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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784150310301
作品紹介・あらすじ
天地が逆転した困窮の宇宙空間における生き残りを賭けた戦いと冒険を描く長篇宇宙SF
感想・レビュー・書評
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2018年1月9日読了。足元に宇宙の果ての天獄・頭上に巨大な天体を抱き減りゆく資源を奪い合い生きる人々、伝説にある天体の内部=地国を目指しカムロギたち一団は旅立つが…。相変わらず大量の数値データ・仮説が怒涛のように示され、登場人物たちはグチョグチョの肉や内臓にまみれ妙に緊張感のないやり取りを繰り返すが、設定は非常にユニークで面白い。映像化されたらどんな感じになるのだろう…?「地国を目指す旅」なのにお話のメインが巨大ロボットバトルを生き延びるための必死な努力になってしまっているのは微妙なところだが、「強大な力を持つ同士が戦う場合決着がつくのは一瞬」という点が非常な緊張感をもって描かれており、小林節に慣れている読者としてはとても楽しめる。続編はあるのかな?これ以上の驚きがあるのかな?
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「人類が太古に住んでいたという、原初の世界さ。そこでは重力が外から内へと向かってたんだろ。」
ハードSFを書かせたら、とことんハードな小林泰三の、短編から長編に昇格した一作。
頭上に地面、足下に星空が広がる世界、
全てのものは手を離しただけで空の彼方へ落ちて行く世界。
人々は僅かな資源を、分け合い、奪い合い、どうしようもなく衰退しながら暮らしている。
明らかに生き物が暮らすには向かない、過酷すぎる世界。
主人公カムロギは、地面の上にある、と神話が言う「地国」を目指して北限の地を目指す。
ちょっと読み進めれば分かるので書いてしまいますが、要するに巨大な宇宙コロニー(的な物)の外側にへばりついているのですね。
例によって出てくる数字を計算すると、世界の全容が詳しく分かる仕掛け、だそうです。
計算結果はこちらへどうぞ↓
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ttsyhysh/diary/di0207d.html#020722
答えが分かるとものすごいセンスオブワンダーを感じることができるんですけどね。
これほどの驚きはなかなか他の人ではないですよ!
でも、読者の何%が計算すると思ってるんだ…?
「リヴァイアス」みたいな怪獣大決戦がメインで、全体的にはスペクタクル。
ナタの出生話は、極限状態の狂気って感じで良かったです。
以下愚痴。
ラストはどう取れば良いかわからずぽかーんとするしかない感じ。
長老ザビタンのネタは、笑うところか悩む。萌えを狙ったのでは、ないよね…?
カムロギ、生活困窮具合と比べてインテリ過ぎない? -
『AΩ』に次ぐ、小林泰三のSF長編第2作。
「天国と地獄」ではなく「天獄と地国」であるのが、設定を語っている。大地は頭上にあり、下は星海。落ちるということは遙か真空の宇宙空間に吸い込まれてしまうわけであり、これが天獄。人々は大地に穴を穿って住み、乏しい資源とエネルギーをやりくりして何とか「村」を維持している。大地の下には独立した岩塊「飛び地」があり、ここには空賊が住み、村を襲っては資源とエネルギーを奪う。破壊された村の生き残りは「落穂拾い」となって、一人乗りのオンボロ宇宙船を駆って、空賊の略奪の残り物を漁る。
という設定からすぐさま、この世界の人々は遠心力によって疑似重力を生み出している人工天体の居住区間の外側に張り付いて生活していると推察される。人工天体が『宇宙のランデヴー』のラーマのような円筒体か、リングワールドのような環か、はたまたダイソン球のような球状物かは当初はわからない。どうやら内側にちゃんとした居住区はあるらしく、そこにはたぶん資源もエネルギーも豊かにあるだろう。そこが地国なのである。
主人公は落穂拾いのチーム・リーダー、カムロギ。彼らはこの世界の最低層なのだが、大地に埋まった人間と昆虫を合わせたような体長数百メートルの巨大人造物を発見し、地国を目指す。この世界には「天使」とも「邪神」とも「ギガント」と呼ばれる、類似の巨大兵器が3つあって、力のバランスを取っていたが、そこにカムロギたちが参入し、スーパーロボット大戦が発生する。ここが中盤の読みどころで、巨大ロボット・アニメへのオマージュだ。しかし小林泰三だから若干ながらスプラッタな味わいが注入されている。カムロギが何だか素朴でいい人なのも味がある。
そして当然のことながら終盤に向けて、物語はこの世界の構造の解明へと進む。
『海を見る人』所収の同名短編の長編化。
読みながら情景をイメージするのだが、大地たる人工天体はたぶん球体で、私は球状に湾曲した大地とその上で戦う巨大ロボット(の如きもの)をイメージする。どうしてもそうイメージしてしまう。違うのである。頭上に広がる超巨大な球状の天体とその下で戦う巨大なロボット、なのである。そのたび頭の中で情景をひっくり返しながら読んだ。何と頭の硬いことよ。 -
小林泰三の天獄と地国。天地の重力が逆転している世界(天=人間の上方に引力がある)。そこでは細々とわずかな資源をめぐって空賊が跋扈していた。カムロギたちは空賊が略奪した後おこぼれを狙う「落穂拾い」と呼ばれる最底辺の仕事に従事していた。カムロギはある日巨大なロボットを発見しそれに乗り込むと、三か国が所持する巨大ロボット同士の戦いに巻き込まれていく。カムロギ、ナタ、ヨシュアの三人がロボットに乗り込んで巨大ロボットを知恵を振り絞って撃退するロボットアクションがとてもいいし、三人がトリオ漫才のように掛け合いをするのが面白い。亡き作者のあとがきではまだまだこの世界観を続けたい意向があったようだが、残念だ。
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2025.5.19読了
結末がよく理解できてないのだが、地国でも人々は争っているという解釈でいいのかな……なんか悲しい…… -
入口は尻
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【要約】
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【ノート】
・blog not foundで
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大好きもう一つ大好き
本当に好き -
全てが下方の「天獄」に落ちていく世界を舞台にした、巨大ロボットSF。偶然発掘したロボットを見つけた主人公たちは、その脅威を排除しようとロボットを送り込む勢力と戦いながら伝説の「地国」を目指す。
巨大ロボットたちの構造がどれも生命体じみていたり、破壊や人間が機械にアクセスする描写など、生々しくグチャグチャしている。
ロボットたちの大きさは数百メートルから数十万キロに及ぶため、ロボット同士の戦闘はスピーディというよりは長距離の艦隊戦に近く、状況判断と実行、そしてその結果が出るまで時間がかかり、とても緊張感がある。 -
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過去の短編作品を長編化した作品だが…これは短編のままの方が良かったのでは?
確かに面白いんだけど、途中から話をデカく膨らませ過ぎて、読んでてうまく話しに乗りきれないと言うか、読者置いてきぼりと言うか。
ΑΩの時と同じパターン。 -
展開に裏切られ続ける。チェックメイト感漂う短編ラストからのまさかの巨大兵器ゲット&勝ち上がり戦展開。そしてまさかの"ザビタン"長老。さらにさらにまさかの地国。そしてさらにさらにさらに絶望に見えて「いや、だがアマツミカボシなら・・・」と希望もあれこれ想像できるラスト。しばし呆然した。『海を見る人』にこの長編の冒頭部分が短編として収録されていたように、この長編もさらに壮大な世界のごく一部でしかない。個々のキャラクターが掘り下げられていたけれど、ヨシュアがまだ手付かずなのは今後に期待していいということだろうか。
あとがきでも触れられているとおり設定先行型の世界であるが故に、少なくとも地国を舞台としてもこれと同程度の長編が一冊書けるだろうし、この世界の成り立ちについてもさらに数冊書けるだろうということも容易に想像できる。文中に出てくる具体的な数値からスケールを出してみるとまたおもしろいだろうと思われるが自分にはその下地がなかったので軽く検索してみたところおもしろい示唆がネット上にいくつか転がっている模様。ストーリー以外の部分まで楽しみたい方は、ぜひ検証されてみてください。 -
第43回星雲賞受賞(日本長編部門)。
タイトル、ぼーっと見ていると書き間違えるのでご注意。堅い本かと思っていたけれどとんでもない。
明らかに「異世界」を感じさせる世界設定で、物語のつかみはOK。導入で、少し説明的なセリフも多かったりするけど、最初のうちだけなのでまあ許容範囲か。
一旦物語が動き出すと、序盤から、何となく、ちょっと前のロボットアニメを思わせるようなハイペース/ハイテンション(燃える?)で進んでいく。こういった、次々とイベントが起こり飽きさせない展開や、ほぼ全編会話で進む文体(ライトノベル的?)。攻略法を見つける、ゲーム的な展開。イマドキの読者が触れている、小説だけでない、マンガ、アニメ、ゲームなどの作品/世界、つまりは「時代」に合わせた作風に仕上がっており、読みやすく飽きさせない。その中心にはサイエンス・フィクションが強く息づいている。ゼロ年代SFというと、伊藤計劃あたりの「真面目な」作品が脚光を浴びているが、この作品も、一つのゼロ年代SFの象徴とも言えるのではないだろうか。
さらに、ニヤリとさせられたのは、世界観の周辺を固める様々な細かいネタ。特に、すぐにデータ不足を訴えたり、曖昧な指示は問い詰め、人間関係に応じて翻訳の文体を自動で調節するOS。こういうネタは、今の時代ならではか。
最後にちょっとだけ、気になったところ。全編ハイテンションに飽きさせず進むのは良いのだけれど、ちょっと、ストーリー的に緩急に欠けるきらいがあるかも。主人公が頭が良すぎるため、展開が行き詰まることなく早すぎるのか。ユーモア満載、おちゃらけた?雰囲気も、読みやすく良かったのだけれども、ちょっとだけ下ネタっぽい部分もあるのが、他人にお勧めするのにマイナスかな。 -
(1)本筋の中では魅力皆無のナタちゃんの過去を描いたエピソード(約30ページ弱)だけ感動。すばらしい。(2)ザビたんにはドン引き。メタレベルのダジャレをなぜそんなところで使うのか理解不能。(3)こどもとロボットが合体する話は、もう(ry
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「以前の短編の設定を…」の短編が思い出せなかったのが、読み始めてすぐに思い出しました。リングワールドの外側で生存するとしたら…、興味深い設定です。本編の記述からは、リングワールドとダイソン球の中間をイメージしました。戦闘場面等での力学法則を意識した描写が非常に見事です。最終場面から後は、本編と違う設定もしくは追加の設定を利かせた物語になることが予想されるので、続編があるにしても一旦ここで終了するのは納得がいく展開です。既出の短編の設定を活かしたこの手の長編化をもっと期待しています。
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長く感じた。
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ーーー頭上に地面、足下に星空が広がる世界。
人々は僅かな資源を分け合い村に暮らしていた。村に住めない者たちは「空賊」となって村から資源を掠めとるか、空賊の取りこぼしをを求めて彷徨う「落穂拾い」になるしかない。
世界の果てにもっと住みやすい世界があると確信したカムロギは、
多くの敵と生き残りを賭けた戦いを繰り返し、
楽園を目指す旅を続ける。
小林泰三の傑作短篇を、完全版として長篇化した作品(・∀・)
同名の短篇は『海を見る人』に収録されています。
非常に完成度の高いハードSFやわ(^p^)
いかに生き残るかに全てを賭ける登場人物とそれを裏付ける精密かつ不自然な
世界。
短篇のときは空賊との絡みがメインになるかと思ってたけど
まさか某汎用人型決戦兵器的な存在を手に入れるとは…。
そしてやはり小林泰三、単なる「驚愕のラスト」では終わらせないところもまたいい!(・∀・)
続編ぜひ刊行してほしいなー(^p^) -
読み終わった瞬間、えっこれふりだしに戻るの?ってページぱらぱらめくりました。世界観は面白いし、会話も「お、おお…」って感じでたまに意表をつかれたんですが。
著者プロフィール
小林泰三の作品
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