ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 522
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309831

作品紹介・あらすじ

人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート"数値海岸"。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった-"数値海岸"の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた"大途絶"の真相を描く「魔述師」など全5篇を収録。『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する、待望のシリーズ第2章。

感想・レビュー・書評

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  • 中短編集でありながら、どれもがっつり効く。作品間でのクロスオーバーが多く見られるのも楽しい。例えば硝視体<<<〈非の鳥〉、ミランダ≒著作人格、チョコレートの感触と香り≒父の指についたランゴーニの髪の匂い、など。人物関連もいっぱいあるけど省略。単純に父=安奈かと思ったけど、阿形渓でも面白いか。p.88、過剰な感情移入故の懊悩かと思いきや異常な嗜虐性向故の官能だった、というのをさらりと吐露する描写が安奈の静かな狂気を感じさせて一番怖かった。リアルと数値海岸が互いにどうなっていくのか、続きが気になる。

  • 長編よりも中小編の方がやはり切れ味が有ると改めて思いました。
    前作「グラン・ヴァカンス」の伏線を回収していく中編集。
    あちら側とこちら側の視点で描かれるどちらの世界も美しい文体で綴られ、
    最早中毒気味です…次回作が楽しみ過ぎます!
    「魔述師」「蜘蛛の王」辺りが個人的には好み。

  • グラン・ヴァカンスを読み終えてから、だいぶ時間をおいての読了。

    飛作品には、生と死が溢れている。
    生と死が、モザイク状に作品を形造っている。
    数えきれないほどの側面があるように見えても、生と死には実は境界はなくて、時には全く一続きのものにも見える。

    どのように生きるのか。
    自分の、どの欲望に沿って生きるのか。

    どのような死を選ぶのか。
    自分の、本当の欲望はどんな形なのか。

    そんなことを問われている気がした。

  • 『グラン・ヴァカンス』を読んだのはたぶん1年ぐらい前だけど、これは連続で読めば良かったなー。
    『グラン・ヴァカンス』を読んだときは、”数値海岸”、”夏の区界”…etcと一つ一つの単語からも感じる凄まじいこだわり、静謐ってこういうことだなと思わされる文章力からなる見事な世界の美しさに圧倒された。そして、それとは全く正反対とも思えるんだけどやはり美しい残酷な痛み・苦しみの表現、これも本当に凄かった。
    本書でも飛浩隆の書く世界の美しさというのは改めて感じ入った。が、それよりも彼の書く世界というのが”数値海岸”の中だけでなく、ちゃんと現実の理論があってフィクション(数値海岸)があるとまで練られているところが驚きだった。もちろん、この現実の理論もフィクションではあるのだが、まるで別世界か遠い未来でも見てきたんじゃないかと思えるほど虚構が理に敵っている。第三作が本当に楽しみです。

  • 前作の「グランヴァカンス」はSFというよりもどこかしら童話のような感じがした。

    何かとっても深い意味が隠れているなか物語が美しく残酷に進む。


    読んでいて正直理解できない場面も多々あったけれど何故か引き込まれる。

    「グランヴァカンス」はそういった印象だった。


    続編である「ラギットガール」はそのなんだか分からないけれど当たり前のように進められていた様々な事象や思いについての回収がなされている。


    前作は「仮想リゾート数値海岸」での出来事、つまりはAI側(仮想世界)からの物語。


    「ラギットガール」は5編の中編が収録されていてその中には現実世界の話もある。

    人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を語った話もあるのでかなり真相に近づく事が出来る。

    一回読んで把握するのはちょっと難しかった。

    私の場合は現実世界での設定がかなかな理解できなかった。

    すべて腑に落ちるまではかなりの読み込みが必要だと思う。

     

    しかし読めば読むほどピースがハマるようになるのでやっぱり面白い。

    早く第三部が出ないかなぁ~と楽しみに待ってます。

  •  前作、グラン・ヴァカンスの続編。
    表題作はアンソロジーで先に読んでいたがいまいちピンとこなかった部分があった。だが前作のグラン・ヴァカンスを読んだあとではすっきりした。
    グラン・ヴァカンスの続き、別視点からの話なんだなと。あのVR世界の開発者や大途絶の原因の事件を描いている。

    いつもどおりの残酷な世界。思うにこのようなVR世界だと世界破滅ものが不自然ではない。んまあ現実世界以上に魅力的なものをもってこないと説得力がないが。
    箱庭世界で神として世界をコントロールしたい、徹底的に破壊したいのは人間としての業なのかと読後に考えた。
    VR技術として「似姿」という方法をもってくるのは非常にリアルだ。面白い。
    さて、三部作の最終巻はいつ出版されるのかなと……

  • 作家「飛浩隆」はSFとしてのフレームワークがしっかりしている事が好きな理由であるが、SFであるのに多彩な色・香り・風景・音などを感じられる希有な作家であると理解している。物語の内容については前作で語られなかった背景や、異なる平行時間の物語の入った短編集。期待が裏切られることは無いと約束する。

    SFファンでなくとも本シリーズは読んでいただきたい作品の一本である。またこれは個人的ベストSFランキングの中では比較的近年にランクインした作品でもあり間違いなくベスト3に入る。

    追伸:いつも読み返す時期は冬~春であり、これから暖かくなって行き、初夏を迎えるまでには「夏の扉」を読み返してみたくなる不思議な物語。

  • 「グラン・ヴァカンス」に引き続き、とても良かったです。「夏の視硝体」は前作の後で読むと切なくなりました。
    個人的に最も印象に残ったのは「魔述師」。これ、未来版『非実在青少年』問題…ですよね?
    現在リアルに起きている論争に関しては、フィクションを愛する者の端くれとして規制に反対ですが、この作品内の<ダイ・イントゥ>の行動には一定の倫理的正当性がある、と感じてしまう。そんな自分に気が付いて少しだけぞくっとしました。
    フィクションは現実を直接的に変えたりはしないけれど、優れたフィクションは現実を解釈する私達の内面を揺さぶる。
    文章の持つ力というものを見せ付けられた気分です。

  • 解説:巽孝之

  • 文庫化を機に読もうと思い購入。

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著者プロフィール

1960年島根県生まれ。島根大学卒。第1回三省堂SFストーリーコンテスト入選。『象られた力』で第26回日本SF大賞、『自生の夢』で第38回同賞を受賞。著書に『グラン・ヴァカンス』『ラギッド・ガール』。

「2018年 『ポリフォニック・イリュージョン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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