マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 1001
感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310318

感想・レビュー・書評

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  • 商業的に成功した作品の前日譚を後日に描くということは、某宇宙戦争映画にも通じることだが、どうしても前日譚の方が物語の世界観に歴史という深みが付加された結果として表現も、キャラクターも話しそのものも面白くなるのが一般的であり、そのため陳腐化した後日譚を改めて描きなおしたくなるものであり、ルーカスもこの作者も取り組んでいて、創造者の作品に対する愛が感じられて良い。本作は、未来譚へのインターミッションという作品であるが、主たる登場人物の紹介を象徴的に行い、なおかつ結末を予感させる作品で話を結ぶという、ここでもまた実に映画的な宣伝をモチーフとした作品となっていて、いやがおうにも読者に期待感を抱かせる。商業的には実に巧い。それにしても、09の戦後という時代が成立させえた異能力人体改造者たちが主要人物以外、全滅しながらも、また新たなメンバーで補強されたり、敵役側に旧09メンバーの技術が適用されていたりとか、またシザースが絡んできたり、1/4の4たるカトルカールから5たるクインテットになったりとか、どこまで話が膨らむのか。オイレンも続きがでないので、先はながそうであるが、期待して待ちたい。

  • マルドゥック・スクランブル、ヴェロシティに関連する短編集。そしてアノニマスへの序曲。
    完全版と改訂新版が旧版の改訂ではなく、それぞれ丸々書きなしてるという話にはちょっとびっくり。新作を読みたい気持ちもありますが、経験を積んでより洗練された文章で過去作を書き直す。それはそれでおもしろい試みだと思います。底知れない作家です、冲方丁は。

  • 「マルドゥック・ヴェロシティ Prologue & Epilogue」を読むと、未読である『〜ヴェロシティ』がアメコミの様で面白そう。『〜ヴェロシティ』の広告ともとれるこの短編にまんまとやられた次第。
    インタビューを読めば『〜スクランブル』の完全版も読みたくなるしで、『〜アノニマス』発売までは十分楽しめそう。

  • それぞれの作品を補完する感じの短編集。
    ウフコック視点の物語は稀有で、
    なぜ彼が敵を憎むのかが理解できるでしょう。

    そう、本来敵に落ちちゃいけない人を
    落としたあげく、命を落としてしまったから。
    彼の行動はそういう目的があるのです。

    そして、同じパートナー(現在・過去)の
    戦いの後も出てきます。
    兵器として利用したもの、
    心を読む手段として用いたもの。
    だけれども、確かに彼を信頼していたのです。

    次のシリーズはまだ未完、
    どんな結末が待っているのでしょうね。

  • 再読。ウフコック達の活躍を知れて楽しい。「通りすがり」「偶発的な出来事」の白々しさに笑ってしまう。時折、ボイルドがウフコックを濫用しようとする片鱗が見えるのが辛い。書き下ろしの短編「ウォーバード」が好き。『アノニマス』のプロトタイプや著者のインタビューも収録されており興味深い(旧版、改訂新版、完全版と3種類も創り出した著者のこだわりがすごい)。

  • 短編集。

  • マルドゥック・スクランブル"104"◆マルドゥック・スクランブル"-200"◆Prefer of マルドゥック・スクランブル◆マルドゥック・ヴェロシティ Prologue & Epilogue◆マルドゥック・アノニマス"ウォーバード"◆Prefer of マルドゥック・アノニマス◆古典化を阻止するための試み◆事件屋稼業

    著者:冲方丁(1977-、各務原市、小説家)

  • マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)

  • 一旦マルドゥックシリーズを全部読んでから読んだほうがいいですね。自分はアノニマスの3巻を読み終わったところだったのでいろいろ繋がりました。ただスクランブルやヴェロシティは読んでからかなり時間が経ってたので読み直したくなりました。改訂版・完全版に関するロングインタビューでは具体的な変更内容がよくわからないながらも興味深い内容。尚更完全版を読みたくなりました。

  • 2018/7 12冊目(2018年通算114冊目)。マルドゥックシリーズの短編集。ボイルドとウフコックのコンビで証人をガードする短編がどちらも良かった。後はこれまでのシリーズの回想と新シリーズにつながる短編。〇〇が処刑寸前に過去を回想する短編は「どうなってしまうのだろう」と思った。あと、このシリーズは新装版の前の物を読んだのだが、冲方さんのインタビューを聞くと、どうも新装版の方が文章の出来が良さそうなので、機会を見て手に入れてどう違うか比べてみたいと思う。アノニマスも引き続き読んでいきたい。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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