ライトジーンの遺産 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 297
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (626ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309398

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  • ライトジーンの遺産 (ハヤカワ文庫JA)

  • ある日突然、四肢や臓器が崩壊する原因不明の奇病が蔓延する未来。
    人類の危機を救うのは、人工臓器メーカー。しかしその人工の臓器さえ、奇妙な事件や奇怪な現象を巻き起こす。
    臓器自体が、臓器を使っている何者かが、臓器を造るメーカーが。
    かつて奇病の研究の中でライトジーン社に生み出された「人造人間」・コウは、自由人として気ままに生きることを望みながら、たいていいつも臓器がらみの事件の捜査に駆り出される。彼の兄・ユウ、彼を使う刑事・申大為、そして新米刑事・タイスによって。

    特殊能力を持ちながら、「自分の手を使った方が早い」と嘯き、ウイスキーと紙の本をこよなく愛するコウ。記憶とか、魂とか、人生とかについて、それは一体なんなのだろうとじっくり考える連作短編集。

  • とても良かった。表紙絵の遠藤浩輝のマンガにしばらくハマってた。

    主人公はウィスキー好きの自由を満喫している人造人間。
    皆さんがおっしゃるように、とても読みやすかった。厚さの割に、あっという間に読み終わってしまった。

    「自分の気の持ちようで世界はいかようにも変化する、というのは正しいかもしれないが、自分の気持ちというのは自分だけで独立しているものではないことに気づかない限り、気分は変えられないものだ。」
    神林作品を読んでいると、その時その時に、自分が抱えている心の中のもやもやを、代弁してくれる表現を見つけることが多い。それで悩みが霧消するわけではないけれど、モヤモヤが言葉に変換されて目に見えるオブジェクトになるだけで、心が軽くなった気がするのは確か。歯医者で歯石を取ってもらった直後のように。(また時間が経つとモヤモヤに包まれるのだけれど。)
    戦闘妖精雪風や敵は海賊でも同じような体験をした。

  • 「本はうるさくなくていい」の一文が輝くハードボイルドSF。大変に大変におもしろかった。しかも「神林作品を初めて読む人にすすめやすい」と噂の通りの読みやすさ。どの章も好きだけど、対になる<エグザントスの骨>と<ヤーンの声>は良かった。各章の題名が社名と対応の人工臓器になっていて社名ABCDとんでXYZで並んでいるので、E〜W社のつくる臓器と<ライトジーン社の遺産たち>の物語もあるはずよね…と想像するのもまた楽しい。(<ザインの卵>で謎も残さず美しく終わってるので、間を続編として求めるのは野暮だというもの。)

  •  人間に臓器崩壊現象が発生する未来。人工臓器メーカー「ライトジーン」によって造り出された人造人間の菊月虹は超能力を用いて臓器犯罪の解決に協力していた……というもの。
     各章毎に物語が完結しており、神林長平作品にしては珍しく読みやすくて、何を表現したいのかはっきりと分かる作品。それ故、分量こそ多いものの、気軽に読み進められました。
     他の超能力SF作品のように爆発が起きたり派手なバトルが起こったりせず、主人公が独特の思考(哲学)によって事件の真実を解明するといったミステリーのような作品。

  • ある種の超能力をもった人造人間が主人公となり、人工臓器に絡んだ陰謀に関わっていく全7編の短篇集です。全編中々に味わい深い作品が揃っていますが、多くの謎が明らかにされる「ザインの卵」が特に良かったです。

  • 神林作品の中ではさらりと読める連作集ではないでしょうか。
    思念を読み、思念を力に変える能力を持つ“サイファ”、その始まりの人造人間――のはずなのに、主人公はひどく人間くさい。否、人間社会を満喫している。
    人工臓器を使うことを余儀なくされた都市での、酒と本を愛する気ままな男の事件簿のようである。

    ライトノベル調に説明すると“四十路に入った俺の兄貴は17才の強気美女だが全然ときめかないぜ(俺は)”だった。
    ――間違いはないはずだ(笑)。

    “だから友よ、生の本を読め”

  • 副題は「人造人間 菊月虹のΨ難」。
    超能力は疲れるし効率が悪いとぼやき、ウィスキーを嗜みつつ古本の頁をめくり、家賃の催促に怯えながら生活の糧を得るための仕事を探す。
    優雅に見えなくもない貧乏生活を飄々と楽しむ最強の人造人間。
    その出自と能力のせいで、厄介事に次々と巻き込まれるのです。
    グロテスクな描写もあるし、哲学的戯れ言が長いところもあるけど、ライトな読み心地です。
    楽しめました。

  • 面白かったー!身体の臓器が壊れていく奇病が人々を怯えさせる世界と、そこに生み出された二人の人造人間。特殊な設定が活かされたストーリーにいつしか夢中になってた。

  • 腕、心臓、眼、皮膚、骨、声、そして卵子。ヒトを形づくる器官と臓器を人工的に作れるようになった未来。人工器官もヒトに属する限りヒトの情念と無関係の只のパーツとしては存在しない。人造人間、自由人、超能力者、人工器官製造会社、警察と様々入り乱れるSF大作だけど、一気に読めて面白過ぎ。

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著者プロフィール

1953年、新潟県新潟市生まれ。79年、短編「狐と踊れ」で作家デビュー。『敵は海賊』、『戦闘妖精・雪風』シリーズなどで数多くの星雲賞を受賞し、95年、『言壺』で第16回日本SF大賞を受賞した。『魂の駆動体』、『永久帰還装置』、『いま集合的無意識を、』、『ぼくらは都市を愛していた』など著書多数。SFファンの圧倒的な支持を受けている。

「2017年 『フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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