The Indifference Engine (ハヤカワ文庫 JA イ 7-3)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310608

感想・レビュー・書評

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  • 2012-3-11

  • 007好きの人にぜひお勧めしたい。本書の著者にこそ継承"する価値があったと思うのに、もう彼は失われてしまった。流れを引き継ぐ人々がたくさんいるということは喜ぶべきことだけれども、それとこれとはまた別の話。"

  •  書籍というきちんとした形でまとめられていなかった作品を集めた作品集。
     6つの短編に、2つの劇画、1つの他の作品の解説、という構成になっている。
     やはり6編の短編はどれも極上。
    「セカイ、蛮族、ぼく。」という短編だけは少し毛色が違っているが、残りはどれも伊藤計劃らしさが漂ってくる作品となっている。
     きっちりと論理立てされており、だからといって息苦しさを感じさせることもなく、読むものを良質のエンターテインメントへと誘ってくれる。
     最後の「屍者の帝国」のみ未完(遺稿でもある)。 
     のちに円城塔が後を引き継いで完成させているが、購入してはいるがまだ未読(評判はあまり芳しくないようだが……)。
     どの作品も面白いのだが、やはり一番強く心に残ったのは「本当に惜しい才能を失ってしまった。もっと彼の作品を読んでみたかった」という残念な気持ち。
     特に未完に終わっている「屍者の帝国」の「これから先、どんな展開が待っているんだろう」と期待に胸を躍らさせてくれる内容を読んでしまうと、本当に残念でならない。

  • 高校時代に読んだ。虐殺器官のスピンオフとかが収録されていた気がする。あと蛮族の話ははちゃめちゃな設定なのにラストが感傷的で何とも言えない気持ちになった記憶がある

  • 渡り鳥のようなものだ。リーダーはいないが、単純なふるまいをする個々の要素の巨大な集合が、結果的に統制された、複雑なふるまいを発現するのだ。

    いかなる政治とも、いかなる権力とも、無縁に暮らす力を村人たちに与えようと。彼らを武装させ、彼らに闘う訓練を施し、いかなる種類の政治からも守ってみせると。アウターヘブン。自由。

    セカイ、蛮族、ぼく。

    自分自身であることが極限に達すれば、もはや意識は必要ない。
    →確かにこれはうなずける。実際毎日同じ電車に乗って通勤すると、例え違う目的地に行こうとしても、意識してないと勝手にいつも通りの電車に乗ったりする。そういう意味で、意識の前にある程度脳が判断を下してるのは納得できる。
    また、毎日同じ生活を送ってると、意識する時間が減るから、いつの間にかとんでもない長期間が経ってたりする。それは友達と遊んでる時間とかもそう。

  • 『The Indifference Engine』『From the Nothing,With Love.』が面白かった。

  • もっと、読みたかった。
    改めて哀悼の意を。

  • 民族間での争いは突如終わりを告げ
    戦争に全てを奪われた少年兵が
    今度は戦争すらも奪われ、公平であることを押し付けられる。
    でも敵も戦場も消え去ったわけじゃない。
    他者を否定し合う心の戦争、価値観の戦争はまだ終わりが見えない。

    その他、虐殺器官のプロトタイプ的スナッチャーパロディや
    ビッグボスとグレイフォックスについてのあれこれを描いたMGSパロディ、
    映画のたびにキャストが変わるジェームズボンドをネタにした007パロディなど
    意識という機能、自分という機能がテーマの短篇群。

  • 再読。
    短篇集。
    表題作は『ホテルルワンダ』を思い出した。本当に恐ろしい。子供は純粋ゆえ、簡単に信じ込んでしまう。だまされてしまう。今現在でも世界にはこんな子供たちがいるかと思うとなんとも心苦しい。
    「From the Nothing, With Love.」は最初の方は意味がよくわからず、円城塔みたい…と思ったけど、途中から徐々におもしろくなってきた。いまいち理解できたとは言い難いけど、でもこういうのをぐるぐる考えながら読むのが結構すき。
    『死者の帝国』がどんな話だったかいまいち覚えていないので、再び読むことにする。

  • 羊水の中で溺れてるみたいな気持ち悪さがありながらも、「かぁぁぁぁっこいい!!!」と唸りたくなる、劇場感。死がすぐ側まで、いやそれどころか内側まで、入り込んできているのに、まるで生まれ変わりの準備をしているみたいな安心感を感じるというか。中毒性高い。もっと生きてもっと多くの作品を残してもらいたかった…。表題作のThe Indifference Engineが一番好き。争うために歴史がいる。人を殺して死ねと教えたお前らが助け合えとのたまう。じょおおおおおだんじゃない!という不条理はそこらじゅうに転がっている。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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