天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309688

作品紹介・あらすじ

西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300周年を迎えようとしていた。しかし臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠る植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの弾圧を加えつつあった。そんな状況下、セナーセー市の医師カドムは、"海の一統"のアクリラから緊急の要請を受ける。街に謎の疫病が蔓延しているというのだが…小川一水が満を持して放つ全10巻の新シリーズ開幕篇。

感想・レビュー・書評

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  • #日本SF読者クラブ 10年の歳月を経て完結した大作。 #日本SF読者クラブ いよいよ読み始めた。全10巻といっても、17冊もある。10年かけずに読み終えたい。評価は下巻を読んでから。

  • 全10巻(10冊とは言っていない)のシリーズ、『天冥の標」1巻の上巻。
    のっけから読ませる! 人や異星人、果てはアンドロイドまで、登場人物の様々な行動が交差し、物語の筋道を作っていく。まだそれぞれの道がどう合流していくのかは見えてこないけど、引きの上手さと、話や文章のテンポがいいからそれがストレスにならず、先が気になってズンズン読んでいけました。

    西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープ。総督が軍や電力の供給を握るこの星では、最近になって電力供給の制限が始まり、市民の不満は高まっていった。この星で医者を勤めるカドムは友人のアクリラから、街で謎の疫病が流行していると助けを求められる。その感染源は思ってもみないもので……

    物語はとにかく重層的です。医師のカドム。身体に改造を加え、独自の文化・生き方を持つ“海の一統”の若きリーダー、アクリラ。一章で出てくる彼らが中心となって物語が進むのかと思いきや、政治の中枢にいる正義感の強い女性議員。軍の人間。市井の人間から距離を置き、自分たちの街を作っている“ラバーズ”と呼ばれるアンドロイドたち。高度な知能を持ちながらも、人間にこき使われている異星人。

    それぞれの視点から、物語が語られていく一方で、世界観や歴史的な設定の作り込みも合間合間で語られていきます。総督の権力の起源に到る政治闘争や市民たちの生活の様子もさることながら、ラバーズたちアンドロイドの設定や、身体に改造を施した“海の一統”たちの設定、異星人の独自の生態は、SFならではの想像力の面白さが、物語と深く結びつきます。

    庶民以上に電力を生命維持の観点から必要とする彼ら。一方では戦いに臨み、一方では総督の権力の及ばない、新世界を求め、新しい土地へ旅立とうとする。そして、それぞれの道に立ちはだかるものは……

    上巻の段階で残された謎は、とても魅力的なものばかり。カドムたちの前に現れた異形の生物の正体は? 電力の制限は総督が、植民星を捨て新たな星へ向かうため、との噂が出てくるのですが、総督の真意と目的は? 権力へ反旗を翻したラバーズたちの運命は? そして、新大陸で見つかった大型ロボットは、一体何を作っているのか?

    全10巻のSF大河小説の始まりに相応しく、人も人であらざる者の世界も構築しつつ、さらに大きな展開を予想させます。想像以上にワクワクしながら、下巻も読み進めていけそうです。

  • 面白かった〜!巻数の多さに怯んでたけどグイグイ読めておすすめして頂いて感謝です。
    人間、自ら改造してる人間、原住民?の知性体、アンドロイド…と多種多様にたくさん出てくるけど、この人誰だっけ?という混乱を全くしないのもすごい。何故か個別の意識を持ってる《石工》のクレヴが好き、話し方がかわいい。
    加えて、惑星ハーブCの植民地メニー・メニー・シープの歴史や〈領主〉の悪政と《海の一統》との対立もてんこ盛り。世界観作り込んであって好みです。
    《ラバーズ》は「そうだろ」となりました。エランカ議員がどうなるかだ。
    別行動とってるカドムとアクリラ、それぞれ大変なことになっているので下巻も楽しみです。初期の自治政府に、宇宙士官アウレーリア、建築家ラゴス、医師セアキって書いてあるので、カドムとアクリラはそもそも甲板長→領主に対抗する血筋みたいな…。ラゴスはこの時点でアンドロイドだったのかも。

  • 銀英伝好きで。じっくり読める長編SF探してて、読み始めた。今のところ、これからが楽しみだな〜っていうワクワク感が強い。

  • 面白い。長編SFということでまだわからないことだらけだがそれが明らかになっていくのが楽しみでしかない。

  • 全10巻で終了したので、とりあえず読み始めてみた。植民惑星メニーメニーシープを舞台に開幕。
    どうなっていくのか、まだわからん。

  • 全体的に、異種族間の心の交流といったところに好感を感じる。特に、ラバーズのエランカが自分にも存在価値があることを理解できたシーンが良かった。また、小さいエリアの話だと思っていたのが、400kmの滑落などと突如宇宙規模のスケール感を感じさせてくれるところがよい。

  • SF。
    2803年。植民星メニー・メニー・シープ。
    各章ごとに中心人物が代わり、物語が広がりまくり。想像力が追いつかないぞ…。
    五章のアクリラたちの冒険は鳥肌モノでした。
    イサリ、クレヴ、カヨ、ベンクト…。人間以外のキャラクターが好きすぎる。
    早くも傑作の予感しかない。絶対にシリーズ全冊読むぞ!

  • SF、最近読み始めました。

    未知の世界を体験するSFを読み進めるためには、
    序盤にどんな世界で、どんなキャタクターが居て、どういう対立があるか、
    がスッと入ってこないと、半分も読めないことが多い(気がする)。

    本作は、特異な世界観、多数の種族、画一的でないアンドロイドたち、
    と把握すべき事項はかなり多いことに加え、まだ明かされていない隠された設定まである。
    しかしながら、村のピンチと種族間の協力、というちょっといい話でスルッとこれらの設定が頭に入ってしまった。これはやはり著者の筆力の賜物なのだろう。

    どうやら10巻まで続いているようだが、とりあえずは下巻まで読んでおこうと思う。

  • 2024.03.15 社内読書部で紹介を受ける。壮大なスペースオペラ。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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