探偵、暁に走る―ススキノ探偵シリーズ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309817

感想・レビュー・書評

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  • ススキノ探偵シリーズの中では今のところ一番好きかも。かなりの長編(5巻くらいある作品で長編と思う私にとってはたいしたことないけどw)だが、一気読みできるくらいのおもしろさ。
    ススキノシリーズが合わない人以外は楽しめると思う。
    個人的にはアンジェラが好きなので次回作以降もっとアンジェラの活躍の場を増やしてほしい。

  • 長い割には終わり方が呆気ない。これまでのシリーズにも言えることだから、慣れっこになった今ではそこまで気にならないけど…いやでもちょっと長かったかな。作者の主張したい部分になると筆が乗っているのがよく分かる。
    やりたいことがハッキリしていてカッコいいけど、結局周りに助けてもらってばかりの〈俺〉仲間に恵まれたからこそ、ここまで生きてこられたんだな…そのお陰でシリーズもここまで続いた、と。

  • 大泉が演じた初期の若き「俺」とはもはや別人といってもいい、50近くのデブと化している主人公なのだけれど、やっぱりファンとしてはそういう彼にも愛着がありますな。
    年々渋さと偏屈さに磨きがかかってるし、信念は曲げないし。

    「俺」と、おそらく作者自身がモデルであるのだろうと思われる物語の重要な位置をしめるイラストレーターがしつこく繰り返す、あの道産子の恥であるYOSAKOIと、そのうさんくさいイベント周辺にたむろする連中への対する呪詛にも近い罵倒とののしり具合には、同じくあの珍妙な祭りに嫌悪感を抱いている者として少なからず愉快になってくるくらいの酷いDISり具合だ。

    華の部屋で、ちょっとした行き違いや心のズレみたいなのを感じて、あ、これでもう俺たち終わるのだな、という雰囲気になる一連の描写が非常に素敵で良かった。
    東直巳さんの作品には、そういう長編の中にものすごく心に残る一文や、描写や、台詞なんかが必ずあって、個人的に好きですね。

    長編ストーリーとして、読者を惹きつけるエンターティメントの部分やけっこうヤバいシチュエーションに陥るスリリングなシーン、いい年したオッサン同士のなんともいえぬ友情なんかを含めて、シリーズの中でも一二を争う傑作なのではと思う。

  • ススキノ探偵シリーズ。

    死んだ友達のために、一銭にもならず、かつ身の危険を顧みず真相を追求する「俺」。

    「吹雪の果てに」で、やはり昔の恋人のために
    一銭にもならず、かつ危険をおかした「俺」。
    その時の人脈のおかげで、命拾いしたという感じです。

    近藤さんは死に、「俺」も危なかった。
    なのに、助けられた人&その家族が、その事を知らないという展開は切ないです。

  • 地下鉄で乗客とトラブルになっていたところを救ったのがきっかけで、“俺”はイラストレーターの近藤と飲み友だちになった。その近藤が何者かに刺されて死んだ。友人の無念を晴らすべく、ひとり調査を開始した“俺”の前に、振り込め詐欺グループ、闇金融、得体の知れない産廃業者らの存在が…絶体絶命の窮地に陥りながらも、“俺”は友の仇を討つために札幌の街を走り回る。

  • 再読。いやー、これはほんと切ない話。認知症を発症したけど、嫁以外の前ではしゃんとして、嫁しかおばあちゃんの混乱した姿を知らない、というのも、そのせいで嫁が夫から文句言われるのも。いかにもありがち。そして詐欺にあって騙されてるけど、それを絶対に言おうとしないというのも。正直、自殺しようとするのも分かるなぁ。それを助けたのもほんとに良かったのか。しかし、振り込め詐欺、聞かなくなったけど、まだやってる人もいるんだろうな。そしてもっと違う詐欺をやってるんだろうな。

  • 作者の代弁者になっているな〜
    書いていて楽しかったろうなと思いながら読んだ。いろんな問題を提起しながら、うまく文中に埋め込んだだろうけど…。

  • 探偵シリーズ、8作目。主人公は結婚、離婚し未だにススキノで探偵まがいを生業としている。
    地下鉄で偶然知り合った、ローカルTV番組に出ている画家、痴呆症の老女、難病にかかり寝たきりのヤクザとそこに拾われた男。
    おなじみの登場人物と、本作で新たに登場する人物が実によく絡み合ってストーリーは軽快に進んでいく。
    ミステリー要素もあり、625ページの長編だが、苦労なく読める一冊。
    星は3.5としたいが、半分はつけれないので3で。

  • このシリーズ全部のことだけど、本当に出会えてよかったと思える作品。わたしの知らない町の知らない人の知らない人生をこんなにリアルに体験できて、自分の人生を相対化できる。今回は長編でしたけど、それを感じさせないくらいのスピード感でした。
    52歳になって、あまりやたらに正義感は振るわなくなったけど、根底の部分でしっかり芯のあるいいおじさんになった「俺」がほんと、いい仕事してます。1日で読めます。読みたくなります。

  • ススキノ探偵シリーズ。図書館で。
    So-ranってヨサコイの事かなあなんてぼんやり思ったり。私はあまり興味ないのですが岩手の人でえらい嫌ってる人が居たなあなんてふと思い出しました。イナカモノとトカイモノの話は置いておいて色々他の人の立ち振る舞いが目に余るようになったなあと思います。年取ったせいですかね。
    それにしても近藤さんは殺されなきゃならなかった必然性があるのだろうか…。

    そして新しいガールフレンド出現。30代の美人が何も50過ぎた小太りの無職、酒飲み、危ないことに首を突っ込みたがり、手が早く、精神的に子供なオジサンを相手にしなくてもいいんじゃねえ?とは思うんですが。まあ反対に彼女が身を置いている世界ではマトモな方なのか、彼は。女にたからない・暴力を振るわないだけでも。なんとなくそういう環境が切実に寂しいですね。
    まあ年を取ってくるとあまり贅沢は言えないってことかなあ。

    シリーズ通して出てくる人物たちのそれぞれの進捗状況もなかなか面白かったり切なかったりですね。

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著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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