虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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レビュー : 1547
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309848

感想・レビュー・書評

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  • 攻殻機動隊、サイコパスが好きな人はお勧め。
    テクノロジーが進歩して合理的だが、人の道徳という意味においては、皮肉や気持ち悪さがある感じ。
    読んでいてスッキリしないが、なんとなく余韻が残るような小説を読みたい人にはお勧めです。

  • かなり近未来の世界を描いている。
    本当に起こりそうだというリアルさが良い。
    かなり凝った部分と、粗削りな部分が混在していて、世界を切り取ったらこんな感じに見えるのかなという文章だと思いました。
    短期間にこれだけのものを書けたとは素晴らしいの一言です。
    他の作品も読もうと思います。

  • 読み始めたら止まらず、他の読みかけ本全部すっ飛ばしてあっという間に読了。SFだけど、すごく真実味もある。戦闘シーンのなんとも言えない生々しい描写。クラヴィスがだんだんバランスを崩していって、最後に転身を遂げる様とか、ポールとクラヴィスそれぞれの覚悟と決断の重みは筆舌に尽くしがたい。正義って何だろうね。私たちは直接手は下してなくっても、やっぱり命を天秤にかけているんじゃないか?

  • SFバイオレンスな本かと思っていたのだが、
    全然違くて、最近読んだ本の中でダントツで良かった。
    誤差のない時間を生きてきたのもあって、私が感じ取っている時代の一部がつめ込まれてる気がした。

    先にハーモニーを読んでしまっていたのだけれど、読んでない人はこちらを読んでからハーモニーを読んだ方がすんなり納得できると思う。

    生きていたらもっと素晴らしい作品を残していただろうに、残念です。

  • 題名がラノベっぽくて嫌なんだけど、中身は面白かった。SFっていいね!
    細部の描写が細かく描かれていていい。
    痛覚マスキングとかポッドの素材とかとか。
    ド文系の私でも、わかった気にさせてくれる道具が良い。

    自国に争いを持ち込ませないために他国同士を争わせるとか、
    実際PR会社が戦争に介入した例もあるので、荒唐無稽な未来でもない感じで。
    ゼミで論じたら楽しいだろうなぁ。

    道具とか、虐殺器官とか、面白い発想がすごく多い。
    他の作家さんだと面白いと思える発想があっても、せいぜい数個で、それを長々と膨らませて、またこの話かよーってなるんだけど、伊藤さんのはそれが無かった。ラストも、主人公と作者に距離があり、あくまでこの構造を語りたいとうことが伝わった。

    ジョン・ポールが虐殺の文法を遺してたとのことだったが、主人公と話している会話の中に、虐殺の文法を紛れ込ませていたのかも。

    ルツィアがあそこまで二人を惹きつける理由は謎だ・・・。

  •  エクリチュールとは死者の国である。とラカンが言ったかどうか知らないが、似たようなことは言っているはずだ。
     だから本書も死者のものであり、実際、作者はもう鬼籍に入っている。この小説を書いているときにどれほど自己の死を差し迫ったものと感じていたのかは知らないが、冒頭からおびただしく死のイメージに満ちている。当然、これは戦争の物語なのではあるが。
     9.11から少し未来の世界。先進国はテロ対策に管理を強めている。他方、発展途上国では政情不安が続き、世界のあちこちで虐殺行為が頻発している。そしてアメリカ国防省は他国での要人暗殺を不可避の紛争解決手段としている。「ぼく」、クラヴィス・シェパードはアメリカ合衆国情報軍の特殊部隊員。紛争地帯の「人道に対する罪」を止めるため、虐殺の中枢となる人物の暗殺を任務とする。
     虐殺の行われる国に必ず出没するアメリカ人の学者ジョン・ポール。彼が虐殺行為を引き起こす何らかの工作をしているらしい。「ぼく」はジョン・ポールの暗殺を命じられる。

     すでに評価の高い作品であるが、なるほど面白くもあり重くもある。まるで、英語圏の翻訳SFを読んでいるような感触は日本のSFらしい手垢を見事にぬぐい去っている。まずはジョー・ホールドマンの『終わりなき戦い』や『終わりなき平和』を連想した。非情なミッションとそこでも何とか保とうとする人間性。本作では特殊部隊員がミッション中に良心によって判断が鈍らないように、モジュール化した脳の機能を切り離すテクノロジーが登場する。この辺はグレッグ・イーガンみたいだが、イーガンのように主体の存在そのものを揺るがすような扱いではない。
     謎の学者をヨーロッパの古都に追いかけるストーリー、「個」ではなく「種」に影響する何かを言語学的に扱うのは、山田正紀『神狩り』を思い出した。
     重いのはテーマ。それはたぶん、「生きるために殺す」ということではないだろうか。本書では戦争が産業化されるさまも描かれているが、戦争の本質は「生きるために殺す」ということであり、さらに一歩進んで、人間の本質は……とまでいえるのかは読者に託されているというところか。
     『自爆する若者たち』とあわせ読むと、絵空事ではなくなる。

  • 伊藤計劃作品
    「言葉」の持つ力を改めて考えさせられました。
    またラストの展開にも衝撃を受けました。

  • 前評判を聞いてなかったら途中で読むのをやめていたかもしれない。
    自分のことを「僕は」という殺し屋と、能書きばかりで前半は退屈でしかたなかった。

    後半は急速に動きが出てきて、ふむふむというところに物語は着地する。

    前評判を聞いていなかったらもっと満足感は高かったかも。
    あと攻殻機動隊を見る前だったら。

  • 冒頭、グロテスクな描写なので読むのをやめようかとも思ったけれど、読むにつれ物語の広がり、深まりが静かな語り口の下で激しく進んでいく。

    今まで、これほどのSF・ミステリー・アクションすべての要素が詰め込まれた小説があったか?
    文中の言葉を借りるなら、思索的でもある。
    自身の置かれた状況を映画「地獄の黙示録」のカーツ大佐とウィラード大尉にたとえているが、それを遙かに上回るテーマ性と意外性がある。

    10年、生年が遅い作者と、同じような文化的体験をしていると感じられる描写が随所にみられ、それもポイント。
    残念なことに作者はすでに亡くなっている。 残念。

    本当に面白かった。

    前にも「ジウ」のレビューでも書いたことがあるけれど、静かな本屋さんの中にある本の、ページを開いた瞬間からこんな胸躍る物語が飛び出してくるって、本当に面白い。

    やめれんな・・・。

  • 文体の作りが馴染めないまま後半に突入。内面的な情報がおおく、情景描写が少なく想像力を試される。

    4章ぐらいから、動きのある展開。

    人間は、やはり争いなしに生きられないものかと…殺しあうことで得る平和、それに手を染める人間とは…テーマが深くて、一回では、理解しがたい。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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