マルドゥック・ヴェロシティ (3) (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2006年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150308711

みんなの感想まとめ

物語は、ボイルドの過去と彼の仲間たちとの関係を中心に展開し、深い絶望と痛みを描いています。前作とは異なり、ボイルドが仲間たちと共にチームを組む姿が描かれ、彼の変化や成長が興味深く描写されています。スト...

感想・レビュー・書評

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  • 3冊合わせて10時間ほどで読了。
     私はボイルドが大嫌いだ。力で叩き伏せ、潰して、その上を表情も無く踏み荒らしていく、ボイルドのやり方が大嫌いだった。バロットとウフコックとイースターが大好きだったから、彼女たちが苦しむ姿を見るのは本当に辛かった。だからスクランブルのクライマックスは胸がすっとしたし「やっと終わったんだ」と安堵のため息さえ漏らした。
     だから、ヴェロシティを手に取る事ができなかった。スクランブルを読み終えてからヴェロシティを手に取るまで3年もかかった。
     ヴェロシティはスクランブルより少し前の話、ボイルドがウフコックとパートナーだったときの話を描いている。そこにはスクランブルのような餓えた獣のように虚無を求めるボイルドはいなかった。愉快な仲間たちとチームを組み、時折笑みを浮かべることすらあった。ページをめくるたびに違和感と激しい拒絶があった。だって、あのボイルドが「笑ってる」んだから。衝撃的でもあり、興味深くもあった。何が彼を変えたのか、ページをめくる手は止まらなかった。
     話が進むうちに沢山の謎とおぞましい事件が発生する。09の面々は、チームを組んで、少しずつ謎に迫っていく。その中で起きる痛くて辛い結末。読むのも辛い凄惨な出来事。けれど、読まずにはいられなかった。ボイルドを理解するために。ボイルドの有用性を確かめるために。
     すべて読み終わってから、スクランブルのクライマックスを改めて読み直した。「やっと終わったんだ」と思った気持ちは変わらなかったけれど、それはボイルドの本心でもあると、分かった。

  • また読み返したい。すばらしかった。

  • 全3巻まとめて感想。プロローグ100から始まってカウントダウン/エピローグ0へ。爆心地/グラウンド・ゼロ=約束の地。何かをそぎ落としたような文章。スラッシュとイコールの多用で慣れるまで読みにくい。前作「マルドゥック・スクランブル」より以前の話。ウフコックがボイルドと相棒であり友人だった頃。09法案の創立メンバーが二桁いた頃。そして失われていく過程。過酷。ネイルズファミリーとオクトーバーファミリーは家計図が欲しいところ。すべてを飲み込むには難解な背景。ていうかシザースの繁殖怖すぎ。エイリアンみたいだ(汗)。読み終わって直後は頭が混乱。後から次第にじわじわと効いてくるボディブロー。重たい。そしてまた、読み返したくなってくる。懸念していたイースターの体型は過酷な状況でダイエット成功。09メンバーのチームワークがとても良かった。信頼し合う仲間。それだけに後半が辛い。クルツとオセロットのあの場面とかもう!(泣)ボイルドが痛々しい。彼が最期まで正気であったことが。眠らせた良心で行ったことが。「スクランブル」の後に読んでいるのだから、ある程度の結末がわかっている状態なのだが、だからこそ、ゼロへ向かっていくことが辛い。「スクランブル」ではシザースもモンスター・ジュニアも出てこなかったと思うが、これはまた続編を期待してもいいのだろうか・・・。面白いっていうか、なんか凄かった。時々理解を置き去りにして読み進めたよ。「スクランブル」共々、再読つーか再チャレンジしたい。

  • 爆心地<グラウンド・ゼロ>へとひたすら失墜し続けるボイルドの物語。<br>
    「SHOOT」というかけ声から始まる悲劇。<br>
    一巻とは正反対に希望なんて全然詰まってません。<br>
    次々に命を落としていく09メンバーたち/追いつめられていく09。<br>
    ウフコックを守るためのボイルドの決断<br>
    そのためにウフコックを裏切り、虚無を受け入れることになろうとも戦うボイルド。<br>
    虚無への加速、臨界点の突破、そして…。<br><br>

    結末がスクランブルで既に示され、全てが予定調和の上で絶望へと加速していながらも、読む手を止める事が出来ず、クルツの一件以降は涙と共にページをめくるのみでした。<br><br>

    「スクランブル」を補完する話ではあるが、単独でも読め、且つただ埋め合わせるのではなく、むしろ引き立てるものとしてこれ以上のものはないでしょう。<br>
    「スクランブル」とは180°異なる一面を見せるボイルドを見るために、「スクランブル」→「ヴェロシティ」→「スクランブル」の順に読むのがオススメ。<br><br>
    <br>

    ウブカタ氏がインタビューで続きの構想を語っていたが、はたして続編は出るのか。<br>
    何年だろうと待つから是非刊行してほしいところ。

  • 虚無はわかった

  • マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

  • マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

  • 著者:冲方丁(1977-、各務原市、小説家)

  • 2018/7 11冊目(2018年通算113冊目)。色々な事が明らかになり、その悲惨な現実に色々な意味で頭がパニックになりそう。ボイルドがダークサイドに堕ちていく過程は急だなとも思うが、ウフコックのことは袂を分けた後でも、一番のパートナーとして大切に思っているのだなということもい理解できた。この後の「~フラグメンツ」「~アノニマス」も引き続き読んでいきたいと思う。

  •  巨大な力を前に追い込まれていく09メンバー。そして、事件を終結させるためにボイルドが下した決断は…

     小説を読んでいて時々出会うのが、話の内容が今一つわからないのに、それでも引き込まれてしまう小説。自分的には『薔薇の名前』がそうだったのですが、この『マルドゥック・ヴェロシティ』も、そんな小説でした。

     権力者一族やギャングの家系の闇、財界や都市の政治の陰謀が渦巻く事件の様相は、09メンバーを狙う殺し屋一団の凶悪さと相まって、読めば読むほど闇が深くなってくるのがわかります。

     ただその分、ややこしくもあり、登場人物全員カタカナ名だったのも、ちょっときつかったかなあ。

     しかし、それでも読ませる上に、ボイルドの絶望と虚無が伝わってくるのがすごいところ。=や―、/を多用する文体(クランチ文体というらしいです)が、状況を報告しているようで、ボイルドの感情を失った感覚が伝わってくるということ。

     拷問を受けた死体の残虐さ、そして、底なし沼にはまっていくように終わりが見えない事件の深さが、分からないなりにも、読者である自分に伝わってきたからだと思います。

     ボイルドとウフコックの決別も印象的。この時点では、まだボイルドはウフコックだけでも、安全圏に逃がそうとする意志が見られた気がするのですが、その後の『マルドゥック・スクランブル』の感じだと、これから数年がたち、完全に虚無と暴力に飲み込まれてしまい、武器としてのウフコックを求めたということなのかなあ。

     それか失って改めて良心としての、ウフコックを求めたのか、改めてスクランブルを読み返したくなる作品でした。

     ボイルドとナタリアの話も切なかった…。スクランブルとはまた違った楽しみ方のできる作品だったと思います。

     あとがきで冲方さんが、この作品の執筆時のエピソードも書かれていましたが、なんというか…、改めて小説家(冲方さん)ってやばいなあ、と思いました(苦笑)

     文字通りマルドゥックシリーズに冲方さんは命を懸けてらっしゃいますね。

  • なんか切ない。。。
    ナタリアとのことにしても、ウフコックとのことにしても。
    とりあえずスクランブルを読み返したくなった。

  • ひとり、ひとりと仲間が消えていく。この結末はわかっていたはずなのに、十分に切なく、同時に驚きもあたえてくれる。私はボイルドがすべてを失って虚無へ落ちたのだと思っていたのだけれど、彼には虚無へ落ちることで、あるいは相棒を得たウフコックによって殺されることで、得るものも多かったのだとわかった。「スクランブル」を読んだときとは都市の景色がまた違って見える。

  • バロットのいない、憎たらしいボイルドの物語。
    スクランブルほどの満足は得られまい、と読みすすめ、油断した。
    不覚にも涙がこぼれた。
    憤怒に拳を握りしめ、やがて喪失感に呆然となった。
    読み終えて、たまらず、スクランブルから再読するはめとなってしまった。
    ボリュームと登場人物の多さに苦労するが、全編ダレなかったなあ。
    展開には、スターウォーズや七瀬ふたたびをイメージさせるが読み終わったあとは、この不朽の名作らが霞んでしまった。
    よくもまあ殺したもんだ。
    膨大な出演者のジェノサイドショー、すべてはマルドゥックシティの犠牲者か。
    どうぞ皆さん、時間を作ってスクランブルからの一気読み、二度読みを敢行しなされ。それに値する傑作ですから。

  • 『進歩的な社会ほど“苦痛する肉体”は心理において消える傾向にあり、実体としては残り続ける。結果、“苦痛する価値”は、ねじれを起こした。あってはならない苦痛の源泉が他ならぬ自己の肉体であるという事実に愕然とするのだ。

    以来、人間は様々な方法で苦痛を征服しようとしてきた。苦痛を快楽の延長とみなした。娯楽化した。苦痛する者をときに排除し、ときに歓迎した。苦痛をもたらす自己の肉体を改造しようとした。切除しようとした。特定の個人に苦痛を閉じ込めて背負わせようとした。苦痛は消えなければならなかった。たが全て無為だった。我々は消えたと思っていた肉体に常に報復され続けている。』

    いや〜、壮絶な総力戦、めちゃくちゃ面白かったなぁ。後半は謎解きで、ミステリとしても楽しめる。“虚無”の誕生秘話。それにしても、09に対してカトル・カールのメンバーのキャラ設定が雑すぎて笑える。少なくとも言葉話せる設定にしてあげれば良かったのに…。

  • 陰謀が明らかにされつつ、悲哀と孤独と、安らぎが訪れる。
    そんな終盤は、なかなかいい余韻をもたらしてくれる。
    みながお勧め本に入れるわけです。
    まとまった、休みの息抜き。正月休みにもってこいの3冊です。

  • とにかく仲間が全滅するのはわかっていたわけだけど、その過程が切ない。
    盲目の覗き屋と不可視の猟犬のコンビ・クルツとオセロットは好きだったんだけどなぁ…、って言うか、クルツのファンは絶対多いと思う。
    それとフライト刑事。実のところ、この人は必ず途中で裏切るか殺されるかすると思っていた(だって普通の人だし)んだけど、裏切るどころかメンバーが次々と殺されていく中で最期までボイルドの味方だった。
    ラストは1巻の最初(『マルドゥック・スクランブル』のラストでもある)につながって、死んだボイルドが目的を遂げる。
    ちょうど円環が閉じるような感じで、ああ、そうなるのかぁ、と感心した。

  • [2013.10.31]

  • バッドエンドがわかっている話ほど切ないものはない。死んだときにはじめて叶えられる願い。ようやくボイルドの話が終わった。ボイルドの娘が元気そうなのが救い。

  • ハードボイルドなSFでした。下手なダジャレは無しです。

  • とうとう読み切ったマルドゥック・ヴェロシティ。ヴェロシティの意味の通り、話に引き込まれて読むスピードがどんどん加速していった。
    ボイルドの虚無への軌跡、もの凄かった…。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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