青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫 JA オ 6-14)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 840
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310233

作品紹介・あらすじ

それは人間の普遍的な願い-彗星都市での生活に閉塞感を抱く少女と、緩衝林を守る不思議な少年の交流を描く「都市彗星のサエ」から、"祈りの力で育つ"という触れ込みで流行した謎の植物をめぐる、彼と彼女のひと冬の物語「グラスハートが割れないように」、人類から"未知の探求"という使命を与えられたAI宇宙船エクスの遙かな旅路を追う表題作まで、様々な時代における未知なるものとの出逢いを綴った全6篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 軽快で読みやすい文章と骨太な世界観の設定、そこで展開される物語、どれも粒揃いの短編集でさすがの小川先生だなー。都市彗星での生活に閉塞感を覚えている少女サエと、都市を保持する緩衝林を守る少年ジョージィの合流を描いた王道ボーイ・ミーツ・ガールSFの「都市彗星のサエ」が好きでした。「青い星まで飛んでいけ」はのラストはちょうど「幼年期の終り」を最近読んだばかりで、故郷と同じ青い星を目指すラストにジーンと来るものがあった。

  • 短編SF集。
    ザ・SFのものもあれば、どちらかというとヒューマンドラマにフォーカスしたものもあり、複数の読み味が楽しめるようになっている。
    タイトルにふさわしく「宇宙」に関連した出会いをテーマとした話が半数を超えて収録されている。

    個人的には、(どちらもザ・SFではないものなのだが)「占職術師の希望」と「グラスハートが割れないように」が気に入った。

  • 二度目ましての作家さん。
    小川氏=SFというイメージで、SFは苦手なんだけど、
    第一印象がよかったので安心して読めました。
    全6篇を収録。
    「都市彗星のサエ」が好き!
    外の世界に憧れるだけでは終わらせない。
    そこから更に一歩も二歩も先に行こうとする話なんだけど
    長野まゆみさんの「テレビジョン・シティ」を連想しましたが
    それと違って最後がいい!すごくいい!!
    ハート射貫かれました(*´◇`*)

  • 短編集。とても好きな作家さん。このかたは、SF的世界の中で、人間がどう生きるかということを、常に書いていらっしゃると思う。私のSFへの興味もまさにそこ。だから好きだ。

    • りるさん
      おもしろそう!とおもって図書館で借りようとしたけどなかったー!今度かしてー!
      おもしろそう!とおもって図書館で借りようとしたけどなかったー!今度かしてー!
      2012/11/02
  • 細かい書き方とか描写の矛盾が気になってしまって…あまり良くなかったかな。でも唯一「占職術師の希望」は、物語も設定も人物もストーリーも上手くまとまっていて好きでした。他はほとんどサラッと流してしまった。一度ストーリーに疑問が湧くと集中できなくなって、いつのまにか話が終わってる…。

  • SF設定の恋愛小説という感じ。短編集なので、色んな物語を楽しめます。とにかく読みやすいのが嬉しい。
    力強く前向きなタイプの主人公が多くて、読後感が良いです。

  • ファーストコンタクトを描いた短編集。SFというよりはラノベっぽい。

    「都市彗星のサエ」:小彗星を脱出したいワンパク少女が、同じ願望を持つクールな少年と出会う冒険活劇。テンポが良くて分かりやすい。

    「グラスハートが割れないように」:小型の癒しアイテムであるグラスハート。体に抱いて祈るとおなかが空かないという、いかにも胡散臭いが、その正体は...
    こういうアイテム実在しそうだな。

    「静寂に満ちていく潮」:電気的な感覚信号をネットワーク共有することによる多感覚的性交の話。おかしな言葉遣いをする異星人が出て来てドタバタと交わる様は筒井康隆先生の小説っぽい。

    「占職術師の希望」:腕を振る様子から、その人の天職が分かるという能力を持つ占職術師の話。とある陰謀を察知した術師は、それを阻止することを天職とする者を探しに行くが...
    私も占ってもらいたい。

    「青い星まで飛んでいけ」:二千隻の宇宙船から成る種族エクス。人類のアイデンティティを持つエクスは未知との遭遇を望む。ファーストコンタクトって融合やら生殖やらの可能性を持ってるんだなと感じた。

  • ふつうに面白いです。転職が分かるという設定は珍しいし、自分もみて欲しいと思った。
    守りたい肌、でふつうに行けば正義でハッピーエンドになりそうなところを絶望エンド側に行くのが裏切られて面白かった。

  • 久しぶりに宇宙・天体のSFを読もうと思って、新聞の読書欄で見つけて手にした短編集。
    宇宙系が全体の半分くらいしかなかったのは予想外だったけれど、さらに予想外だったのは宇宙系でない短編が抜群によかったこと。特に「占職術師の希望」はブラックも効いていて秀逸。予想を裏切って余りある面白さにやられた。
    この本に収められた短編に共通して感じたのは、人間の善良な部分へのスポットの当て方。この当て方が絶妙だから、ハッピーエンドとは言えない話も後味が悪くない。

  • 30:小川さん「らしい」作品も「らしくない」作品も楽しめる短編集。「都市彗星のサエ」が一番好きかな。この作品はめちゃくちゃ「らしい」作品で、宇宙での生活を描く日常部分と、サイエンスを描く部分の配分が絶妙なのです。ボーイミーツガール風なのも良かったし、ラストも文句なく好きだし。どの作品も「第六大陸」や「復活の地」「天涯の砦」などに比べると軽めですが、それでもしっかりSFしているところとか、読んでよかったと思います。これは「天冥の標」も買っちゃうべきかなあ……。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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