マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 1870
レビュー : 178
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310141

感想・レビュー・書評

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  • 本屋大賞受賞で一気に知名度が上がり、ファフナー&マルドゥックの映画公開決定で今最も脂が乗ってる作家・冲方 丁。
    本書は数年前に発刊されたマルドゥック・スクランブルに大幅改稿をくわえた新装版。どんなもんだろーと最初の方だけぱらぱらめくり即購入決定、冒頭部分から文章に手が加えられてます。
    読点の不自然な多さが改善され大分読みやすくなった印象。
    氏も絶賛する漫画版に触発されたエピソードも盛り込まれお得な内容に。
    他にもバロットの心情部分が付け足されて、等身大の少女としての輪郭がより濃くなった(心身障害者駐車ペースでの行動など)
    バロットの兄関連でヴェロシティとのリンクもあり、マルドゥックシリーズを愛読してきた読者は「なるほど、こう来るか!」と唸るはず。
    世界観がよりわかりやすくなったぶん、バロット初診時におけるマルドック09の説明など説明臭くなってしまった箇所があるのがやや残念ですが、畜産業者のトラウマが掘り下げられているのは嬉しい。
    彼らが各々のパーツに執着するようになった背景が解剖され、よりその不気味な存在感と猟奇性が際立ちます。

  • 面白い! ハラハラする。いかにもSFな感じ。
    攻殻機動隊に似てるかな。アニメも見たくなっちゃう。

  • 『天地明察』で好きになった作家さんだけれど、こちらの作品の方が活き活きしていた気がする。
    映像化とか、すごく大変なのだろうけれど映えるだろうな、と思っていたら、すでに作られていた&もうじき最終話が公開とのことで。

    主人公・バロットが少しずつ血を通わせていく様子が鮮やかだった。強い子。
    そして金色のネズミ・ウフコックのイケメンさには、ほとんどケチのつけようがない。
    カジノでの対戦相手のカッコよさにもほれぼれした。
    こんなに「ステキ!」「カッコいい!」なんて盛り上がれるような作品ではないはずなのだけれど。

    バロットの感じる海とか、その感覚は「天地明察」の境地なのかもな、なども思ったり。

    冲方丁のすごさを思い知った作品。
    もうじき発売の文庫『マルドゥック・ヴェロシティ』も楽しみだし、その後は『マルドゥック・フラグメンツ』ももちろん読むし、
    『マルドゥック・アノニマス』にも、とても期待している。
    マルドゥックの世界に、もうしばらく浸りたい。

    素晴らしい作品だった。

  • カジノ・シーンの白熱ぶりが面白い。
    キャラクターが、魅惑的。

  • 心理的に落ちている時に、敢えて読んだハードロマン。他の読者様も紹介しておられるけれど舞台は近未来。

    バロットという少女娼婦がヒロイン。彼女はシェルという、賭博師出身のワルに殺害されそうになる。いや、瀕死の状態にされた。

    ところがシェルは、それを覚えていない。
    ある陰謀のために…。

    身体も声も、物的な財産も全て奪われたバロットだが、シェルの犯罪を立証するために、証人となってくれという。

    証人保護プログラムの執行のため、彼女には護衛が二人付くことになった。

    生体科学や医療に詳しいドクター。
    そして、心優しく万能のガーディアン、
    ネズミの姿をしたウフコックのコンビ。

    バロットに証言させないために、魔手が迫る…。

    と、こんなあらすじなのだが

    ウフコックがすごく知的で格好いいのは、皆様の指摘の通り。でも、このお話、バロットがゼロからウフコックと一緒に敵と戦うのがすごくいい。

    喪失から立ち上がるために戦うヒロインは多いけど
    こんなにも凄まじく奪われている女は少ない。

    美しく繊細で、汚れているのにきよらか。
    という定番の設定に、バロットがとても賢く、ウフコックや敵にも比肩しうる何かを、どう獲得するのか…その過程も読みどころ。

    戦闘場面は映画やアニメのように臨場感があって、派手だしハードなのだけれど、凄惨な中に、文章がずっと最初からラストまでリリカルで。どこかに繊細さと詩情が漂っていて…。

    圧倒的な展開に、息もつかせないのだけど、静けさがひそやかに流れているのが好き。

    ウフコックとヒロインの間の、儚く揺れる糸のような、ひとすじの繋がりが、不安定だからこそ輝いて見える。

    傷つけられたものが、時に反転して
    傷つけるものになり得ること。

    最強だったものが、たったひとつの弱さを晒した時、弱者だったものが盾になるべくどう動くのか。

    そして、それでもなお強いものは、弱いものにどう接して、守護者であり続けるのか。

    冒険小説の定番の命題が、ここにはぎゅっと詰め込まれている。

    ともかく休憩して、続きを読もう。うん。
    それが一番だわ。

  • 天地明察で知ったから、自分的には歴史もののイメージが強い作家だけど、もともとはこっち方面の人なんですよね。得意分野ならよほど大丈夫と思いつつ、はなとゆめのことがあったせいで、不安混じりに読んでみたけど、これがまた流石の出来映えでした。それぞれ独立した物語から成る三部作かと思ったら、1-3巻は続き物だったんですね。という訳でとりあえずまだ序盤ですが、SFとしての環境設定もしっかりしているし、先の展開がまだまだ気になります。

  • 非常に面白い。翻訳文体が好きな人とそうでない人で意見が分かれそう。

  • めっちゃ面白かった。少女娼婦の精神描写と、SFバトルが融合している。読みやすく、なおかつイメージを想起させる巧みな筆致。文章を書くのもストーリー考えるのもキャラメイキングもうまい。主人公のファッションが個人的に私と合う趣味なのもよかった。ウフコックかわいい。

  • おもしろい。展開が早いんだけど、それは中身が薄いからではなくて、余分な肉を削ぎ落としたような、無駄のない内容だからだと思う。ページをめくる手が止まらなかった。

  • 色んな意味でハードボイルドSF。超能力バトル物でもある。漫画的面白さはかなりある。

著者プロフィール

冲方丁(うぶかたとう)
1977年、岐阜県生まれ。4歳から9歳までシンガポール、10歳から14歳までネパールで過ごす。早稲田大学第一文学部中退。小説のみならずメディアを限定せず幅広く活動を展開する。
『マルドゥック・スクランブル』で日本SF大賞、『天地明察』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、北東文芸賞を受賞し、第143回直木賞にノミネートされた。『光圀伝』で第3回山田風太郎賞受賞。
代表作となる『天地明察』は2011年にコミック化、そして2012年に岡田准一主演で映画化されヒット作となる。2019年1月、『十二人の死にたい子どもたち』が堤幸彦監督により映画化。

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