虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.13
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本棚登録 : 11538
レビュー : 1546
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309848

感想・レビュー・書評

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  • 4/8
    「いま」に対する強い視線。
    冗長と思われかねないほどの戦闘シーンの迫力。
    人の生き死にへの真摯さ。

    この作家の作品をこれ以上読めないことを、僕らは大いに悲しむべきだ。

  • 昔の相方にもらった本。タイトルと表紙的にあんまり興味がなくて、もう7年も寝かしていた。
    一言で言うと、良い本でした。
    ストーリーの流れも設定も、そして言いたいこともよく考えられている。とても10日間で書かれたとは思えない。
    最初に伊坂さんを読んだ時に近い、この人の本をもっと読んでみたいという感覚になった。
    人間とは何か。どこまで機能が失われれば人間ではなくなるか。その機能でさえ、遺伝子で決められているとすると、個々の人間としての違いや意識、思考、言語などはどこまで意味を持つのか。
    とりあえず30年少し生きてきて、残りの時間はわからない。あと1年かもしれないし、あと60年あるかもしれない。こうやって自分の考えを表現したり、そもそも自分でいられる期間は非常に短い。”生きている”という、何かを発信したり、誰かに影響を与えられる間に、一体自分は何をしたいんだろうを考えさせられる。

  • 非常に面白い。SFにはまりそう。
    SFの未来感と暴力的な描写がたまらない。

  • 小松左京指摘の欠点はもっともで大賞を逃したが。感覚も感情もマスキングした殺しのスペシャリスト達。国連のタスクチームが世界各地で“なるべく”平和になるようなツボの人物をターゲットに選んで除去していく。外科手術のようなものだから血の流れるのは止むを得ない!主人公にはナマの感情が残っていて倫理とか(延命措置を拒否して亡くなった母の)魂とかを気にしている(日本人らしい)。最大の標的に“自らは手を汚さずプロパガンダのみで虐殺内戦起こせる男”があった。彼は核テロで妻子を失い平和の為米英を標的とするプロジェクトを単身で

  • 近未来舞台の戦争哲学
    といったあたりが主題だがエンタメとしてSF仕掛けやミステリ風味もあって
    伊坂幸太郎作品+『メタルギア』はまったく同意見
    題材でなく小説として既に安定した技術と高い個性を感じるので
    作者の早世が惜しまれる
    がそれを物語にふくめるのはどうかと思う
    売り物だからな

  • これはおもしろかった。

    主人公は途上国各地でジェノサイドを遂行する独裁政権の要人を逮捕・暗殺する米軍特殊部隊兵士。で、虐殺を「引き起こす」真の原因が段々見えてくる、という話なのだが、まずもって近未来兵器の描写が何と言うか率直に言ってかっこいい(落下傘の代わりに、人工筋肉でコーティングされ極限までステルス性を高めた射出ポッドで敵地に侵入、とか)。

    このカッコよさ、意味ありげで細密な周辺知識、「あ、おれこの元ネタ知ってる知ってる」という快楽を味あわせる古今の映画・小説からの楽屋落ち、これで著者の実質処女作というのがすごい。

    個人的には「後日談」的なエピローグはなくてよかった、という気がするのだが、、、(公開から10年を経て、ラストの取ってつけたようなハッピーエンド描写を削除したブレードランナーの「ディレクターズカット」版からの連想で、最後の数ページのない改訂版を想像してみたりもする)。

    本書の著者である伊藤計画(←活字変換できません)氏、本作発表後わずか数年、30代の若さで世を去ったとのこと。残念。


  • 硬派で毒々しい言葉に彩られた、罪と罰の物語。
    言葉は思考を規定せず、ただ器官として機能するのみ。
    誰にも許されず、咎められもせず、彼はただ、自らを罰することを選んだ。

    2018/12/17 読了

  • ずっと気になっていて、タイトルに怯えて読めなかったけれど背中を押してもらってついに通読。最たる凶器は言葉であるというそのロジックに押し込めるための緻密な舞台装置に眩暈がしそうになる。森博嗣のスカイ・クロラと近いものをかんじる。

  • SFはあまり読まないのだが、夭折の天才作家伊藤計劃の代表作である本作は、SF好きじゃなくてもぜひ読むべき一冊。
    ちょうど東日本大震災にともなう原発問題が今よりも逼迫した問題として世間を賑わせていた頃、いわゆる「東大話法」との関係で本書のキーとなる“人々を虐殺に駆り立てる言語”を取り上げた安冨歩の『原発危機と「東大話法」』を読み、私は伊藤計劃を知った。

    そんな風にSFを読もうとした本書を手にとった私でも圧倒されるのはその文体と情景を描写する力の強さ。フィクションなのに、こんな未来があるかもしれないと読者に思わせるだけのリアリティあふれる世界観。
    文量は多いが、思ったよりもするする読める。ぜひ伊藤計劃の世界を見に来てほしい。

  • 高度に情報化され、大都市では「認証」されずには何もできない世界。アメリカの暗殺部隊に所属する主人公が、母親を「殺した」ことに悩みつつも仕事として命令された対象を殺し続ける。
    こ……これ、処女作ってすごいな……文庫化までに変更されている部分があるかもしれないけど、すっごく「読ませる」。ラストは、確かに今までよりは流れた感があって、ちょっと違うなーと思いましたが、「ぼく」という一人称から受ける未熟な部分と、「調整」を受けて残虐非道に殺しまわる姿、そして死人が夢に現れること。バランスがとれないけれど、不安定な感じではなく、目の前におきるできごとを淡々と見つめているような感じが、特別でした。前に「ハーモニー」は挫折していたんだけれど、もう一回読んでみよう。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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