天冥の標 I メニー・メニー・シープ (下) (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2009年9月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784150309695

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

壮大な宇宙を舞台にした物語は、圧制に抗う革命運動と謎の疫病の影響を描き出しています。2803年の植民星メニー・メニー・シープでは、電力供給の削減が進む中、様々なキャラクターたちがそれぞれの思惑を持って...

感想・レビュー・書評

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  •  これは10年かけても読むべき作品かもしれない。 #日本SF作家クラブ

     2803年の植民星メニー・メニー・シープは植民「臨時」総督が代々統治するする世界。化石燃料はなく、移民船からの電力を主なエネルギー源としている。そして、現臨時総督は市中への電力供給の削減を推し進めている。

     そんな中、謎の疫病が蔓延するのだが。疫病と聞くと、どうしても新型コロナウイルスを思い浮かべてしまう。だから読み始めたという面もあるが、本書での主題はこちらではないようだ(続巻ではいろいろあるようですが)。

     臨時総督の「圧制」に対する革命運動が描かれることになるのだが、実は…という展開になり、最後は主だった登場人物が死んでしまい、生き残った者たちも…

     これは2巻以降を読まずにはいられないだろう。

  • これは続きも読まねばなるまい……
    圧倒的なうねりと変革の果てに待つ『天冥の標』1巻の結末。餌をおあずけされたような気分になりつつも、まだ物語が続く楽しみも同時に味わっています。

    植民星・メニー・メニー・シープの総督ユレイン三世の圧政に耐えかね、「海の一統」を始めとした市民たちはついに蜂起し、ユレイン三世の退任を要求する。それに対し軍部は兵士を派遣。メニー・メニー・シープは内戦状態に突入し……

    上巻は全体的に溜めの状態が続いている印象だったけど、下巻はとにかく動く、動く。登場人物たちが動き回り、各都市、各団体が結集していく一方で闘いは激しさを増していく。軍隊と市民たちの攻防戦が息つく暇も無く展開されていき、気がつけばあっという間にページ数が少なくなっていきました。

    戦闘描写の迫力もそうなのだけど、合間合間に挟まれる群像劇も面白い。アンドロイドであるラゴスをめぐる二人の女性の描写と、それぞれの愛と欲。そしてラゴスの心中と思いは、設定を存分に活かして、種族を越えた愛であったり、人間の支配や愛を求める欲、アンドロイドの苦悩を表現します。

    登場人物の魅力も物語を引っ張る。上巻から活躍する「海の一統」の若きリーダー、アクリラは上巻、そしてこの下巻と大きな挫折を体験しながらも、それでも前に進んでいく。女性議員のエランカは、正義に目覚め少しずつ同士を増やしながら、革命軍の政治的な部分において、徐々に中心人物となっていき、カドムも革命の使命を徐々に見出していく。そして、ここでも種族を越えた不思議な絆が生まれ……

    一方でユレインをはじめとした政府・軍部側の人間たちに、アンドロイド、メイスンと呼ばれる異星人たち。それぞれをピックアップしながら、物語は重層的に、そしてより大きなうねりをともなって展開されていく。

    様々な思惑が入り乱れる人間たちに、アンドロイドの苦悩、異星人たちの自我の芽生えといったところまで、戦闘の描写の中に書き込まれていて、ただただ感嘆してしまいます。スピード感と迫力溢れる展開に、情報量もなかなかのものがあって、読んでいる間に、自分もメニー・メニー・シープをめぐる大きな渦に飲み込まれていくような感覚を覚えました。

    そして、物語の最後に待つ壮絶なラスト。回収されていない伏線、多くの謎を残したまま、1巻は閉じられます。それでも満足度は高い。革命をめぐる物語のエンタメ度がそれだけ高くて、それ単体でも自分は十二分に満足できたからです。

    地球から来たという二人組。物語中、終始謎めいた言動をとり続けたノルルスカイン。メニー・メニー・シープという星はそもそも何だったのか? を始め、よくよく考えると分からないことばかり。

    しかしあとがきで著者の小川一水さんは『この話の終わりはすでに見えています。そのころにこの話は、たいしたものになっています』と豪語されています。こうなれば一読者としては、その自信を信頼し、『天冥の標』という物語の大きな流れに、身を任せるのみです。

  • 上下巻読了。難解そうなイメージがあって敬遠してたけど、Amazonのサンプルを読んでみたら意外にラノベっぽい文章とキャラだったので、(それはそれで一抹の不安を覚えつつ)手を出してみた。

    アニメの文字起こしみたいな軽い文体と、年代記のような固く淡々とした文体の絶妙なバランス、宇宙船・古代文明・謎の疫病・アンドロイド・改造人間・異星人etc...とてんこ盛りなSF要素、二転三転するストーリーのおかげで飽きずにグイグイ読めました。

    結末は釈然としなかったけど、シリーズ全部読み切ればきっと感想も変わってくるのかな。
    これが序章にすぎないなんて、あと15冊もあるなんて、贅沢すぎる。大事に読んでいこうと思う。

  • 凄まじいスピードで上巻を読み終えてしまい、下巻に突入。
    各地でいろんな人が様々な思惑で行動する様を見るの好き。群像劇!って感じがして。
    いろいろなことが起きてたけど、凄まじいスピードで読んでしまったが故にあっさりした印象になってしまった。今度はもっとゆっくり読んでいこう

  • ことごとく想像することさえ許されない展開が続いていく。とりあえず2巻をポチった。

  • こんな終わり方ある!?これは序章に過ぎないんだろうけど、という1巻でした。
    愛着覚えたキャラほとんど退場してしまい、これからどうなるのか…寧ろメニー・メニー・シープ、存続できるのか。
    イサリと、クレヴ改めリリーがキーパーソンかなぁ。
    地球からやってきてたふたりも気になります。あんなに簡単そうにハーブCまでこれるの?
    2巻は1巻よりかなり前の地球から始まるそうで、この星とはしばしお別れですが、続きも楽しみです。

  • これだけでは、この大作の意味が把握できなかった。

  • 政争系の話は読めない本は本当に読めないが、これはそれ以外の要素が多分に加えられていて読み易い。そして読み進めるうちに世界が掴めてきて、最後の展開に続きを考えさせられる。流される読書。

  • 29世紀。地球人の植民星メニー・メニー・シープの港町セナーセーの医師カドムは、親友アクリラの依頼で急速に町に広がる疫病を調査することに。その結果、感染源は甲皮に覆われた謎の生物イサリであると判明する。カドムは凶暴なイサリとなんとか意思疎通できるようになるが、星の支配者である領主ユレインからイサリを引き渡すよう命じられてしまう。メニー・メニー・シープの民たちは現領主による厳しすぎる配電制限で生活が立ち行かなくなりつつあり、各地で反乱の種が芽吹いていた。反骨精神旺盛な《海の一統》アウレーリア家の嫡男であるアクリラとイサリを失ったカドムも、電力を独占しようとする領主の陰謀を阻止するために動き始める。〈天冥の標〉シリーズ第1作。


    上下巻一気読み!面白かった〜。設定も登場人物もてんこ盛りのSF小説だけど、サービス精神にあふれていながら無駄を削ぎ落としたエンタメ特化の文体でリーダビリティが高い。「雄閣」と「雌宮」など、特殊用語のネーミングセンスも好き。
    惑星規模のパンデミックを予見した作品としてコロナ禍中に話題となったのがきっかけで手に取ったシリーズだが、このI巻時点では疫病はイサリという謎の生物が登場するためのフックにとどまっている。メニー・メニー・シープはかつての入植船シェパード号に備わる発電炉のみに電力供給を頼っており、その全権を握る領主への反乱が物語の主軸だ。
    それと同時に、メニー・メニー・シープという星自体に隠された巨大な秘密があるとちょくちょく示唆される。シリーズものなので解き明かされない謎も多いが、この巻でのクライマックスは「ユレインの目的は本当にシェパード号でこの星から逃げることなのか」という謎の真相。それが明かされたあとは突然ガラッと小説のジャンルが変わってしまうのが最高に楽しかった。『鉄血のオルフェンズ』みたいな絵面を思い浮かべながら読んでいたのに、いきなりギュスターヴ・ドレが描いた地獄絵図になる感じ。
    キャラクターでは石工のリリーが好き。クレヴという名を棄て、リリーと名付けられ直して「怒りたい」という自分の気持ちに向き合う彼女には共感せずにいられない。遠い未来の遠い星の話だけど、民の描き方、社会のあり方などに「日本人が書いた小説」だということをビシバシ感じる物語だった。

  • 長編小説の第一章完結。フェロシアン、ダダー、メイスンの正体、ユレインは何を隠しているのか、ある程度の謎が開示された。
    先は長い。

  • 「ちょ、おぃ!?」思ってしまった。世界設定に偽りありとは思っていたが、これほど死ぬとはね・・・。そして伏線だけの巻だとは。

  • 「日本の『ハイペリオン』だからぜひ!」と目利きの後輩たちに勧められて読み始めたが、外見描写もなくうじゃうじゃ出てく流キャラ、すごいスピードで進む話。うわわ、これは読書力のすべてを投じても太刀打ちできるか…?と必死で100ページ読んで、「あ、これ下巻」と気づいたわけです。
    あらためて上巻から読み直したら…すごいなあ! わかりやすいしw
    ああ、このキャラが「シュライク」っぽいのね、そして、続巻にはアイネイアという人物が出るのねと、あくまでハイペリオン類似点に萌えつつ、いや、これは素晴らしくスケールのでっけえオリジナル世界に没入させてもらえる傑作。
    人の死に方と言ったらイデオン並みだが、間にいろいろ挟みつつ全巻読破するぞ!

  • 様々なジャンルの要素をSFで包み込んだ、といった作風で、設定や伏線がこれでもかと詰め込まれていたにも関わらず、上巻と同様にすらすらと読み進められた。
    ページをめくる毎に謎が謎を呼び、答えがほとんど何も明示されないまま物語が進み、結末は予想だにしなかったものになった。
    次巻からは時代がうんと遡り、どのようにして物語がここに至ったのかがじっくり説明されていくものと思う。楽しみに読みたい。

  • ちびちびと読み進めていた本作。色々不穏な表現は散らしてあったので色々なことを想像しながら読んだが、さすがにここまでの終わり方は想像していなくて、あとがき読んで著者の思い通りの反応してしまったな、と笑った。さぁ俄然続きが楽しみになりました。

  • 全10巻17冊の全てんこ盛りのSF大作
    社会、倫理、スペースオペラ、ラノベ要素などなんかもう思いつく限りの要素を煮詰めた作品でした
    1巻は怒涛の不確定情報の多さにビビりますが、最終巻まで読むと納得の内容です・・・

  • 待ちに待った下巻!

    正直もっと書いて!という部分がいっぱい。
    ・アクリラ帰還、に伴うカヨのナレ死
    ・いつの間にかのキャスラン退場
    ・カドムのイサリへの蛙化現象の経緯
    などなど

    読んでてキツかったのは、上巻であれだけイサリイサリ言ってたのに、イサリ喋り始めた途端、コレが蛙化現象か?というくらいカドムが冷めた態度で、読んでて最後までイライラした。コイツにタコハのにーちゃんはもったいなかった!

    それでも終盤怒涛の展開で次巻以降気になるし、マルフォイぐらにしか思ってなかったユレインが時行様ぐらいに見えて応援してしまう。
    舞台は時間も場所も変わるみたいだけど、誰が再登場してくるのか楽しみにしてます。

  • CL2025.1.2-2025.1.3
    世界が終わったようなラスト。
    全10巻の序章のような1巻上下だった。序章というには濃密な内容で、この世界が、この物語がどう動いてどう展開していくのか。先が気になる。

  • ひたすらしんどい。ジョジョ2部でサンタナを倒した後に柱の男はあと3体いた!みたいな盛り上がりはない。

  • 壮大な物語の始まり。下巻
    ここはどこなのか、イサリは人間?、また"海の一統"の設定がいい。
    人間、改造人間、アンドロイド、異星人等、登場人物のキャラがいい。謎が大きく、でも話しは庶民中心に、いづれ国、星、宇宙、時間軸まで超越して進む、読書好きなら読むべき小説だと思う。SF好きなら迷わず読むべし。

  • 全10巻全17冊

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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