天体の回転について (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2010年9月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784150310097

感想・レビュー・書評

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  • 「灰色の車輪」「三〇〇万」が特に好き。
    古典SFでよくモチーフにされがちなテーマを、よりとっつきやすく再構築したような印象の短編集でした。

  • この著者の作品では初めて手にした.

    「ハードSF」というものの,どれも比較的読みやすかった.一番むずかしかったのは「ある日」と「盗まれた昨日」だった.
    表題作と「ある日」は半分力学の教科書のようで,大学の講義を聴いているような気分になった(決して貶しているわけではない).
    SF・ホラーと言いつつ叙述トリックのきいているものがあって,読み応えがある.

    個人的には「灰色の車輪」が一番気に入った.せっかくなので他の作品にも手を伸ばしてみたい.

  •  SF作品を8編収録した短編集。

     小林さんらしい独創的なアイディアやグロ描写、ナンセンスなユーモアがたっぷり詰まっています。その一方で今まで読んできた小林作品よりとっつきやすい短編が多かったので、全体的に読みやすく感じました。

     表題作「天体の回転について」は科学とは無縁の世界に住む少年が宇宙エレベーターに乗り未知の科学と宇宙の世界へ旅立つ話。
    作中の宇宙エレベーターの説明も面白かったのですが、その案内役となるホログラムの少女のセリフが個人的にいらっとしました(笑)
    というのも「さあ、笑って♥」「これを使ってね♥」という風に彼女の喋る言葉のほとんどの語尾にハートマークがつくからです(笑)
    そうしたイライラも含めて面白かったと言えば面白かったのですが。

     「あの日」は小林さんらしいナンセンス具合。よくこんなことを真面目に書くなあ、と思ったのですが、あとがきを読むと案外作中の話も笑い事ではないのかもしれないですね。

    「三〇〇万」はとある宇宙人民族の侵略の物語。
    この短編を読んでいて思い出したのは歴史の元寇の話です。攻めてきたモンゴル軍に対し日本軍は苦戦を強いられるのですが、それは戦い方や武器の違いだけでなく文化や価値観の違いもあったそうです。

     というのも日本は合戦時、武将同士の一対一の戦いで有名な武将の首を挙げることが美徳とされていました。「我こそは~」と戦い前に名のることも当たり前のことでした。しかしモンゴル人はそんなことお構いなしの集団戦法でした。

     とまあそんな具合で侵略時の文化の違いが小林さんらしく味付けされた短編となっています。あまりのかみ合わなさに思わず苦笑してしまいました。
    また一方で技術や科学に対する小林さんの思いというのも書かれているように思います。

    「盗まれた昨日」は人類が記憶装置を埋め込む未来が舞台。
     SFとしての面白さに加えミステリ的な味付けが加えられ、さらにそこに記憶と身体をめぐる哲学的な問いも加えられる、設定、世界観、展開とも魅力的な作品で長編でも見栄えのしそうな非常に濃い短編でした。

     濃さでいえば最終話「時空争奪」もかなりのもの。作中の時空論、宇宙論のトンデモっぷりに小林さんにしか書きえないような描写や展開も見られて、こちらも面白かったです。

     感想を書くため改めて各短編振り返ってみましたが、やっぱり小林さんはぶっ飛んでるな、と思いました(笑)。

  • ハヤカワ文庫から出てる小林泰三の短編ですね。レーベル通りSF寄りの作品が多めです。
    後に失われた過去と未来の犯罪 や 記憶破断者になるような記憶の扱いが見られファンには嬉しい作品かもしれない。ミステリーとしては、重力が無いのが普遍的な未来の世界で実は重力のある地球が舞台でしたという叙述トリックを成立させたい文学少女の話が面白い。彼女らにとっては血が吹き出たら球体になるし、ジャンプをしたら落ちてくることは無いのだ。

  • 時空争奪が好きだった

  • ラグランジュポイントの事が理解できた。

  • 表紙で敬遠してたのだけど、紙で買えなくなりそうだったので入手しました。
    「あの日」がユーモアたっぷりで面白かった。
    「盗まれた昨日」は例によって「失われた過去と未来の犯罪」の習作。短くまとまっていて、SFは哲学と紙一重なのを気づかせてくれる良作。
    ハードSFというほど敷居が高くはないので、ミステリ好きにもオススメです。

  • SF。ホラー。短編集。
    「時空争奪」は既読。
    作者らしさ溢れる一冊。定期的に挟まれるグロ描写が印象的。
    「性交体験者」が特に好き。異様な世界観でのミステリという、自分好みのジャンル。白井智之さんっぽさを感じた。
    表題作、「灰色の車輪」、「三〇〇万」も良い。

  • 未知との遭遇、世界の崩壊など、楽しくも恐ろしい8つの体験。表題作は、少年が謎の少女ガイドさんと出会い、宇宙へ旅立つ模様を描く。小林泰三の持ち味である噛み合わない会話文は、ここで真価を発揮する。「あの日」「三◯◯万」もまた然りだ。

  • ハードSFの短編集。コントみたいなノリの「あの日」、ロボット三原則をネタにした「灰色の車輪」が面白かった。

  •  いわゆる記憶喪失というのがあるが、あれは一時的に記憶を失っているようにみえるだけで、脳の中に記憶は残っており、人間性まで変わってしまうわけではない。では、脳の記憶中枢が破壊されて、すべての記憶を失ってしまったら、私は私でいられるだろうか。記憶がなくなったら、もう私らしく振る舞わないような気がするが、そうだとしたら、記憶こそが自己ということになる。しかし、自己がただの記憶の連なりかというと、そうではないような気もするし、私の記憶を他人に植え付けたとしてもそれは私ではないと永井均ならいうだろう。

     小林泰三はそうした問題をテーマに扱うため、「北」とか付く長たらしい名前の独裁国家の訳のわからない兵器実験を持ち出す。もっともらしい説明はともかく、実験のせいで世界中の人間が短期記憶しか持てなくなってしまった。そこで苦労のすえ、長期記憶を電子的な手段で補う技術が開発されたという未来。簡単にいえば、人間みなにUSBの端子が付いていて、長期記憶はUSBメモリに保存しておくという感じ。ここまでが「盗まれた昨日」という短編の設定。その設定下でどんな話が展開するかは読んでのお楽しみ。私はこれが一番面白かった。

     この短編の次、本書最後に収められた「時空争奪」は時空レベルで「昨日」が盗まれた話で、バリントン・ベイリーばりのとんでもない話なのだが、冒頭の「天体の回転について」は端正なニュートン物理学SF。ただ萌え要素が付加されているのが表紙の通り。
     基本的には論理を追求したアイディア・ストーリーだが、そこにスプラッタな要素が加わるといったあたりが、小林泰三の定番。逆にいうと、無重力環境しか知らない未来の世代の小説家志願者が、重力下の地球の話という「時代劇」を一生懸命書こうとしてとんでもない小説を書いては失敗して、という奇妙な小説が、実は科学的論理に裏づけられたアイディア・ストーリーの相貌を現す。

     本書、昔懐かしいSF短編集という感じで好感を持った。もっとも話がまとまりすぎて、もっと破綻したところが欲しい気がするが、無い物ねだりかも。

  • 自分はこういうアイディア一点張りのハードSFを楽しめるほどハードなSFファンではないのかも。
    どうしても物語には楽しみが欲しい派。
    あと科学(宇宙)の見せる壮大とか荘厳な世界観が欲しい派。
    ということを改めて考えさせられた一冊。

  • 確か軌道エレベーターが話題になった時にいつか読もうと思ってWishlistに入れていた作品。小林泰三はどちらかと言うとぐろいホラー畑というイメージだったので、読み始めてから途中で「そういえば、この人って確かホラーなんじゃなかったっけ?」と気付いた(本人はSFが本職と考えているらしいが)。

    表紙がアレなのでそういう話がメインかと思いきやそんなこともなく、SFとファンタジー(+グロ)の境界線で自由に発想を動かす短編8編を収録している。

    短編集となるとどうしても作品ごとに当たり外れはやっぱりあって、個人的なお勧めはミステリー風味かつコメディタッチで読者にはまったく説明がなく物語が進んでいく「あの日」。こういう「よくわからない世界で起承転結の物語を描く」というのは、短編のほうがやっぱりむいている。
    一方で、あんまり気持ちよく読めないというのは、最後の「時空争奪」。たぶん、ここのあたりが著者の真骨頂なんだろうけど。

  • 数学的に図形を使って誰か解説してくれ

    こんなにネットが発達した時代になぜそんなサイトが、うごのたけのこのように存在しないのか

    そんな日は永遠にやって来ないのか

  • 粒揃いの短編集。
    「銀の舟」「300万」「時空争奪」あたりがお気に入りです。表紙に怯みましたが(笑)読んでみて正解でした。

  • 同じ作者の作品が面白かったので買ってみた本。

    天体の回転については科学を恐ろしいものと考えるようになった人類の中で科学に興味を持った青年?が天橋立(軌道エレベーター)に乗る話。リーナかわいい。
    一応、ハッピーエンドなのかな?
    妖怪がよくわからなかったけど、科学を使う人類のこと?

    灰色の車輪はロボット三原則を主題にした内容。ちょいグロだったけど面白かった。

    性交体験者は超絶エログロだった、こういうのはいい!

    300万も予想外の展開で楽しめた。テラってそういうことだよねw

    盗まれた昨日と銀の船は衝撃のラストで面白かった。

    他の作品もなかなか面白かった。

  • 表紙にだまされた皆様、おめでとう。小林泰三のランチ向けフルコースです。一番好きなのは『銀の舟』。読み終えた瞬間、鮮やかさにニヤニヤが止まらなくなってすぐに最初のページに戻った。シンプルに、こういうの嬉しい。『灰色の車輪』もいい。説明がやや冗長なのも敢えて、なのかな。『三〇〇万』も「科学舐めんな」って(作者自身の?)矜持が見えて熱くなれるうえ某作を思い出させてくれてニヤリものだし、締めの『時空争奪』は小林泰三ならでは。この一冊を楽しめたら、がっつり他の長編も召し上がってみてくださいな。

  • 好みの文体ではなかった。
    しかし物理を駆使した話の展開は面白い。

  • 再読了。

    初っ端の短編で微妙な気持ちになったが、どれもうまさを感じた。バラエティ豊かという意味では全体を見て傑作短篇集なのかも。

    盗まれた記憶と時空争奪が面白い。
    記憶や意識、人格とかいうワードに自分の興味が移ってきたのかも。
    後者に関しては、概念というか、定義というかそう言うところに惹かれたのかな?

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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