虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.13
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本棚登録 : 11541
レビュー : 1547
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309848

感想・レビュー・書評

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  • なんというか、一ページ目でこの話は重たい! ってすぐにわかったけど、だからどうこうって訳ではないし、それはそれで大好きなので、個人的には嬉しいからよいのです。

    それより何よりもこの本が持つ意味が重いなあって思った。

    正直、読みたいと思ってたけど、持ってたことを忘れていたし、まさか持ってると思わなくて、読めたことに感謝してる。

    人生一冊目からこんな本が書けるなんてすごくびっくりだし、こんな話が書ける作者がもう既にこの世にいないなんて、すごく切ない。

    それだけ読ませる話だけれど、救いはどこにも存在しない。
    最後にはピザを食べる生活にはさよならしてしまうことになる。

    暗い、暗い、どこまでも暗い話が好きな人にはオススメです。

  •  まずは感謝の意を込めて。
     この作家のことは、とあるマイミクさんの日記で知った。
     こんな面白い作家がいたとは……しかもこの世にもういないだなんて……。
     いずれにしても、そのマイミクさんに感謝。
     ありがとうございます。
     ということで……。

     SFなのだろうか。
     僕がイメージしているSFからすれば、この作品はちっともSFっぽくなかった。
     いい意味でSFという枠に収まりきらない面白さを持っているように思う。
     ミステリーともとれるし、哲学的な内容ともとれるし、タフさが少し稀薄になったハード・ボイルド的な作品とも言えると思う。
     世界中で大量虐殺を引き起こしているジョン・ポールという男と、彼を追う米軍大佐クラヴィス・シェパードの話。
     おおざっぱに紹介すればこんな感じになるのだろうが、非常にロジカルであり、非現実的な出来事や思考なんかも、きちんと理論立てて書かれているので、違和感を全く覚えない。
     そして文体がとても若々しい。
     僭越な言い方を許してもらえるのならば、良い意味でのアマチュアリズムに溢れているように思える。
     書きたいことが山ほどあり、抑え切れないままに勢いに乗って書いた、そんな感じ。
     ところどころ「ん?」と思える表現や文体が出てくるのだが、それらが全く作品のマイナス要素になっていないように感じた。
     あるいは書き急いでいるようにも感じた……。
     それもそうだろう……この作品の原型が発表されてから、わずか3年後、作者である伊藤計劃氏はこの世を去ってしまうのだから……。
     もっと早くしっておくべきだった作家の一人になってしまった。
     エピローグはストックホルム症候群の変形のようにも思えるが、もともとジョン・ポールとクラヴィス・シェパードは表と裏の存在だったのかもしれない。
     エンターテインメント(この単語をネガティヴに捉えている人もいるみたいだけれど、決してそんなことはない)として、超一級の面白さを持っている作品だと思う。

  • 鬼気迫るほどの戦場描写、殺戮描写、繰り返し出る母親のイメージも恐ろしいが感情移入できた。
    敵の行動の真意が予想を裏切られる展開で、ミステリと言われるのも然り。ジョン・ポールの行為の理由は、意外で予想外で、何より許されざるものでありながら、納得できてしまう、それどころが自分でも選択しないと言い切れない切実な理由に思えた。もし誰かの命と引き換えにしか、自分の愛する人の命を守れないとしたら?ましてや、実際に自分の愛する人が暴力、テロ行為の巻き添えで殺されていたら、やるならお前たちどうしでやりあえ!と思うことを責められるだろうか?自分の罪、自分が追いやった人の死は自分が背負うという決意は衝撃的だった。
    喪失と空虚を抱えるクラヴィスが行った結末は一層の衝撃だった。その結果、広がる虐殺はジョン・ポールを越えるのではないだろうか?ジョン・ポールよりむしろ理解できない行動だった。贖罪なのだろうか?断罪なのだろうか?
    エピローグに関しては、著者の伊藤計劃さんが残した言葉、ブログもあり、そこでは「エピローグで主人公はあることについて大嘘をついているかも」と書いていらしたよう。さらに、それについての考察ブログなどもあったが、私にはまだ十分理解しきれていない。
    この続きが「ハーモニー」なのかもしれないけれど、すんなりつながらない。間を埋める話、もっと先の話、もっと別の話も読みたかった。著者の方がお亡くなりになったのが残念。もっと書いてほしかった。

  • 近未来
    9.11のテロ以降、厳格な管理体制の下、情報統制が取られていたが、後進国では内戦が増えていた。
    クラヴィス・シェパードは、そんな後進国で次々と起こっているある事実に気付く。

    知らない単語が1ページに10個くらい出てきて戸惑う事もありますが、臨場感のある描写など読んでいて飽きません。
    著書は若くして亡くなられたとの事ですが、本当に秀作だと思います。

  • 倫理の崖っぷちに立たせられたら、疑問符などかなぐり捨てろ。
    内なる無神経を啓発しろ。世界一鈍感な男になれ。

    地獄はここにある、とアレックスは言っていた。
    地獄は頭のなかにある。だから逃れられないものだ、と。

    自由はバランスの問題だ。純粋な、それ自体独立して存在する自由などありはしない。

    「それは違うわ。人は、選択することができるもの。過去とか、遺伝子とか、どんな先行条件があったとしても。人が自由だというのは、みずから選んで自由を捨てることができるからなの。自分のために、誰かのために、してはいけないこと、しなければならないことを選べるからなのよ」

    自由とは、選ぶことができるということだ。できることの可能性を捨てて、それを「わたし」の名のもとに選択するということだ。

  • 伊藤計劃の中にある、戦争や人間、思考というものの解釈を、登場人物が代わりに喋っていますといった感じ。内容は哲学的でもあり、とても興味深いし、共感出来る部分も沢山あった。世界観がしっかり仕上げられている分、SFといいつつも何処かリアルで、何処までが史実で、何処からが創作なのか分からないといったような状態に陥っていた。心地よい没入感も見事。最近ライトな小説読んでたから、久しぶりに骨太なSFが読みたいなという人に是非。

  • 高校時代に読んだ。高校時代は伊藤計劃が一番好きな作家だったがこの本がきっかけだった。文章の語り口はかなり柔らかい印象で内容の割にはすんなりと読み進められた。とてつもなくどうでもいいけどこの作品で登場するコンピュータは今でいう深層学習とも違うのかな?

  • 何とも言えない
    酷く寂しい感じ。
    みんな何かを抱えている。
    後悔やトラウマが原動力

  • 哲学的に非常に読み応えのある物語。
    ジョンポールが虐殺を生み続ける狙いとは?全肯定全否定できないそれぞれの正義。
    なんとなく攻殻機動隊をイメージしながら読み進めてった。

  • 面白かった。面白かった……んだけど…
    やるせない……!!
    でもハリウッドで映画化したらいいと思いました。主人公のアメリカ人、
    日本人としか思えなかったけどね。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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