ロミオとロミオは永遠に〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.62
  • (188)
  • (266)
  • (414)
  • (40)
  • (14)
本棚登録 : 2063
レビュー : 186
  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150308551

作品紹介・あらすじ

日本人だけが地球に居残り、膨大な化学物質や産業廃棄物の処理に従事する近未来。エリートへの道は唯一、「大東京学園」の卒業総代になることであった。しかし、苛酷な入学試験レースをくぐりぬけたアキラとシゲルを待ち受けていたのは、前世紀サブカルチャーの歪んだ遺物と、閉ざされた未来への絶望が支配するキャンパスだった。やがて最下級の「新宿」クラスと接触したアキラは、学園の驚くべき秘密を目にするが…。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ★上下巻のレビューになります★

    いやあ、秀逸!
    掘り出し物みつけたー!って気分でいっぱい。

    汚染物質でいっぱいになった地球から新地球へ人類は移住。
    残った汚染物質の片付け処理班として日本だけが置き去りに。
    そんな、夢も希望もない地球で育つ若者の唯一の希望…
    それは、「大東京学園」に入学し、卒業総代となること!

    そうしなければ、汚染された身体では子供を作ることも許されず、
    過酷な労働に安い賃金。
    卒業できれば官僚への道は決まり!

    ただ、入学してみるとそこは、死と隣り合わせのキチガイ授業、
    夜には前世代のサブカルの塊の秘密基地。

    そんなおかしな世界に飛び込んだシゲルとアキラ。
    彼らは無事卒業総代となれるのか?!

    ------------------------------

    本当にサブカルの塊。
    AKIRAや中央フリーウェイから始まり、
    力道山やキティちゃん。

    そういったちりばめられている昔のものと、
    近未来の汚染された人間と環境。

    チグハグすぎるのにものすごいスピード感!

    恩田陸作品のなかでも上位独占!

  • あとがき解説にもある様にまさにラノベ風。けど、スケールが大きいのと世界観が確立しているのとで、ラノベのコンパクト感は感じない。キャラ設定もたっててスキ。日常からかけ離れていて、ファンタスティックで、でも、SFで、スケールが大きくて、キャラも魅力的で、とぎっしり描きたいものをすべて詰め込んだ感のある本。よくできた同人誌の様だ。
    マンガ・アニメ系のヲタの人には非常にウケそうだけど
    パンピーにはウケなさそうな本。

  • 健康優良不良少年がすぎむらしんいち作品的にディストピアから大脱走
    という話だと思った
    (下へ続く)

  • 近未来の日本。
    近い将来、もしかしたらこんな日本になっているんじゃないかなんて、想像しながら読んでしまった。

  • 10年以上前、中学生の時に、夜のピクニックに続いて恩田陸作品の二つ目として読んだ本。これのせいで長らく恩田陸さんは退廃的な近未来日本のSF作家として私の中でイメージが作られていました。

    日本人だけ旧地球に取り残されて産業廃棄物や放射性物質の除去作業を行なっている世の中。栄誉ある大東京学園は実は弱肉強食、ポイントと強制労働の毎日。夜中に地下に現れるアンダーグラウンド、アングラで昭和のサブカルチャーを隠れて貪る。
    かなり強烈的な男だけの世界観で、面白い。
    こういうSFをもっと書いてほしいなと思いました。

  • 巻末のサブカル用語集を読むのが楽しい。
    恩田陸は夜のピクニックと蜜蜂と遠雷くらいしか読んだことがなかったので、こういう胸糞悪い感じの話も書くんだなぁ意外。
    あんまり読まないけど嫌いじゃない。笑
    あ、常野物語はけっこう似た感じだったか。
    漫画化とか映画化とかしたら面白そう。
    この世界をビジュアル化したのを見てみたい。

  • 未来の地球に取り残された壊れた日本の話。
    各章が映画のタイトルになっていて、さらに話の所々に昭和のワードが入っていて楽しい。ご丁寧に末にワードの説明もあり。タイトルの中で3つほどは観たことがなかったかな?下巻へ

  • 近未来学園SF。クラス名が東京23区の名前だったり、登場人物の苗字がどこかの地名を表すなど恩田さんの遊び心満載の1冊。昭和のポップアートがオマージュされ、各章のタイトルが映画のタイトル。ここに挙げられてる映画は何とかなく見てみたくなる。

  • 元ネタ考えるのが楽しすぎるw
    まとめた感想は下巻へ。

  • 8/7読了。
    前から薄々感じてはいたのだが、私は恩田陸と「サブカル」に関して意見が合わないということが、本書を読んで決定的になった。
    20世紀のサブカルと大きく出た割に戦後の話しかしていないのは、恩田さんなりの<私のサブカル>領域なのだろうからいいとしても、資本主義と大量消費を悪として描いておきながら、昭和の東京五輪の年にタイムスリップして未来の自分たちを苦しめたデカダン世紀末を主人公たちに繰り返させるエピローグが「実は、ハッピーエンドのつもりだった」?「愛とサブカルチャーがある限り、世界は続くと思っていたが、愛もサブカルチャーも経済の論理に飲み込まれ、暴力的な力を持ってしまった」?ちゃんちゃらおかしーわ!!!
    少なくとも恩田陸が本書で取り扱っているような戦後のサブカルは、最初から経済の論理で動いているはずだ。だって高度経済成長期に生まれたカルチャーなのだから。それにイチャモン付けて日本はつまらなくなった、1964年に戻って美味しいとこだけやり直したいって、ただの「昔は良かった」型のノスタルジーだろうが。そもそもディズニーランドをこういう扱いにするのがムカつく!!!悪を一点に託しすぎでしょ。斜に構えてる割に、独自の視点からサブカル論が語られるわけでもなく、資本主義の罪と大量消費の不気味さを説く手つきも極めてワイドショー的(ここはあえてそうしてるんだと思うけど)で、別に上手い皮肉になってるとも思えないし、何より個々のディテールに対して特別な愛情を感じない。おそらく恩田さんが愛しているサブカルチャーのシンボルであるはずの≪アングラ≫だって、テレビ文化を不気味になぞる地上のイベントと差別化できていないし。オタクをうっすら馬鹿にするようなことを書いてるけど、自分こそ<サブカル>の表面を撫でてるだけで、思い入れのあるものなんて何もないのでは?

    いや、実のところを言うと私は恩田陸のことをオタクだと思っているのだが、本人がそう思いたくないようなので、私は恩田陸に関して恩田陸と解釈違いを起こしている。そのストレスが本書でマッハ。14年前に出た本にこんな負のエネルギーを持つのは馬鹿げているのはわかっている。何をこんなに怒る必要があるのか、恩田さんは立派に世紀末を生きた人間であって、私は物心ついたかつかないかの子どもだったに過ぎないのに?
    解釈違いといえば、とんねるずをモデルとしたキャラを出して貴明側のキャラにイニシアチブ持たせてるのも完全に解釈違い。でもこの2人なかなか死なないから、「実は未来人がトンネルを抜けてタイムスリップしてお笑いやってるのがとんねるずってことだ!?」と思ってたら憲武側のキャラが地雷で木っ端微塵になって笑ったけど。

    と、以上のように、この小説の根底にあるサブカル礼讃に見せかけた大衆文化蔑視(正確に言うならば、恩田さんが良しとするものしか好意的に描かれない世界観)には嫌悪感を持ったのだけど、大東京学園のコンセプトは面白いし、文章はリーダビリティが高いし、上下巻一気に読ませる楽しい小説ではある。特に大東京学園で次々開催される試験は、昔のバラエティ番組を大いに参考にしてるとしても、よくこんなに考えつくなぁと感心する。コマ劇場に暗黒舞踏の霊が出るとか、『メモリーズ』でのサラリーマンたちの会話とか、近未来にはずなのに「牛乳ビンを入れる箱みたいに、蝶番のついた木の蓋」とかいう書かれた2002年当時でも既に消えかけていただろう例えがスッと挟まれていたり、細部でも思わず笑ってしまう要素がある。

    プロットは本当に書きながら考えたんだろうなぁという感じで、いいキャラなのに影が薄くなっちゃう奴がいたり、思わせぶりな会話の秘密が地の文でささっと説明されて終わっちゃったりするのが惜しいんだけど。中でもシゲルとキョウコの過去の処理はどうなんだろう。そもそもキョウコを出す必要があったか疑問だけど、恩田さんて必然性考えてキャラ作るタイプじゃないものなぁ。そもそも論でいうと、最後まで読んでもアキラとシゲルにあまり思い入れることができなかった。ふたりは結構早い段階でバラバラのクラスになってしまうし、再会したかと思えば新キャラのキョウコがあいだにいるし、脱出計画も別々に進めて当日行き当たりばったりで一緒になるようなもんだし、特別な対という感じがしない。むしろ新宿クラスにはトンネルの中で手を繋いで一緒に死んじゃうやつらがいたり、大凧に乗って空から脱出を試みるも撃ち落とされて一緒に死んじゃうやつらがいたりして、こいつらのほうがよっぽど「ロミオとロミオは永遠に」だよなぁ。でもアキラとシゲルはこの物語が終わってからこそ、狂乱の時代に未来の秘密を抱えて生きる特別な対になるんだからいいのかな。とにかくタイトルはちょー好き。

全186件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

ロミオとロミオは永遠に〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)のその他の作品

恩田陸の作品

ロミオとロミオは永遠に〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)を本棚に登録しているひと

ツイートする