マルドゥック・スクランブル〔完全版〕 2 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2010年10月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150310158

感想・レビュー・書評

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  • バロットが自分の生に価値を付与し、それをベットして戦う話でした…!命の価値と人生の綱渡りを意識する2巻でした。
    ルーレットやブラックジャックなどのギャンブルを通して、ルールのなかで不自由ながらも自分の成せることを成して自分の戦いをしていくバロット。その姿からは過去と向き合う強さよりもいまを生きる強かさへの萌芽を感じました。
    これまで盲目的にルールに従い、流されるまま生かされてきた少女。そんなバロットがルールを知り、そのなかで自分なりの呼吸で生きていくためのステップを登り始めていく。バトルシーンを求めてるとあんまりかもですが、フェイスマンとボイルドの対話とギャンブルパートは社会を生きる人々に何か示唆的なものが溢れていて個人的に好きでした!

  • 大今良時さんの書いたマルドゥック・スクランブルの原作なので読みました
    一番印象に残っているのはベルウィングの「その時その時にふさわしい格好をしていなさい」みたいなセリフです
    コミック版でもそうでしたがカジノ戦が一番好きです
    オシャレでカッコいいですから
    戦う相手もみんなオシャレですし、ディーラーとバロットがお互いに尊敬しあっているのでカッコいいです
    ベルウィング戦は師匠相手に修行しているみたいな展開です
    バロットがベルウィングを尊敬しまくっていますし、ベルウィングも応えています
    ベルウィングとの戦いを透して成長していく様は、読者にも自信を与えます
    最後のディーラーはチート級です
    全てのカード札を覚えているので、ウフコックというネズミ持ちの改造人間バロット相手に渡り合えます
    カジノ戦はバロットの成長回です
    進化していくバロットは逞しさ身につけ、強くなっていきます
    序巻でズタボロになっていたバロットを知っている読者だからこそ、カジノ戦の一勝負一勝負に感動できました

  • 成長して前向きになってきたバロットに心が温まる(冒頭との違いが際立ってきた)。ボイルドの回想が読んでいて苦しくなる(敵の生きてきた人生が語られるのはこの作品の大きな魅力だと思う)。カジノのシーンがドキドキして良い。運任せかと思っていたギャンブルが実はガチガチの頭脳戦で驚く。ウフコックの能力のチートぶりが痛快。ベル・ウィングの格好良さにシビれる。マーロウの人を操る技術に舌を巻く。最後のウフコックの言葉が、ここでやっと二人が本当のバディになれた感じがして好き。

  •  ボイルドの襲撃で負った傷をいやすため、バロットたちは楽園と呼ばれる化学技術施設へ逃げ込む。そこでシェルの犯罪の証拠の在り処をつかんだバロットたち、は証拠のあるカジノへ乗り込むことを決意する。

     楽園での場面で印象的なのはボイルドと楽園の責任者であるフェイスマンとの会話。価値とは何か、技術の功罪は、といった哲学的な対話が非常に面白く読めました。

     そしてシェルの犯罪の記憶が入ったメモリーを手に入れるためバロットたちはカジノでのギャンブルに挑みます。ルーレットのスピナー、ベル・ウイングとの対決も読み応え十分!

     カジノの運営側と客側という金を奪い合う、という対決の図式を越えての「この人を越えたい」というバロットの純粋な思い、そして徐々にバロットの実力と裏に隠された思いの強さを理解し、全力で相手をするベル・ウイングのカッコよさたるや…

     終盤のブラックジャックはギャンブル心理や駆け引きがしっかり書き込まれていてルールが分からなくても、とても興奮して読めました。

     そしてバロットとウフコックの絆が徐々に強まってきているのも分かります。全巻の最後でバロットがウフコックを傷つけてしまいます。
    それでもウフコックはバロットを優しく包み込み、バロットはその信頼に応えるため自身の能力を極限まで引き出し、ウフコックもバロットに対し信頼するようになっていきます。その過程の描き方も素晴らしいです。

     最終巻となる次巻もとても楽しみです。

  • 第二部は一気読み。
    前巻からその兆しがあった通り、当巻ではボイルドの深層を丁寧に描いていた。それは、もちろんバロットとの対比であり、彼女があるべき姿を暗に滲ませてもいた。

    動かざる過去に対してどう立ち向かうか。
    まだはっきりとした見解は出せていないが、バロットとシェル、そしてボイルドともにその姿勢は異なる。
    過去を正面から見つめ、克服しようとするのがバロットだとすれば、過去の忘却という逃避に走ったのがシェルであり、過去に取り憑かれたまま身動きがとれていないのは、実はボイルドなのかもしれない。

    何れにせよ、そういった主要人物の深層に止まらず、あらゆる面で丁寧に、解りやすく描写を心掛けていることが、この作品の大きな魅力だと思った。

    一部は活動の高揚感。二部は思考の刺激。三部はどうなるんだろう。楽しみだ。

    ー3rdへ続く

  • 前作の終盤では自らが得た能力に溺れてしまったバロットの、心情面での成長が描かれていた。
    後半のカジノ編に入ってからは、細かいゲームの描写が見事で、引き込まれる文章だった。

  • 有名なカジノ編に突入する2巻。ゲームのルールは理解していないが(恥ずかしい)、心理戦が面白くてページをめくる手が止まりません。トラウマを埋葬し強くなろうとするバロット、それを支えるウフコックとドクター、見ていて安心できるチームになったなあと思いました。

    ボイルドの過去からウフコックとの出会いも描かれている。ちょっと泣いた。失った人生、損なわれた自分、を取り戻さなければという焦り。焦げつきの中で手に入れたウフコック。バロットと似た部分もあるけど、「なぜ私なの」と問い続けたバロットと、全てを忘れたボイルドという差なのでしょうか。
    誰だって、1歩踏み外せば虚無に飲み込まれてしまう。

  • 半分以上がカジノでの心理戦です。
    ゲームの描写がすごすぎる……
    どうやったらこんなの書けるんだ。

    ボイルドとウフコックの出会いのシーンは泣きました。
    ボイルドの最期がどうなるかわかってるけど幸せになってほしいですね。

  • バロットの挫折と復活を描く2巻。
    まさかのカジノでイカサマバトルが始まるという展開で1巻とは違う趣があって面白い。
    カジノという場を与えることでバロットが弱くて悪い人間と向きあいつつもその中で、目指す方向を見つけていくという話になっていて、敵討ちが成功するかどうかという次元と別の方向が示されるのが良い。

  • 3.2

  • 後半が完全にカジノのプレイヤー目線での話しになり、小生がシューターだったら楽しめたのかもしれません。ギャンブルは人生で充分。なんなら降りたい位……….

  • ラストで

  • 当初読んだときはカジノシーンが長すぎ&難しくて挫折したのだが、今回はルールを勉強してから読んだらいけた。というかルールを知らずに読むのは無謀だった。もうリアリティとかどうでもよくて超人的な能力を駆使して限界まで戦いまくるのが清々しくてよい。

  • このカジノの場面を描くためにこの設定があるんじゃないかと思えるほどカジノ部分が面白い
    それぞれの呼吸や台の傾きまで感知できる知覚、幼い主人公を気付きへと導く信頼と温かさに満ちた関係、相棒の四次元ポケット的な能力など一巻でちょっと唐突でちぐはぐな印象であったことが、ここにきてギャンブルの虚々実々の駆け引きを解き明かす重要なツールとして機能する
    これからいよいよ本格的なギャンブルになりそうで目が離せない

  • 冲方丁作品は先に『天地明察』、『光圀伝』を先に読んでいて、どちらも素晴らしかったので、元々SFが本業だということに驚いた。

    『マルドゥック・スクランブル』は3冊組で、①はいかにもSFという感じの戦闘モノの色が強い。著者の言葉選びは面白いと思う一方で、ちょっと中2感がすぎるなと感じる時もあって、その辺はちょいと寒いかなと。
    ただ②、③は戦闘より、ギャンブルのシーンが長く、ここがとにかく面白い。SFらしく特殊能力を使っているものの、それを凌駕するほど強いディーラーとの戦い。


    “撃ったら引く(ヒット・アンド・ラン)。プレイヤーいつも不利な条件だから。自分よりも強い相手と戦うための戦法。”

  • マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

  • 小説

  • 上巻に同じ

  • 戦いを勝ち抜くのは、何も圧倒的な重火器力だけではないことがこの2冊めと、3冊目の大部分を費やして描かれます。

    シェルの犯罪を立証する証拠を握るべく、バロットはシェルの経営するカジノに乗り込むのですが…BJのルールを解って読んでると、息が詰まるような熱戦が。よくわからないと、最初はついていくのに大変ですが、頑張って読み進めて下さい。3巻でいろいろ見えてきます。

    ところで。

    ウフコックやボイルドが帰属していた研究機関「楽園」が登場します。が…。ここの『何かは、確実に有益で正しく、物悲しいほどの均衡と叡智を持っているのに、確実に何かが間違っている…』

    そんな寂寥感と終末感が切ないです。

    これはどこかいびつだと感じて、ウフコックは外に出たのだろうなと、私は感じました。

    どんな障害や疾病、傷を持っていても、ある意味万能に生きられる、そんな世界は、確かに桃源郷。それを差し出されたら私は、どうするでしょう。愛する人に鳥籠で捕らえられるのなら、一種のファンタジー。でもここには、その優美さはありません。

    …私もやはり、猥雑でも良い。傷つけられる怖さと可能性を孕んだ都市へと出ていく気がします。

    過去と向き合うことを放棄したものは、冒険小説の
    主人公にはなれません。楽園でのいろんな邂逅や、カジノでの熱戦は、バロットが自分の内面と過去に降りていく、その長い縄梯子なのかもしれないのです。

  • 世界の仕組みがだんだんはっきりしてきて、それに応じてのめり込めるようになってくる第2巻。楽園内部のシーンは印象的で、イルカやサメが宙を舞う幻想的な情景に癒されるけど、化け物の出現で叩き壊される。で、後半の舞台は、いよいよ核心に近付いた感のあるカジノ。腹の探り合いとかスリリングなんだけど、その薀蓄を含めた描写が、どうも冗長に感じられてしまいました。女主人公の性能とか、ネズミとの相性とか、印象付けるために必要な展開かもしれないけど、それにしても…と思ってしまいました。残るは下巻。怒涛の展開を期待してます。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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