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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784150308797
みんなの感想まとめ
テーマは、現代の科学技術を基にした宇宙開発のロマンを描いた短編集で、読者に強いビジョンを喚起させる作品です。端正で無駄のない文体は、躍動感に満ち、短い物語ながらも、心地良い余韻を残します。特に「大風呂...
感想・レビュー・書評
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いやー、良いですね!端正で引き締まった無駄のなさ、それでいて躍動感溢れる、まさに正調ハードSF。
リアルに現在進行形で研究されている科学技術をベースに想像力の翼を広げた、「SF」という言葉を聞いて喚起されるイメージそのままの短編集。シンプルな文体の行間から立ち現れるビジョンの鮮烈さがハンパないです。
ビジョンの喚起力を優先させた故か、物語としては尻切れトンボな話が、正直多いです。「えっ、そこで終わり?」というところでブツッと終わる感じ、起承転結の「転」で放り出されます。が、その放り出され方が、心底ポジティブなその先の展開を暗示させる形で、とても心地良いヽ( ´ー`)ノラノベ風であまり深みのない人物描写も含めて(※鴨注:決して貶しているわけでなく、それ以外の要素で十分勝負できるのがSFという文学ジャンルの強みです)、実に王道ハードSF。アイディア一本勝負、余計な装飾は必要ないタイプの作品群ですね。SF者として、非常にスッキリと読了できました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
理系脳に良い刺激になるなあ。
スーツの話がお気に入りで、アミノ酸をリサイクルって発想がすごい。 -
―――アンドロメダ方面を発信源とする謎の有意信号が発見された。分析の結果、
JAXAの野嶋と弥生は異星人の探査機が地球に向かっていることを確信する―静か
なるファーストコンタクトがもたらした壮大なビジョンを描く表題作、一人の女
子大生の思いつきが大気圏外への道を拓く「大風呂敷と蜘蛛の糸」ほか全5篇を
収録。宇宙開発の現状と真正面から斬り結んだ、野尻宇宙SFの精髄。
初めて手を出した野尻抱介の宇宙SF短篇集。
端的に言って、捨て作品なしの傑作。
収録されている5篇のうち、古いものは15年前に書かれているにも関わらず、そ
のことを全く感じさせない。どころか、未来に向かう光のようなものを感じられる。
描かれているものを理解するために基礎的な地学の知識はいるにしても、ここま
で爽やかに宇宙へのロマンを謳ったSFを俺は知らない。
どの短篇も甲乙つけがたいけれど、「大風呂敷と蜘蛛の糸」が一番掴みやすいス
ケールから始まっていて想像が広がったかな。
「できっこないですか?」
これが爆弾になった。 -
短編集。SF。ハードSF。
難しめの内容で地味な印象も受けたが、読み進めていくと、どの作品にも大きな希望に溢れたビジョンがある。
既読の『南極点のピアピア動画』『ふわふわの泉』も含め、著者の作品の特徴は”明るい未来”か。
特に好きな作品は以下2作品。
「片道切符」火星探査。帰ってくる必要はあるのか、というテーマらしい。解説にある通り、楽観的な決断が清々しい。好き。
「ゆりかごから墓場まで」タイの池で始まり、火星まで。閉鎖生態系をつくるスーツ。終盤はプチ『火星の人』ぽいかも。良作。 -
日本SF大会米魂の分科会「SF小説の文章技法」で取り上げられた小説『大風呂敷と蜘蛛の糸』が収録された短編集。表題作、大風呂敷、どれも面白かった。
野尻さんの文章は本当に巧い。難しいのに、読みやすい。とても淡々としていて、するする物語が進むが、時として思わず涙が出てしまうほどに心を揺さぶられる。冗長なだけが文章ではないということを強く考えさせられる。
個人的には『轍の先にあるもの』という短編が強く心に残っている。 -
専門的な言葉がたくさん出てきて、たぶん私にはこの本を理解する素養が足りてないのだと思う。物語性はほとんどないが、それを求めるのは違うのだ。深くは理解できなくても、新しい何かに夢中になる熱意はよく感じられた。特に「沈黙のフライバイ」は、こんな異星の知的生命体とのコンタクトがあったとは想像してなかったので驚いた。理解はできなかったけど、面白かったです。
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かな~り前から著者の名前は知っていたが、作品を読むのは初めて。
SFと言うカテゴリーなんでしょうけど、ちゃんとした科学的な裏付けがあっての内容なので、現実とかけ離れた印象がありません。
アイソン彗星が消滅してしまったと言う悲しい出来事がありましたが、やはり宇宙は、偉大で、広大で、魅力的な世界です。 -
やっぱり表題の「沈黙のフライバイ」が好きかなー。
でも「轍の先にあるもの」のワクワク感もいい。はやぶさの動向に盛り上がって一喜一憂してた頃を思い出しました。 -
死亡フラグが違和感なく立ってしまう物語.今回非科学ロケットの方.
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『退廃した未来』ではなく、『少し不思議』な世界でもなく。
テクノロジーが発達した先に実現するのではないかと思わせる、正しく『サイエンス・フィクション』な短編集です。
宇宙への憧憬、未知への挑戦、子供のような好奇心に溢れた5編の物語。
にわか宇宙熱な今時の気分にぴったりな一冊でした。 -
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尻P先生の短編集。
尻P先生の作品の中では地味な方かなぁ、と個人的には思います。
その中でも、「沈黙のフライバイ」「大風呂敷と蜘蛛の糸」は、
実にらしい感じだなぁと思う次第です。
個人的にポイントだと感じるのは「轍の先にあるもの」の導入部。
しれっとMUSES-Cが打ち上げられていますが、2001年の作品です。 -
ハードSF短編集。どれも秀逸。「片道切符」「大風呂敷と蜘蛛の糸」がお気に入り。宇宙大好き!という下敷きあってこその内容の割に、解説にもあったように熱くなりすぎず、あくまで理性的な展開と、主人公の冷静なキャラクターが(大体どの作品の主人公にも共通している)説得力がありました。他の作品も読みます。
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普段SFをほとんど読まないけれど、もっと早く読んでおくんだった・・・!こんなおもしろい本を放置していたなんて。特に、「沈黙のフライバイ」と「大風呂敷と蜘蛛の糸」が好きだった。内容は壮大なスケールなのに、自然とノンフィクションを読んでいるような感覚。地球の周りに広がっている宇宙の存在を感じずにはいられないし、今自分が暮らしている範囲とか悩みなんて本当にちっちゃいもんだと改めて思う。それぞれの登場人物の、探究心と行動力と熱意は、自分も頑張ろう!と背中を押してくれた感じ。中間層から望む景色って、どんなものなのだろう。
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短編5編を収めた短編集です。
個人的には「ゆりかごから墓場まで」が一番楽しめました。宇宙服みたいなスーツの中で全てがまかなわれることで、究極のリサイクルが実現するってことですが、もし出来てもわたしゃご免です。人生つまんなさそうだし。 -
ハヤカワJAの40周年フェアから拾ってきた初めての野尻作品。夢とアイデアを科学技術と静かな執念で形にしていく登場人物達。また今度他の本も読んでみるべし。
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内容(「BOOK」データベースより)
アンドロメダ方面を発信源とする謎の有意信号が発見された。分析の結果、JAXAの野嶋と弥生はそれが恒星間測位システムの信号であり、異星人の探査機が地球に向かっていることを確信する―静かなるファーストコンタクトがもたらした壮大なビジョンを描く表題作、一人の女子大生の思いつきが大気圏外への道を拓く「大風呂敷と蜘蛛の糸」ほか全5篇を収録。宇宙開発の現状と真正面から斬り結んだ、野尻宇宙SFの精髄。
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野尻宇宙SFの真骨頂。短編5編。
「沈黙のフライバイ」はハードというか、実にリアルなファーストコンタクトもの。『太陽の簒奪者』の前半を思わせる、どうしようもなく彼我の文明差の大きいファーストコンタクトもの。
「轍の先にあるもの」 これまたリアルというか、まるで私小説のようなSF。作者本人も登場?
「片道切符」 火星入植について、ちょっとななめ上から観た小説。続きが読みたくなるw
「ゆりかごから墓場まで」 タイの湖から火星まで。”あるく閉鎖環境”を徹底的に駆使したあたらしい冒険譚。
「大風呂敷と蜘蛛の糸」 ふわふわの泉の泉を連想させる、明るく度胸の据わった女子大学生のユニーク過ぎる冒険。気球を使って宇宙に行く、という奇想天外なアイデアがどんどん膨らんで現実的になっていく。。。その熱いうねりのドライブ感じ。『ふわふわの泉』のノリが好きな人はきっと気に入ると思う。 -
野尻 抱介 『沈黙のフライバイ』
(2007年2月・早川文庫)
「沈黙のフライバイ」
十光年離れた赤色矮星から送られてきた無数の探査機群が太陽系を通過するイベントを描く。
探査機を操る電波を解析し「赤い小人」の生態や彼らが住む星の環境を推測する場面に胸が踊る。
最後の1ページには夢が詰まっている。
「轍の先にあるもの」
2001年に小惑星探査機から送られてきた画像に触発されて書かれた作品。
実際に生まれた疑問にフィクションをつなげて20年後の解決に導く。
作者なりの解答には説得力あり。
「片道切符」
有人火星飛行計画の宇宙船の飛行士である2組の夫婦の話。
地球から打ち上げられた後、一緒に火星まで持っていくはずの帰還船が爆破される。
片道切符しかない状態でさぁどうする?って話。
宇宙旅行中の性行為に言及した文章を初めて読んだ。
映画でも無重力下では見たことないなぁ。
「ゆりかごから墓場まで」
個々が一つの閉鎖生態系を構成するC2Gスーツ。
太陽光から電力さえ得れば完全自給自足ができる寸法である。
その発想の発端からスーツの進化を描くが、最後には太陽系の生命の起源に目が向く。
C2Gスーツ、流行らない、と思う。
「大風呂敷と蜘蛛の糸」
女子大生の広げた大風呂敷は、ホントの大風呂敷だった、って話。
でかいパラグライダーで高度80キロの中間圏界面まで行ってしまおう、という計画。
この話も最後のオチが上手い。主人公が女子大生の、超前向きなハードSF。
この作品集から伝わってくるのは、野尻抱介氏の、宇宙への果てしない憧憬と、来るべき未来への確信である。
野尻さんが見据える未来は、まさに現実化するべくして、待っていてくれているのだろう。
そう思わざるをえない作品群であった。
90点(100点満点)。 -
ブレないなー、この人
宇宙に行きたくなってくる -
ビブリオバトルvol.11 in 三洋堂書店橿原神宮店 テーマ「行楽」で紹介した本です。
2014.10.5
野尻抱介の作品
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