The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2012年3月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (290ページ) / ISBN・EAN: 9784150310608

作品紹介・あらすじ

『虐殺器官』のスピンオフとして書かれた表題作をはじめ、漫画作品や円城塔と合作した「解説」までを収録するフィクション集成!

みんなの感想まとめ

テーマは、作品の連続性と多様な視点からの深い考察が織り成す魅力です。著者の作品群は、短編集としてのテンポの良さを保ちながらも、過去の作品とのつながりが巧みに配置されています。特に、ファンには嬉しいオマ...

感想・レビュー・書評

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  • 最後は『屍者の帝国』だったが、フランケンシュタイン、ホームズ、吸血鬼ドラキュラなどが下敷きとなった作品で好みの題材だしこの先も超面白そうなのに絶筆なのが本当に本当に残念!!!

    『セカイ、蛮族、ぼく。』は冒頭から食パンをくわえて走ってくるというコミカルな女性が、僕にぶつかってきて転倒したので犯した。という2度見するスタートから始まり、本編中でもう一人強姦する。
    好きでやってるわけじゃない、蛮族という血に従ってるんだ、などと、今の時代では問題アリな作品だが、依頼されて同人誌に寄稿した作品だという説明で少しは納得できた笑
    著者作品はそこまで書かなくても良いんじゃないか?と突っ込みたい女性の性・強姦描写が度々あるのだけが素直に好きになれないところ。戦争というものはそうゆうものだというのは分かるのだが、作品内にわざわざ複数回登場させなくてもな、などと女読者である私は思ってしまうのである。
    この作品を読んだ後に次の『A.T.D:Automatic Death ⬛︎ EPISODE : 0』という作品を読んでしまうと、は〜女ってやつは男主体の世界では所詮、お涙頂戴の飾り物ってわけね、などと思ってしまう。(創作的に)


    『The indifference Engine』
    虐殺器官のスピンオフ作品で、ウィリアムズも登場する。戦争に使われる子供、戦争は終わった、といわれても自分の中ではまだ続いている戦争。これまた脳いじりが登場し、顔を見ても敵か味方か、種族の判別がつかないようにされる。

    『From the Nothing, With Love.』
    ミステリー要素が強く、クリスティネタも登場する。最初はいつにも増して堅苦しい語り口調の主人公だなと読みずらさを感じていたが、理由に納得である。落ちがラヴクラフトっぽくて好き。

  • 虐殺器官・ハーモニーのエッセンスを感じる短編集だった。
    ゲーム作品の二次創作や、世界史など、背景知識分からないものも多く、おそらく100パーセントで楽しめたわけでは無かったとは思うけど、それでも内容に思わず引き込まれる、さすが伊藤計劃としか言いようのない魅力ある短編ばかり。夢物語ではない問題提起的なSFというのが本当に好みです。
    伊藤計劃の話って、どれも戦争や死生観に対するメッセージ性が強いなと思うけど、著者が本当に言いたいこと、考えてることは明記されてなくて、非常に考えさせられるもの。

    特に、ハーモニーでもテーマになっていた人間の意識を扱う短編(From the Nothing, With Love.)が好み。切り口がすごく良いよなあ。
    今このAIがどんどん進化する中で、まさに大事になるテーマだと思う(まさに未来を見ていたとしか!)。
    AIと人間を隔てるものは意識・感情の有無だと思う。
    効率・正確性を今のまま重視するなら、意識は最も不要なものに。
    人間として生きることの定義ってなんなんだろうって改めて考えさせられた。

    あと、屍者の帝国が、入りからすごく引き込まれ!
    世界観が好みだった。
    あ〜!この作品を著者自身で書ききった完成作を読みたかった!本当に日本が誇る偉大な作家だと思います。あまりに短い作家人生。惜しいなぁ。もっとたくさん読みたかった。
    どの作品も本当に素晴らしく、考えさせられるものばかりなので、時間を空けて何度も読み返したいと思います。

  • 生誕50周年記念限定カバー版。

    この強烈に作品を理解りたいという感覚をもたらしてくれる数ある作家の内の一人。これが愛するということ、カリスマということか。

    変な話、夭折の作家というのは、もう続きが見られない、新たな境地を辿れないからこそ、数少ない断片の希少性が上がるわけで、亡くなって良かったなんて全く思わないが、渇望の度合いは他の比じゃないんだよな。

  • もともと『ハーモニー』が好きで、SNSで紹介されているのをきっかけに手に取った一冊。正直、SNSで見かける絶賛ほどの期待値には届かなかったけど、普通に面白い。短編集ということもありテンポもよく、一気に読み進められる構成になっている。

    なかでも印象的だったのは、伊藤計劃氏の過去作とつながりを感じられる点。直接的な続編ではないものの、世界観や設定がリンクしているような作品がいくつかあって、ファンにはニヤリとできる仕掛けが随所に散りばめられている。時系列や設定の裏側に想像を巡らせながら読むのが楽しい。

    伊藤計劃作品をすでに読んでいる人にはより深く楽しめる構成だし、初めて読む人にも短編としてサクッと入れる入口として悪くない。重厚なテーマ性を期待しすぎると肩透かしかもしれないけど、テンポの良いSF短編集としては十分楽しめた。

  • 伊藤計劃の短編やコミックの原作を務めた作品を集めた作品集。『虐殺器官』で描かれた戦争や悲劇に対する考察や、『ハーモニー』で描かれた意識、自由意志などそれぞれの作品に補完の関係があり、呼応している。「007」シリーズや「メタルギア」シリーズに対するオマージュの作品もあり、伊藤計劃の作品は自身の作品群の枠を拡張し、メディアの形式を超えて遺伝子が引き継がれているのだと感じた。

  • "虐殺器官"ですっかり魅せられ、ハマってしまった伊藤計劃の読了二作目。これもまたすごかった。表題作は虐殺器官のミクロを描いているとも考えられる内容で、痛みはわかるけど痛くないマスキングのところで改めて思い出した。あとHeaven scapeでも冒頭の"後頭部にぱっくりとひらく紅い花"やナノマシンの描写は虐殺器官に通ずるものを感じた(ナノマシンは万物理論でも見かけた気がする??)。本書の後ろ三部は"私"というテーマでどこか繋がっているような感じがして、特に"from nothing, with love"は正直前半はわけが分からなくてなんだこれ。と思ったけど、終盤タイトルの意味が分かったときには息が止まりそうにびりびりきた。話のトリックとして面白かったのはもちろんだけど、この作での"意識"の捉え方や作品全般での人の頭の中については見えている景色が本当に違うと思う。数は少ない伊藤計劃全作に丁寧に触れたい。あと屍者の帝国もすごく惹かれた。

  • 「意識とは何か、自我とは何か」
    という表題が作品を貫く。

    私たちが今現在認識している世界は意識が創造した夢にすぎないかもしれないのだ。


    円城塔が「死者の帝国」を引き継ぎ書き上げると宣言したが、
    私にとっては彼の難解な文体は少し苦手なので読みたいか微妙なところ。

    伊藤計劃の作品は、彼よりはやわらかめな文学的表現もしつつ、論理的哲学的に構築された表現もあり、文章を呑みこめるか呑みこめないかの絶妙なラインをついてくるところがよい。

    科学と哲学は表裏一体。SF作品を咀嚼しているとよく感じる。
    この2つの思想は記っても切り離すことができない。

  • 引き寄せられるような疾走感と、たっぷりの皮肉と、途方もない退廃と、途轍もない喪失感。
    そういったものたちが、残されていった。
    その先がないことが、とても、寂しい。

  • 伊藤計画さんの著作をよむとみんな格好つけた文章を書きたくなるんじゃないでしょうか。

  • 面白かったー
    人間っていったい何なんだろうな……と思わせられるような話がたくさんあった

    特に心に残ったのは表題作の『The Indifference Engine』と『セカイ、蛮族、ぼく。』、それから『From the Nothing, With Love.』。
    一つ目は少年兵だということがわかってからずっと心が重くて、その暗さがよかった。
    蛮族の話は勢いがすごくて笑ってしまった。
    あと写本の話は何となく007をイメージしてるのかな、と思ったけど解説を見る限りそうではなさそうだったな…
    どれもこれも人間の本能とか根元に関わる部分を揺さぶられる話で、やっぱ伊藤計劃好きだなーと思いました。

  • 夭折の天才、伊藤計劃の遺稿を含む短編集。同人誌に掲載した試作や未完の作品が多く、「お試し」感の強いラインナップで、一読しての印象は「なんか中途半端だなー」というのが正直なところ。
    ただし、完結している作品ももちろん収録されてまして、この完成度が恐ろしく高いです。「虐殺器官」と同じ世界線にある表題作はもちろんのこと、鴨的には「From the Nothing, with Love」が衝撃的な出来。ぱっと見はあの世界的に有名なスパイ・アクション映画のパスティーシュで、なんでこの映画が題材なんだよ!と心の中で突っ込みながら読み進めたわけですが、これがちゃんとSFしていて、しかもいかにも伊藤計劃らしい深堀りした思索が静かに展開されていて、短編にも関わらずお腹いっぱいな読み応え。

    うーん、鴨の全く個人的な感触ですが、伊藤計劃は短編向きの作家だったんじゃないのかな、という気がします。
    長編は一通り読みました。スゴく面白かったんだけど、正直かなりリダンダントな印象を受けて、読後感は今ひとつでした。今にして思うと、鴨は伊藤計劃作品に「フツーのSF」を求め過ぎていたのかもしれません。先日師匠が初めて伊藤計劃作品を読んで、「村上春樹っぽいね」と評しておりました。正にその通りで、SFとして読む前に、この人の作品は「物語」なんでしょうね。歳を重ねて円熟した伊藤計劃がもし作品を世に出したら、どれほどの傑作になったんだろう、と今更ながらに思います。惜しい才能を無くしたなー。

  • 『The Indifference Engine』
    圧倒的に生々しくグロテスク。読んでいてつらいけれど引き込まれる。部族対立による戦争が終わり、平和のために部族間の差異を認識できなくなる脳処置を受ける少年兵。そんな方法で憎悪は、戦争は止められるのか。

    『セカイ、蛮族、ぼく。』
    コミカルで妙にインパクトがある短編。冒頭から笑う。

    『From the Nothing, With Love.』
    これも凄みがある。英国の凄腕スパイの人格が死後も他人の脳に移植され引き継がれ代々活躍している。悍ましい技術によりコピーされる『私』は、任務の中で自身の意識への疑いを深めていく。コピーの繰り返しにより、スパイとしての行動様式と振る舞いこそ主になり自身の意識が不要になっていくというのは面白い。

  • 円城塔よりずいぶんストーリーテラーなんだなあと感じた。
    たとえて言うなら村上春樹のように固有名詞を頻発し、
    自らと同じもしくはそれ以上の知識水準を読み手にあからさまに要求してくる。
    これが固有名詞でなく専門用語だと円城塔に近いけれど、
    いずれにせよ円城と伊藤は作風においては似ていなかったんだなあということが、
    わかってよかった。

  • 「短編集」というよりは、これらの短編を経て発表された長編(『虐殺器官』『ハーモニー』『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』)に繋がる「習作集」といった印象を強く感じました。これから伊藤計劃という作家に触れてみよう。という人がまず最初に読む入門書というよりは、長編を読み、その上でハマった人が伊藤計劃を研究、またはより深い理解を得るために読む。そういった楽しみ方が、本書には合うかと思います。

  • 伊藤氏の短編を読むのは初めてなのですが、さすがに粒ぞろいの作品が揃っています。
    「虐殺器官」、「ハーモニー」のスピンアウトと呼べるような作品、ゲームの「メタル・ギア・ソリッド」に繋がるもの、「007シリーズ」を題材にしたもの、そして遺稿となった「屍者の帝国」のプロローグと、伊藤氏の作品の傾向が網羅的に理解できる構成になっています。
    円城塔氏が完成させた「屍者の帝国」もそうですが、伊藤氏の作品はいずれも「意識」とは何か?という問題意識に貫かれているように思います。
    「意識」とは何なのか?伊藤氏の作品を読みながら、そんなことをじっくり考えてみるのも良いかもしれません。

  • 表題作を含む、中短編集。過去に他媒体で既読のものもあるが、まとめて読めたのは良かった。全体の印象としては"習作集"。大作に取り組む前のデッサン画やスケッチのよう。ああ、この作品のココが『虐殺器官』へ、『ハーモニー』へ、そして『屍者の帝国』へ行くんだなと納得する。なお、"習作集"だからつまらんということではなし。

    中でも007シリーズの二次創作と言おうかオマージュと言おうか、その他英国モチーフ満載のフルカラー漫画(!)『女王陛下の所有物』と小説『From the Nothing, With Love』がめちゃくちゃ面白かったなぁ。飛浩隆の言を借りると、世に放たれる"呪詛"はこの作品でも同様だし……。よし、冒頭からちょっと引用--"そのうえでこう言わせて欲しい。私の魂に安らぎあれ、と"。なんという予言的で印象深い文章であることよ。

    それにしても伊藤計劃は根っからのエンターテイナーなのだなと思う。あれこれ重たいテーマを世界に突きつけながらも、それでいて同時にきっちりと楽しませてくる。『セカイ、蛮族、ぼく』のようなコミカルテイストの作品ももっと読んでみたかったな。

    『屍者の帝国』を書き継ぐと発表した円城塔の作品は、読むと天才の頭の中をこっそり覗き込んでいるような感覚になるが(私はそこが楽しい)、はてさてエンターテイナーが遺した『屍者の帝国』をどう料理するのだろうか。この二人の共作という『解説』がその試金石。どこが円城塔でどこが伊藤計劃か見分けてやろうと目論見ながら読むも、それは見事失敗したのであった(笑) 二人のエッセンスが見事溶けたスープ、ご馳走様でした。『屍者の帝国』がほんとに楽しみ。

    あーー『伊藤計劃記録:第弐位相』買おうかな……

  • SFはあまり読まないが虐殺器官が「星、五つでっす!」だったので購入。
    同人誌で発表した作品や、虐殺器官のプロトタイプなど読めておもしろ。

  • 本当に惜しい人を亡くしたとしみじみ思うほどに溢れ出る才。

  • 個人Webサイトや同人誌に掲載された作品や、絶筆(未完)を含むSF短篇群。

    『虐殺器官』のスピンオフ作品があると聞いて読んだ1冊。

    伊藤計劃の作品は、常に戦争とは何か?正義とは何か?を考えさせられる。

    『虐殺器官』のスピンオフ「The Indifference Engine」では少年兵による個人から見た戦争について描かれている。

    殺されないために少年兵になり、相手は悪で強姦し殺すのが「正しいこと」と教育されたのに、戦争が終わるとこれまで正しかったことが「違う」と言われる少年兵の混乱や、内面では終わらない戦争の描写に胸が痛くなった。

    著者の伝えたいことがわからない部分があるので、時間を経てまた読みたい。

  • 伊藤計劃さんのこの短編集もとても面白かったです。

    この小説の題名にもなっている『The Indifference Engine』を読んでいて、ふとしたサプライズがありました。
    『虐殺器官』を先に見た人には嬉しいサプライズだと思います。
    黒く動く生物のような機械って言葉を見つけてから似てるなって思っていたのだけれど、同じ世界の話だったのには驚きました。


    『Heavenscape』は短編でありながらもとても考えさせられるお話でした。

    頭お花畑でわかった風に平和を歌う奴等ほど薄情な奴等はいない。
    勝手に自分達の理想を押し付けてきて、立場が悪くなるだけで直ぐに逃げ出す。
    私達は何もやっていないと言う風に。
    金がなくなれば直ぐに引き上げる。やってきたことも全てほっぽりだして、何もなかったかのように、これが本当の悪い意味で本来の偽善だよな。

    本人達の事を何も考えずに、勝手に外で考えた平和を押し付けたせいで、また新しい戦争が産まれた。


    「白人たちは逃げていったの。これを売り込んできたNGOは、本国で何かスキャンダルがあったらしくて、あっという間に寄付者も逃げ出して、左前になって引き上げていったわ 『本国で態勢を立て直す』んですって 。もうあのホテルには誰もいないし、cmiの人たちはあのNGOの支払いがなくなると さっさといなくなったわ」


    他の短編もどれも面白かったです。
    あ、でも最後の本書の解説に『ハーモニー』のラストがデッド・エンドだって言葉が目に入って面食らいました。
    まだ読んでないのだけれど、これは完全なネタバレなのか?

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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