虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.13
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  • (49)
本棚登録 : 11541
レビュー : 1547
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309848

作品紹介・あらすじ

9・11以降の、"テロとの戦い"は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす"虐殺の器官"とは?ゼロ年代最高のフィクション、ついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 私の裁判官はもう死なされた。死亡まで身が罪過に憑かれたまま生きる。
    この幻想的な発想は時代的で、香味ぷんぷんって物です。けれど、欠点も突出します。不要な解説が多すぎます。作者は情報をもっと巧詐的で操縦すると、物語がきっと一段と興味深くされます。此れは欠点かどうかが分からないが、音訳語も多過ぎます…「え、此れ何?誰?」屡々ネットで調べるしかありせん。
    最初に書名を見たま時、此れは殺し屋か屠殺屋かみたいなもんに関することと思った。まさか此れは謎の答えだ…「は、は、は!思わなかったでしょう。」と伊藤計劃先生は嬉笑している様子が脳内に浮かびます。結局にもちょっと驚きがある。
    前にこの伊藤計劃三部作は作者が政治学と社会学となどに基づいて書いたと聞いた。此の第一作を読み上げた後、私は本の中で提起した人と作品を読む事を推薦します。
    『Fate/stay night [Heaven’s Feel]』の人の感情主題も此の本のと似てるので、興味持つ方に推奨ます。

  • 10日で書いたとは思えない。すごい才能を感じた。

  • 映画化のときのSFマガジンを読んで。

    映画の監督の村瀬さんが「これはクラヴィス個人の物語」と言っていて、たしかに読後感はポール・オースターぽい。クラヴィスの一人称なんだけど、クラヴィスが何考えてるのか今ひとつ分からず…ジョンポールやウィリアムズの方が分かりやすく共感しやすい。

    虐殺の文法、が具体的に何なのか、明示されていないことが怖い。今まさに使われていてもおかしくない気がする。

  • 近未来のSFでありながらも現代が抱える苦悩、テロ、認証システム、貧困、軍事、環境問題、DNAそして人の倫理観や家族愛を盛り込みつつ、虐殺を促す言語という魅力的な仕掛けを軸に物語は展開する。
    軍事的ディテールや哺乳類の筋肉を使った機器、モジュール化された意識をON-OFFする発想なども秀逸。多数の文献が盛り込まれているであろう、圧倒的な情報量、そして残忍性に独特な世界観を感じる。濃密な読者体験。
    これを映像化するのは無茶な話だと感じる。
    自分の置かれた環境を守るために遠い国を内戦にするという発想は、愛するものへの懺悔が根底であることを考慮してもいささか無理はありそう。そういう意味では主人公であり語り部であるジョンシェパードが起こした内戦も、愛するルツィアを失ってなければおよそ実行しなかったろうし思い読了感に少々の疑問符が。
    人の死を強く意識する内容は作者が置かれた病魔との戦いにも無縁ではないであろう。人生を紡ぐ渾身の物語を。

  • 12/3/25
    志村 和明
    「人間の自由とは、危険を回避する能力のことでもある」(『虐殺器官』/伊藤計劃)
    仕事の合間のご褒美的にチビチビ読み進めている『虐殺器官』だが、グッとくるフレーズがとても多い。
    伊藤計劃という才能を失ったのは大変に残念だ。

  • 昔の相方にもらった本。タイトルと表紙的にあんまり興味がなくて、もう7年も寝かしていた。
    一言で言うと、良い本でした。
    ストーリーの流れも設定も、そして言いたいこともよく考えられている。とても10日間で書かれたとは思えない。
    最初に伊坂さんを読んだ時に近い、この人の本をもっと読んでみたいという感覚になった。
    人間とは何か。どこまで機能が失われれば人間ではなくなるか。その機能でさえ、遺伝子で決められているとすると、個々の人間としての違いや意識、思考、言語などはどこまで意味を持つのか。
    とりあえず30年少し生きてきて、残りの時間はわからない。あと1年かもしれないし、あと60年あるかもしれない。こうやって自分の考えを表現したり、そもそも自分でいられる期間は非常に短い。”生きている”という、何かを発信したり、誰かに影響を与えられる間に、一体自分は何をしたいんだろうを考えさせられる。

  • 三部作の中では最も好み。
    言葉がもたらす洗脳をテーマに戦争・テロリズムに切り込んだSF小説。かなりストイックかつハードボイルドな趣。登場人物の掛け合いは映画みたいにオシャレだし、シェパード大尉と同僚の軽口など楽しめましたが、全編ほぼシリアス。
    作中ギクリとする言葉が何個もあり考えさせられた。
    人は基本見ないものしか見ないし自分の半径50メートルが平和ならそれでいい。
    よその国で今起きてる虐殺より、自分を取り巻く日常を守る習性が悲劇を拡散させている。
    フィクションの壁を挟んで安全圏にいた読者をも共犯者にひきずりおろすような底力がある(引きずり下ろすといったが、ただ当たり前の事実に気付かされるだけかもしれない)
    知らないでいることは悪なのか。知ろうとしないこそ悪なのか。善悪とはなにか、正邪とはなにか。
    妻子を亡くしたジョン・ポールの選択は非情で過激だが、カウチに寝そべってピザやポテチを摘まみ、テレビの戦争映画に一喜一憂する私達は聖人気取りで彼を断罪できまい。

    映画も視聴済みだが、エンターテイメントしてはあちらのラストのほうがまとまりがよかった。
    原作のラストは蛇足と見る向きもあるが、個人的には気に入ってる(なんとなく浦沢直樹「MONSTER」と同種の雰囲気を感じる……)
    シェパードと亡き母の確執も挿入されるが、記録された言葉や映像は現実を補強するだけで事実を担保するに足り得ない皮肉が、作品の主題に通底していてぞくりとする。

  • 非常に面白い。SFにはまりそう。
    SFの未来感と暴力的な描写がたまらない。

  • 小松左京指摘の欠点はもっともで大賞を逃したが。感覚も感情もマスキングした殺しのスペシャリスト達。国連のタスクチームが世界各地で“なるべく”平和になるようなツボの人物をターゲットに選んで除去していく。外科手術のようなものだから血の流れるのは止むを得ない!主人公にはナマの感情が残っていて倫理とか(延命措置を拒否して亡くなった母の)魂とかを気にしている(日本人らしい)。最大の標的に“自らは手を汚さずプロパガンダのみで虐殺内戦起こせる男”があった。彼は核テロで妻子を失い平和の為米英を標的とするプロジェクトを単身で

  • 近未来舞台の戦争哲学
    といったあたりが主題だがエンタメとしてSF仕掛けやミステリ風味もあって
    伊坂幸太郎作品+『メタルギア』はまったく同意見
    題材でなく小説として既に安定した技術と高い個性を感じるので
    作者の早世が惜しまれる
    がそれを物語にふくめるのはどうかと思う
    売り物だからな

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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