マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-8)

著者 :
  • 早川書房
3.96
  • (219)
  • (280)
  • (155)
  • (30)
  • (10)
本棚登録 : 2301
感想 : 192
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310141

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 心理的に落ちている時に、敢えて読んだハードロマン。他の読者様も紹介しておられるけれど舞台は近未来。

    バロットという少女娼婦がヒロイン。彼女はシェルという、賭博師出身のワルに殺害されそうになる。いや、瀕死の状態にされた。

    ところがシェルは、それを覚えていない。
    ある陰謀のために…。

    身体も声も、物的な財産も全て奪われたバロットだが、シェルの犯罪を立証するために、証人となってくれという。

    証人保護プログラムの執行のため、彼女には護衛が二人付くことになった。

    生体科学や医療に詳しいドクター。
    そして、心優しく万能のガーディアン、
    ネズミの姿をしたウフコックのコンビ。

    バロットに証言させないために、魔手が迫る…。

    と、こんなあらすじなのだが

    ウフコックがすごく知的で格好いいのは、皆様の指摘の通り。でも、このお話、バロットがゼロからウフコックと一緒に敵と戦うのがすごくいい。

    喪失から立ち上がるために戦うヒロインは多いけど
    こんなにも凄まじく奪われている女は少ない。

    美しく繊細で、汚れているのにきよらか。
    という定番の設定に、バロットがとても賢く、ウフコックや敵にも比肩しうる何かを、どう獲得するのか…その過程も読みどころ。

    戦闘場面は映画やアニメのように臨場感があって、派手だしハードなのだけれど、凄惨な中に、文章がずっと最初からラストまでリリカルで。どこかに繊細さと詩情が漂っていて…。

    圧倒的な展開に、息もつかせないのだけど、静けさがひそやかに流れているのが好き。

    ウフコックとヒロインの間の、儚く揺れる糸のような、ひとすじの繋がりが、不安定だからこそ輝いて見える。

    傷つけられたものが、時に反転して
    傷つけるものになり得ること。

    最強だったものが、たったひとつの弱さを晒した時、弱者だったものが盾になるべくどう動くのか。

    そして、それでもなお強いものは、弱いものにどう接して、守護者であり続けるのか。

    冒険小説の定番の命題が、ここにはぎゅっと詰め込まれている。

    ともかく休憩して、続きを読もう。うん。
    それが一番だわ。

  • きっと面白い!、、、とおもう。
    が、ちょっとこのシリーズを読むには歳をとりすぎているか?今回は中座!

  • 天地明察で知ったから、自分的には歴史もののイメージが強い作家だけど、もともとはこっち方面の人なんですよね。得意分野ならよほど大丈夫と思いつつ、はなとゆめのことがあったせいで、不安混じりに読んでみたけど、これがまた流石の出来映えでした。それぞれ独立した物語から成る三部作かと思ったら、1-3巻は続き物だったんですね。という訳でとりあえずまだ序盤ですが、SFとしての環境設定もしっかりしているし、先の展開がまだまだ気になります。

  • 感想はThe 3rd Exhaustに纏めます。

  • 賭博師に買われた、専属娼婦の少女。
    言いつけをやぶり、『自分』を知った事により
    炎に抱かれる羽目に。

    青ひげみたいな状態だな、と。
    結局、知ってしまった『自分』の正体が何なのか、は
    最後まで持ち越し、のようです。
    事件をなかった事にしようとする相手と
    公にしようとするこちら。
    最後の攻防戦がすごいです。
    冷静に、そこまで考えて行動ができるのは
    ここまでの人生のせいでしょうか?

    この後、敵からどう逃げてどう裁判の続きをするのか。
    色々謎です。

  • 登場人物紹介と簡単なバトルによる第1巻

  • 2011/4

  • 非常に面白い。翻訳文体が好きな人とそうでない人で意見が分かれそう。

  • 『もしも2ちゃんねるがなくなったら』

    もしかしたら、僕らは変われるかもしれない。ある意味、僕らの退屈は消費されている。能力や有用性や生まれた意味など、どうしようもなく人が与えられる事を何故か無意識的に行う奇行に対してのなにか。生まれた意味?

  • おもしろいー!はやく続きも読まなきゃ。完璧なヒロイン。日本のロックの歴史を淡々と語るラジオで.、パンクロックをやるには人々に認められる資格が必要でした、例えばイギリスであれば階級、アメリカなら人種、日本なら地方出身の若者といったようなことが語られていたのをうろ覚えだけど思い出した。戦うヒロインになる要件を満たしたヒロインは、社会で一番虐げられた存在。ヒロインだけでなく敵ふくめ登場人物がみんな良い。

全192件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

冲方丁の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×