川の名前 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.63
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本棚登録 : 329
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150308537

作品紹介・あらすじ

菊野脩、亀丸拓哉、河邑浩童の、小学五年生三人は、自分たちが住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまでの三人にとって思いもよらなかった数々の驚くべき発見が隠されていたのである。ここに、少年たちの川をめぐる冒険が始まった。夏休みの少年たちの行動をとおして、川という身近な自然のすばらしさ、そして人間とのかかわりの大切さを生き生きと描いた感動の傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 夏休みの自由研究に野生のペンギンの観察をする。それだけ聞くと荒唐無稽ですが、そこにリアリティという説得力を持って来るのがこの作者のすごいところでしょうか。
    夏と少年の物語。少年たちはそれぞれ家庭の事情があり、越えるべきものを抱えている。重苦しくなく軽やかに、それぞれの挫折と成長が書かれています。子どもだからできないこと、子どもだからこそできること。大人の関わりは干渉となり手助けとなり。はじめ小学5年生という設定はこの物語のテーマに対して幼いのではないかと思いましたが、その幼さがもつ無茶が起爆剤として素敵に作用していました。
    物語の内容についてはここでは書きません。何故なら読んで欲しいから。作品のタイトル『川の名前』は実にこの物語を表わす言葉なのですが、なかなか手に取ってもらいにくいだろうなとも思います。少年たちの煌めきに共鳴できる、そんな作品だから大人にも子どもたちにも読んで欲しい一冊です。

  • 4人の小学5年生「カワガキ」の成長物語。キー・コードは川。現代の物語だが、郷愁を誘う。それはおそらく、作者自身が「喇叭爺」に象徴される、川から失われたものに強い愛着を持って作品を書いているからだろう。終章は予想通りではあるが、さわやかな印象と読後感を残す。

  • 川の名前 (ハヤカワ文庫JA)

  • 2018.2

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「生き物・自然」で紹介された本。

  • うーーーん。いや、少年たちの冒険物語として面白くないわけではないし、川とか自然とか報道の問題とかその辺も著者の思いが伝わる割と中身の濃い感じのお話なんです。 でもねえ…やっぱりいくら何でも非現実的過ぎる。子どもたちが大人もビックリする程わかってる・見えてる部分とそうじゃない部分を併せ持つ存在である事は考えてもどうにも”大人の”もっと言っちゃえば”作者の”目線としか言いようがないものが混じりすぎる。あと林間学校の運営とかあんなの絶対ありえない。報道の暴走部分でもいくら何でも子どもにあれはさせないってのあるし。その辺が色々合わさって物凄く非現実的に仕上がっちゃったのが残念。

  • 川端裕人の初読み。
    児童文学かと思いながら手にとってみた一冊。

    冒頭。
    恐竜を発見?うん、やはり、ファンタジーだね・・・と思いきや、読み進めるとすぐに、そうではないと分かる。

    青春モノ・・・と呼ぶには登場人物たちは幼いし、少年達の冒険譚と言い切るには、リアリティもあるしテーマ性も深く感じる。
    ・・・と言いつつも、この物語を一言で表すならやっぱり、「少年達のあるひと夏の冒険」ということになるのだけれど(笑)。

    子を持つ親としてはありえない冒険だけれど・・・・最後の大冒険はやっぱり「トンデモ」に違いは無いけれど、そのバックボーンとなる事前設定は示されているので、そんな「トンデモ」な展開にもそうそう大きな違和感はなく物語に没頭できる。少年期特有の悩みと、友情、苦悩からの脱皮など、忘れかけていたような懐かしい気持ちをたくさん蘇らせてくれるこの本を、声を大にして「名作だ」と呼びたい。

    大人にも子どもにも読んでほしいと思える一冊。
    活字の苦手な子どもでも楽しめるように、映画かアニメかになって、より多くの人の目に触れてほしいと思った作品。

    ★4つ、9ポイント。
    2016.11.07.図。

    ※夏休み終盤の風物詩となっている(?)皆が紫のTシャツを着込んで24時間生中継する番組って・・・(笑)。

    ※カルガモ親子の行進、矢ガモ、玉川のアザラシ・・・現実世界でも似たような騒動は何度か目にしてきたが、その裏でも実は、本作で描かれたような報道モラルを問われかねない問題が勃発していたのかもしれない、と思ってみた。


    ※自分の「川の名前」は、何だろう?
    「寝子屋川」かな、「荒川」かな。

  • 後半の疾走感がよかった。
    自分の川の名前を知りたいと思ったよ。

  • 小学5年の夏休み。たぶん子ども時代の最高峰。
    この黄金の時間を、川を切り口にしつつ、個性的な男子3人組+優等生+奇妙な爺さんを軸にして、オカルトもファンタジーも一切ぬきで奇跡的な物語に仕立て上げた作者すばらしい。
    自然の描写、川というものに関する深い考察、カヤック競争の様子、美味しいネタをハゲタカのように漁るマスコミ陣のありさま、いずれも膨大な資料や知識を元にしていると思われ、たいへん好感が持てた。
    子どもたちの内面も丁寧に描かれていて、やはり良い感じ。5年生といえば、ちょうど自我が主張を始める頃で、自分の「こうありたい」気持ちと周囲からの視線との齟齬に気づき、いろいろ悩むものなのだ。
    面白くて魅力的な男子がそろっているが、なかでも鳳凰池の主っぽい風格を持つ「河童」くん、最高。

  • 多摩川の支流の支流の小さな保護池でひっそりと暮らすペンギンの夫婦を発見した少年達が、夏休みの自由研究で彼らの観察をする事を思いつく。平和に思われた日々もある時にエサを探して狩りに出た雄ペンギンを見た人からマスコミに漏れ、一大騒動に発展するのだった。

    少年たちが輝いてい過ぎて、自分の青春とはかけ離れていますがそれでも川に惹かれて、自分たちの居場所と自然をリンクさせて飛び込むあたりは自分の中にもあるものだったので共感しました。野田知佑氏の提唱するカワガキを増やす運動にまさに通じる所があり、自然の未来を明るくするためには、自然を好きな大人を養成していくしか方法は無いんだと思います。

    この本はある意味物語性よりもその辺りの啓蒙要素が多い気がします。僕は好きですが人によっては説教臭く感じるかなあ。

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著者プロフィール

川端 裕人(かわばた ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれの小説家、ノンフィクション作家。東京大学教養学部卒業後日本テレビに入社し、記者として科学技術庁、気象庁を担当。
1995年『クジラを捕って、考えた』を執筆し、ノンフィクション作家としてデビュー。1997年日本テレビを退社後、1998年『夏のロケット』で第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞を受賞し、小説家デビュー。
その後も小説とノンフィクション二つのジャンルで活躍を続け、2000年『動物園にできること』で第31回大宅壮一ノンフィクション賞候補、2004年『せちやん 星を聴く人』で第25回吉川英治文学新人賞候補。2018年『我々はなぜ我々だけなのか』で科学ジャーナリスト賞、講談社科学出版賞をそれぞれ受賞した。

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