Boy's Surface (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2011年1月7日発売)
3.33
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784150310202

作品紹介・あらすじ

これは多分、「僕たちの初恋の物語」。それともやはり、「初恋の不可能性を巡る物語」――恋愛小説の最先端を駆ける全4篇を収録

みんなの感想まとめ

恋愛の不可能性をテーマにしたこの作品は、数学や哲学の要素を織り交ぜながら、独特の世界観を展開しています。読者は一見難解に思える定理や図形の羅列に挑むことで、深い理解と新たな視点を得ることができるでしょ...

感想・レビュー・書評

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  • 初めて手に取った日から無限に読み直し続けている大好きな短編集だけど、正直理解しているかというと全然そんなことはないしそもそも表題作ばっかり読んでいて全然真剣に向き合ってないな、と思い立って現在の自分にできる最大限の解釈を試みた。
    まず、メインの4編はゆるく繋がりあっていること、春夏秋冬が割り当てられていることがわかった。今更。春に芽吹いた定理が夏に枝葉を伸ばして、秋に色を深めて冬に散る。そしてそれら全ては同時に起こっていて、繋がりはなくて、繋がっている。この混み合っているくせにその実シンプルな構造が全編に入れ子となっていて、まあ読んでいて楽しい。
    脳が疲れ果ててしまうことは難点なのだけど。
    数理的恋愛小説集とか銘打たれているのでその文脈で読もうと頑張ってみるものの、上手くいっているかわからないお話もあった。とはいえ、全ての話に共通してあるのは相互間の断絶と果たしてそれを超えることはできるのか?という命題であって、それって限りなく恋愛なのかも、と思ったりもする。

    ⚪︎Boy's Surface
    春。始まりであり終わりでもある春。青い証明。とにかく大大大大大大好きな表題作。不可能であることを前提にしておきながら、無限の果てに証明が可能であるとしたレフラーのこじれ具合が愛おしくてたまらない。同じものを見ても、個々の認知には差があるのだから受け取った感覚が同じとは限らない。あなたの見ている青と私の見ている青は同じとはいえない。それを数学的に一致すると証明できると言い張ったレフラーが盲視者で、証明のための定理を『目撃した』のがフランシーヌと初めて出会った時で、それってつまりレフラーの一目惚れの証明じゃないですか?僕らの初恋の数学的可能性を巡る物語は、幻視される透明な球体の青い反射が続く限りそれ自体が可能であることの証明になっているんじゃないかな。

    ⚪︎Gold berg Invariant
    夏。初夏の草原のような。地平を壊して新しい世界へと領域を広げる、創世と破壊の物語。どんな計算でもできる計算機を作ってみて、活用できる知能が人間にはありませんでした。そんな経緯がある計算機にGRAPEと名付ける皮肉さが最高すぎる。酸っぱい葡萄じゃん。ところで、このお話は実際に葡萄に手が届いてしまった機構が、曖昧な地平で自己を認識することで創世の破壊を押し留めて、スサノオノミコトが戻ることを待ち続けるという愛憎の物語でもあるわけです。キャサリンであることを保留することでアンカーを打ち込んだわけだ。なるほど愛だ。

    ⚪︎Your Head Only
    あるいは秋。小説という形式を取った機械知性の思索。愛とはなんたるか?対象となるのはあなたと私であり、僕と彼女であり、科学と文学であり、AIと人類である。相互不理解をそのままに、あなたを愛せるでしょうか。分からないままでも、私を笑ってくれますか。
    私はこういった類の断絶が本当に大好きで、答えは出ないとわかっていても思考をやめない姿勢が好きで、訳のわからんアプローチから生み出される捻くれた愛の文章を愛しています。全部の話に当てはまるけど、これはかなり直接的だなと感じる。
    本編には関係ないが、僕から彼女への描写って円城塔から田辺青蛙への印象だったりするのかな。以前田辺青蛙のエッセイか何かを読んだ際に、円城塔との馴れ初めのようなものが語られていて、相手への印象がこの話の僕から彼女への表現とかなり近い印象があったな、と思い出した。似たもの同士なのか、もしかして。

    ⚪︎Gernsback Intersection
    全てが終わる冬。あり得たかもしれない、けれど訪れることのなかった未来との交点。そこで少女は少女と出会う。始まりはなくて、全ては中途で、続き続ける。百合じゃないですか。めちゃくちゃ濃厚な。4つの短編の執着点であり、出発点でもあるのかもしれない。彼女らの子供たち。
    言っていることがよく分からないのは変わらないけれど、アクション性が高くてワクワクする感じがある。想像と現実が交点を持って子を成し、花嫁が襲い、時間は崩壊する。
    でもミニマムな視点にすると少女の奮闘なんですよね、想像力が試されてるな。

    ⚪︎What is the Name of This Rose?
    解説する気がまるでない解説のようなメタ小説でありながら限りなく親切な解説。
    膨大な引用とパロディと数式があって、私には全然理解が及ばないことがよくわかった。親切だ。
    でも文学を楽しむのに必ずしも元ネタを知っている必要も数式を理解する必要もないんだよね。数式の意味なんて分からなくても十分すぎるほどに文学だしね、この本は。
    読者の理解と作者の意図が一致しているかどうかは、この空間上では確かめることができない。なので勝手に楽しむことにする。

  • 安定して円城塔さんの作品は理解が難しいけど、個人的にはその難しさが好き。
    知ったかぶりの落とし所というのか、なんとなく腑に落ちるところを探せるまで繰り返し読んでしまう。

  • それぞれが数学的図形や定理に基づいてその哲学的原理の想像を飛躍させた先に恋愛小説として描かれている。一読した時は意味不明な定理の羅列に見え、また各章間の論理的つながりも全く不明に思えた。それに耐えて、最後まで読み切り、また解説も加えればある程度理解できた気がする。(といっても解説も一癖ある。)数学、情報科学、科学史、文学の引用が多いので、それらの基礎知識を有した上に、SF耐性が付いてる人であればすぐにこの面白さを完全に理解できるのだろう。

  • 感想を書けるほど理解できたと思わないので日記を書きます。

    ジンジャーエールが美味しい日でした。
    Boy’s surfaceという本を読み終わりましたが、本当は3日前には読み終わってました。
    いつ読み始めたかまでは覚えていない悲しい記憶力です。
    ジンジャーエールが美味しい日でした。

  • 読むメビウスの輪、かな。

    完全に揺さぶられました。著者の素敵な罠にはまっていることに気づくのに、意外と時間を要したかな。いや罠なんかじゃなくて、別の何かなのかもしれない。
    見たことのない立体図形。四次元図形が浮かぶ。
    言葉なのだが言葉ではない?これは文章なのか。いやそういう問いがナンセンスなのかな。普段の私のしている読み方では太刀打ちできない類の代物。

    そう言えば、「文学には新しさが必要」って友人が言っていました。“文学が、円城塔に追いついた。”と本書の帯に書かれていますね。

  • 2012 9/11解説にあたる5本目の短編(What is the Name of This Rose?)だけ読了。聖学院大学図書館で読んだ。
    ノベルスサイズ版は既読(既所持)。
    解説は書き下ろしが含まれているということで手にとった。
    本人による解説なのだが、解説しているはずなのにむしろその解説や読むべき参照文献が増えるというシロモノで実に円城塔っぽい。
    解説に参照文献て。

  • 小説でこんなに難しいと感じた本は
    今まで読んだことがない

    伊藤計劃好きなら気になる円城塔の短編集
    「難しいだろうな」と思っていた予想をはるかに上回る難解さでした
    全編通して「本」や「言葉」や「文章」について・・・
    なのかなとオモウ
    短編集なんだけど、全編に通じる何かがある・・・
    とオモウ
    数学と言語の絡み合いとでもいうのか
    とにかく算数の時代から苦手な自分には
    創作なのか本当にあるものなのかわからないことがたくさんあって
    休憩がてらググッてみたりして
    初めて「あ・・・創作なのか・・・」と気づいたり

    感想として述べたいことは山のようにあるけど
    「違うのも読んでみよう」と思えたし
    発想力とか視点をスゴイと思ったので
    星3つ

    本当に難しかった
    アタマいー人ならすらすら読めるのかも

  • もちろん癖はありますが、数学も物理学も難しいことはおそらく本当には必要ありません。“白紙地帯”を許せること、それをそのままに置き去りにし、そこに世界の拡がりを感じられること、それさえ出来れば円城先生の世界の出来方を充分に楽しめます。理論で遊んでいるようで、あらゆる理をバットで打ち返す、勢いのある凝ったジョークといった印象です。それも古式ゆかしいインテリが好むエスプリに、今日的な雑味をわざと混ぜたようで、なんとも変な味。それはそれで、好きです。

  • 右脳から沸いてくる独特な世界感を、左脳の言語中枢をフル回転にして読めって言われてるかのよう。
    理解を求めて「読む」より、言葉を広い集めてこの世界を「感じる」と、オモシロい!
    広げた風呂敷は、もう、たたまなくていいんじゃないかな。
    角砂糖かじって、脳に栄養補給がしたくなる。

  • 4つもしくは5つから成る短編集。あちこちにトリックがあるように見えてただのブラフだったり、ネタバレされても難しい伏線だったりと、情報量が多い。
    円城塔作品を読んでいると、創造された世界の傍観者として読み始めるのに、いつの間にか読者も作中に取り込まれてしまい、「本」の領域にすっかり包まれてしまったようになる。
    ゴタク文学としての面白さがまずあるが、この「傍観者を取り込もうとする作品世界」が妙に癖になる。

  • 全ての言葉の意味がわからない。
    わからないなら分からないなりに理解しようとしたが、何をどう理解していいかも分からない。
    ただし読むのを諦めたらもう2度と読まないだろうと思ったので読み切った。

    そしてもう読まないだろう。おそらく。

  • お手上げでございます。
    自分の浅薄な読み取り力では本作をあまりにも理解し切れず。
    悔しさもあるかもだが、またもう一度1ページ目から読み直せと言われれば裸足で逃げ出すしかない。
    数年後、あるいは数十年後の成長した自分が真正面から本作を読み直せる日が来るのを願うことしか出来ない。
    読み手としての力不足のため評価も付けられず。
    ただただ読んでいて苦しかった、これしか今は言語化できません。

  • リズムや響きが心地よくて、美しくて、でもさっぱり分からない。でもハマる。これは数式なのかな、詩なのかな、と。時々わかる言語がはさまってるかんじ。
    恋愛小説だったのか〜
    確かにボーイミーツガールしてる。
    また読もう…

  • Boy's Surface◆Goldberg Invariant◆Your Heads Only◆Gernsback Intersection◆What is the Name of This Rose?

  • 2011-1-22

  • ごめん、ちょっとキツ過ぎ。読めませんでした。眺めただけ。解説はちょっと面白かった。

  • ちんぷんかんぷんなテクノロジーを、お伽話のところまで引きずってきて一緒に散歩させてるような取扱いが円城さんの作法。
    数学的構造物なるところのレフラー球が読ませる夫婦の出逢いと別れ。
    テキスト生成アルゴリズムを擬人化し物語らせ
    手を打ち鳴らしては読み手を行ったり来たりさせて。

  • 円城塔作品は、うまく乗れてしまえば意味の分からなさを含めて楽しめるのだが、今作は全く乗れなかった。
    いちばん面白かったのは、円城塔本人の解説。

  • 言葉の意味や音韻や字面や文脈やイメージや、を極めてゆるうくつないだりあるいは多くの場合すっとばしたりしながら読んだ。たのしかった。

  • ぼくには難しすぎました!

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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