マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-9)

著者 :
  • 早川書房
4.07
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本棚登録 : 1647
感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310158

作品紹介・あらすじ

少女は戦うことを選択した-人工皮膚をまとい、高度な電子干渉能力を得て再生したパロットにとって、ボイルドが放った5人の襲撃者も敵ではなかった。ウフコックが変身した銃を手に、驚異的な空間認識力と正確無比な射撃で、次々に相手を仕留めていくバロット。しかしその表情には強大な力への陶酔があった。やがて濫用されたウフコックが彼女の手から乖離した刹那、ボイルドの圧倒的な銃撃が眼前に迫る。緊迫の第2巻。

感想・レビュー・書評

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  • バロットが自分の生に価値を付与し、それをベットして戦う話でした…!命の価値と人生の綱渡りを意識する2巻でした。
    ルーレットやブラックジャックなどのギャンブルを通して、ルールのなかで不自由ながらも自分の成せることを成して自分の戦いをしていくバロット。その姿からは過去と向き合う強さよりもいまを生きる強かさへの萌芽を感じました。
    これまで盲目的にルールに従い、流されるまま生かされてきた少女。そんなバロットがルールを知り、そのなかで自分なりの呼吸で生きていくためのステップを登り始めていく。バトルシーンを求めてるとあんまりかもですが、フェイスマンとボイルドの対話とギャンブルパートは社会を生きる人々に何か示唆的なものが溢れていて個人的に好きでした!

  • 大今良時さんの書いたマルドゥック・スクランブルの原作なので読みました
    一番印象に残っているのはベルウィングの「その時その時にふさわしい格好をしていなさい」みたいなセリフです
    コミック版でもそうでしたがカジノ戦が一番好きです
    オシャレでカッコいいですから
    戦う相手もみんなオシャレですし、ディーラーとバロットがお互いに尊敬しあっているのでカッコいいです
    ベルウィング戦は師匠相手に修行しているみたいな展開です
    バロットがベルウィングを尊敬しまくっていますし、ベルウィングも応えています
    ベルウィングとの戦いを透して成長していく様は、読者にも自信を与えます
    最後のディーラーはチート級です
    全てのカード札を覚えているので、ウフコックというネズミ持ちの改造人間バロット相手に渡り合えます
    カジノ戦はバロットの成長回です
    進化していくバロットは逞しさ身につけ、強くなっていきます
    序巻でズタボロになっていたバロットを知っている読者だからこそ、カジノ戦の一勝負一勝負に感動できました

  • 成長して前向きになってきたバロットに心が温まる(冒頭との違いが際立ってきた)。ボイルドの回想が読んでいて苦しくなる(敵の生きてきた人生が語られるのはこの作品の大きな魅力だと思う)。カジノのシーンがドキドキして良い。運任せかと思っていたギャンブルが実はガチガチの頭脳戦で驚く。ウフコックの能力のチートぶりが痛快。ベル・ウィングの格好良さにシビれる。マーロウの人を操る技術に舌を巻く。最後のウフコックの言葉が、ここでやっと二人が本当のバディになれた感じがして好き。

  •  ボイルドの襲撃で負った傷をいやすため、バロットたちは楽園と呼ばれる化学技術施設へ逃げ込む。そこでシェルの犯罪の証拠の在り処をつかんだバロットたち、は証拠のあるカジノへ乗り込むことを決意する。

     楽園での場面で印象的なのはボイルドと楽園の責任者であるフェイスマンとの会話。価値とは何か、技術の功罪は、といった哲学的な対話が非常に面白く読めました。

     そしてシェルの犯罪の記憶が入ったメモリーを手に入れるためバロットたちはカジノでのギャンブルに挑みます。ルーレットのスピナー、ベル・ウイングとの対決も読み応え十分!

     カジノの運営側と客側という金を奪い合う、という対決の図式を越えての「この人を越えたい」というバロットの純粋な思い、そして徐々にバロットの実力と裏に隠された思いの強さを理解し、全力で相手をするベル・ウイングのカッコよさたるや…

     終盤のブラックジャックはギャンブル心理や駆け引きがしっかり書き込まれていてルールが分からなくても、とても興奮して読めました。

     そしてバロットとウフコックの絆が徐々に強まってきているのも分かります。全巻の最後でバロットがウフコックを傷つけてしまいます。
    それでもウフコックはバロットを優しく包み込み、バロットはその信頼に応えるため自身の能力を極限まで引き出し、ウフコックもバロットに対し信頼するようになっていきます。その過程の描き方も素晴らしいです。

     最終巻となる次巻もとても楽しみです。

  • 第二部は一気読み。
    前巻からその兆しがあった通り、当巻ではボイルドの深層を丁寧に描いていた。それは、もちろんバロットとの対比であり、彼女があるべき姿を暗に滲ませてもいた。

    動かざる過去に対してどう立ち向かうか。
    まだはっきりとした見解は出せていないが、バロットとシェル、そしてボイルドともにその姿勢は異なる。
    過去を正面から見つめ、克服しようとするのがバロットだとすれば、過去の忘却という逃避に走ったのがシェルであり、過去に取り憑かれたまま身動きがとれていないのは、実はボイルドなのかもしれない。

    何れにせよ、そういった主要人物の深層に止まらず、あらゆる面で丁寧に、解りやすく描写を心掛けていることが、この作品の大きな魅力だと思った。

    一部は活動の高揚感。二部は思考の刺激。三部はどうなるんだろう。楽しみだ。

    ー3rdへ続く

  • 半分以上がカジノでの心理戦です。
    ゲームの描写がすごすぎる……
    どうやったらこんなの書けるんだ。

    ボイルドとウフコックの出会いのシーンは泣きました。
    ボイルドの最期がどうなるかわかってるけど幸せになってほしいですね。

  • バロットの挫折と復活を描く2巻。
    まさかのカジノでイカサマバトルが始まるという展開で1巻とは違う趣があって面白い。
    カジノという場を与えることでバロットが弱くて悪い人間と向きあいつつもその中で、目指す方向を見つけていくという話になっていて、敵討ちが成功するかどうかという次元と別の方向が示されるのが良い。

  • 3.2

  • 後半が完全にカジノのプレイヤー目線での話しになり、小生がシューターだったら楽しめたのかもしれません。ギャンブルは人生で充分。なんなら降りたい位……….

  • ラストで

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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