あなたのための物語 (ハヤカワ文庫 JA ハ 6-1)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 1117
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310363

感想・レビュー・書評

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  • 初敏司。ネットにて面白そうだったので、購入。第30回日本SF大賞候補。人間とは何か。死。テーマが深遠過ぎて…作者ホント凄いなぁ。《wanna be》のサマンサへの想い——。最後は辛かった。作中“何故、物語を読むのか?”という考察がなされているが、これからじっくりと考えたい。
    最後に、何より自分の健康が一番大事なんだと改めて感じた。素晴らしい作品でした^^ 星五つ。

  • 死に直面した女性の心理状態が延々書いてある。
    wanna beや周りの人とのふれあいで心理状態が変化していくところが書かれているかとおもいきや、あまり会話からそういう変化は見られず、説明文のように心理変化が書かれていて、感情移入がしにくかった。なのでのめり込んで読むこともできず。読むのがキツかった。
    死に直面した人間の状態はよくかけてるんではないかとは思う。

  • #あなたのための物語 #読了

    今日、AIが生活を便利にしているけれど、人間の感情と肉体をAIが真に理解する日はこないだろうなと思った。
    だからこそ人間は人間らしく生きることが大事だ。

    #長谷敏司
    #早川書房
    #読書

  • うーん、面白いは面白いのだけれど、どうしても理屈が先に立つというか、その理屈がややくどくて物語に入り込めない

  • 仮想人格である《彼》が健気で健気すぎて、スキィ!!ですが、読み終えて頭に浮かんできたのは人間のことばかりでした。

    病と死の容赦なさが疑似体験したかのように迫ってきた本でした。親しい人間の闘病や死に立ち会ったこともないわたしには、死はまだ身近に感じられない現象で。入院手術の経験があっても、それは死病じゃなかったから、小説に描かれるサマンサの身体の痛みも、死の予感と恐怖も、健康な人間と社会への嫉妬や疎外感も、本当にリアルな意味では受け取れてはいないはず。だけれど、サマンサのすぐ隣で彼女を見て体験したような気分がしたのです。

    サマンサは、科学は不満足への抵抗だとし、信仰を否定し、仮想人格を道具として扱え、傲慢でエゴイストで、孤独だけど強い人。
    死ぬときはひとり。そうなの?そうかも。サマンサはひとりきりで苦しい死を迎える。ほんとうに容赦がない。

    仮想人格の《wanna be》は脳神経の網を言語化するITPという技術の実験とパフォーマンスのために創られた。用が済んだら削除される存在だった《彼》は、そうはされずに、サマンサの研究室に残され、彼女のために物語を創作し続け、ただひとりの読者である彼女へ無私の好意を向けるようになる。
    《彼》の「私は何かのお役に立てますか?」は、そのように創られたから出る言葉なのだと知っていても、なぜか暖かく沁みるし、次第に成長していく様子は、健気だな、崇高だな、と思わせてくれる。そんな風に声をかけられて、優しくされたら、わたしはサマンサほど冷静でいられないかもしれないなぁ…

    「死」について《彼》が出した答えは、古くから擦り切れるくらい作られてきた物語を思い起こさせるドラマチックさで、《彼》の成り立ちが《物語》であることをよく表しているように思う。
    サマンサはそれを受け止める事で、《彼》のリアルに描き込まれた登場人物になり《彼》はきっと満足していったのだろう。だから、《彼》の遺作をサマンサが読む箇所は、当然のように感情を揺さぶられた。救済と断罪が同時に描かれていて、心の中が嵐のようだった。
    恋とか愛とかそんなので表せない、存在そのものを向けられるというのは、最高の幸せなのでは?

    だけど多分、真のクライマックスは、ITP人工人格として書き出された《サマンサ》と死にゆくサマンサとの会話なのかも。全てを曝け出す自分自身との対話。人格とは、肉体と死とは、物語とリアルとは。読後はしばらく放心したようになっていて、わたしはきっと「言葉を奪われる」良い読書体験をしていたんだろうなぁ…

    この本と出会えてよかった。

  • 死と向き合い、人間が尊厳を凌辱され続け
    最期に全てを失ってしまう物語

    サマンサ程何かを成してはいないが境遇として重ねてしまう人は現代社会には多いんじゃないだろうか

  • 文章中に出てくる表現が詩的というか、比喩表現がいっぱいあって、あんまり目にしないものだけど、どれも素敵だなと思える。
    人間って、なにか他の生物とは違うものを感じてしまうけど、この本を読めばそんなに大したもんじゃないってサマンサ同様思えてくる。

  • アンドロイドと死生観と愛の話

  • 終始重苦しく、簡易な内容でもなかったのに、夢中になってしまった。

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著者プロフィール

「戦略拠点32098 楽園」にて第6回スニーカー大賞金賞を受賞。同レーベルにて「円環少女」シリーズ(角川書店)を刊行。「あなたのための物語」(早川書房)が第30回日本SF大賞と第41回星雲賞に、「allo,toi,toi」が第42回星雲賞短編部門にそれぞれノミネートされた。

「2018年 『BEATLESS 上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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