が絶妙 少女・青年・強化老人 3つの時代の話が一点に収束するのか?と思いながら読んでいたがそれぞれの着地地点で収まった。それもありかな。

  • 途中からSF感強くなったけど、好みとしては好きな類に入る。
    ただ、結局時空管理局とかシステムのこととかは詳しく説明されず(そこがいいのかもしれないけど)ちょっと残念。やっぱりその部分の説明というか詳細が知りたかった。

    第二部でデバイスを通して翻訳して会話が成り立ったのが案外好きだった。翻訳デバイスを通すから少女の言葉があの翻訳独特の硬さがあって、そこから実際に少女が話した日本語を想像しながら読んだら楽しかった。それと少女の名前をそこから考えて、後にそれが当たってたのは簡単なクイズみたいだけど嬉しかった。

    ソラちゃんは死から逃げていたんだろうか、と書きながら思った。そこからもしかしたら追いかけてきたあの黒い老人のような奴らは本当は死の象徴とか、時空管理局といっても生死だとかあの世この世の管理をしているのかもとふと思った。

  • (2008/5/5 Yahoo!ブログ)
    桜庭一樹さんの作品は、初めて。
    図書館でこの本を手に取ったのも
    ①「桜庭一樹」の名前に惹かれて
    ②桜庭さんの文庫本がコレ1冊しかなかった
    ③目次をみただけでは中身がわからなかったので興味が湧いたので

    出だしは、魔女狩りの頃のドイツが舞台で、主人公は小さな女の子。
    この子が主人公だと思ってました。

    桜庭さんの表現って、今でいう“グロイ”ことも、さらっとして通り抜けやすい。
    あとがきにも、自らSF好きだとあったけど、SFであってSFでない(?_?)
    だって、私はSF苦手 … でも、最後まで興味津々のまま読み終えたし。

    第2部は、いったいそれまでの話と何のかかわりがあるの?あの少女は?
    「彼女」が関わりがありそうだけど、なかなか登場しない。早くして~!!

    そして、第3部で、すべてがわかる。
    過去→未来→現代 キーワードは、携帯電話。そうだったのね。
    そして、それぞれの未来へ

    とても不思議な桜庭worldでした。また他の本を見つけられたら、読んでみようっと。

  • 異なる三つの空の下を生きた少女の物語。
    魔女狩りの混乱で命の危機にある少女、近未来の男女の変異に悩む男と、日本人の少女が時空を超えて出会った時ーー。

    不思議なお話でした。少女が最後に言った台詞が、救いのない理不尽な運命に抗い続けたものなので、哀愁を感じます。それでも少女は最後に二つの世界を旅して、この世界に何かを残し、何かを感じ取ったのでしょう。

  • ハヤカワから出版されている本は何冊か読んだことがあるが、大抵頑張って半分ほどまで読むが内容に対して興味が無く、面倒になり途中で放置してきた。
    初期の桜庭作品は少女を主人公に、子供と大人の間のどっちつかずな複雑な感情や思いを描くことをテーマにしている様に個人的には感じており、本書もそれならば読めるだろうと手に取った訳だが、やはり、読むことは出来たが、趣味が合わなかった。

    物語としては、やはり少女がメインとなった、三部の構造。3つの世界に飛ぶ少女。過去や未来1627年ドイツ、2022年シンガポール、2007年日本(鹿児島)が舞台となって描写されている。

    最終的にそれぞれの物語が繋がって行くのだが、そこにSFの要素が絡んで――。結論はネタバレになってしまうので、感想として、印象に残る部分が個人的になく、ダラダラと日常とシステムと、それが繋がって、というのだけれど、やはり重きは少女の舞台と価値観の普遍さとか、そういうものはあまりブレないんだなぁ、とか、そんなささやかなものくらいしか思えなかった。もっと面白く読めるのかもしれなかったのだけれど、やはりダメだった。

  • うーーん?
    この本は知らなくて、(桜庭さんはけっこう読んでるけど、知らなかった)どんな本かな~と読み始めたら
    中世のドイツが舞台で、少女とおばあちゃんの暮らしが淡々と描いてあって、けっこうきらいじゃない雰囲気で、でもきゃ~~魔女狩りだ~~やめて~~
    って感じで怖いけどきらいじゃないから楽しんで読んでたら
    なんか黒魔術とかそういうレベルじゃなくてSFっぽくなって、女子高生が空から降ってきて
    でも女子高生なんの力もなくてなんだかんだで消えちゃって
    え?(ポカーン)となったら
    章が変わってエンジニア?デザイナーの青年の話になって、あ!もしかこの作ってるゲームがさっきの世界で?あれ?ちがうの?
    と思ったらまた女子高生が降ってきて

    結局桜島の爆発で時空に穴が開いて女子高生が時間旅行!みたいな話だった

    つまらなくはなかったけど、おもしろかったけど
    なんか、
    う~ん
    なんだこりゃ感はあるよね

    魔女狩りはよくない!(なんだこの感想)

  • この本を読んだあとに空を見上げると少し切なくなる

  • 不思議な感覚。
    1部、2部は引き込まれていったが、最後がつまらない。

  • 2014/2/1

  • 不思議な読後感でした。
    1章の中世の魔女狩りのお話は雰囲気が独特で引き込まれ、2章では青年の思考、"少女"や"青年"などの考え方が新鮮でした。

  • もう大好き! 中世ドイツが舞台のゴシック感はもろドツボ、近未来のシンガポールに移った時は「なんだ、定石じゃん」と訝り(クリーチャーに関する考察がおもしろい!)、ラスト現代日本ではまばゆいばかり永遠に解き放たれたフィナーレにただただ感動。私たちひとりひとり大きなシステムの前では瞬間に消滅してく瑣末な粒子。でも繋がっていく。「愛」という媒体で繋がって、青い空はどこまでも広がっていく。

  • 不思議な感じですね。桜庭一樹っぽい。

  • 第一章が凄く良くて段々尻すぼみになっていった感は否めない。桜庭一樹が得意とする少女の描写に関しても、主人公のソラより第一章のマリーやクリスティーネの方が魅力的に感じた。桜庭一樹だと思うからイマイチって思っちゃうのかな…。2011/548

  • “3つの箱庭と3つの青空、そして少女についての物語”
    その言葉に偽りなし。とても面白かった。

    第二の箱庭の物語で、これは鈴木光司の「リング」シリーズの
    ようなシステムの管理者とそのバグの話なのか? 
    と思わせておいて、そうではなかったのがまたよかった。
    しかし何故、システムと繋がってしまうことで
    穴が空いてしまうのかや、“強化老人”と呼ばれる者たちが
    存在している世界の様子が描かれていないのは残念。
    “ブルースカイ”がそれを知っているのかや、
    彼女だけ捕まらずに逃亡できていた理由も。
    その部分をもう少し掘り下げてもらいたかった。
    また第一の箱庭で、パスワードが“青い空”とされて、
    確かに後に空からやってきた少女が“青井ソラ”であることは
    判明したけれど、第一部の時点でそのパスワードに意味は
    あったのだろうか? マリーが単に忘れていただけなのか?

    気になってしまう部分はあるけれど、それでも面白いストーリー。

    絶滅危惧種の少女。
    いい言葉だ。

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著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば・かずき):1971年鳥取県出身、小説家。1999年、「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞し、翌年デビュー。『GOSICK』シリーズが注目され、さらに04年発表の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価される。07年に『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を、翌08年に『私の男』で第138回直木賞を受賞。おもな著書に『少女を埋める』『紅だ!』『彼女が言わなかったすべてのこと』『名探偵の有害性』など、またエッセイ集に〈桜庭一樹読書日記〉シリーズや『東京ディストピア日記』などがある。

「2025年 『読まれる覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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