僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハワカヤ文庫JA)

  • 早川書房 (2012年6月8日発売)
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本 ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784150310707

作品紹介・あらすじ

50時間起きて20時間眠る特異体質のメイジ。偶然拾った2億円は、家族や大切な人たちを巻き込んだ大騒動を起こす。待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 良かった。
    全てがハッピーエンドとは言えないかもしれないけど、それでも今良かったなと思える。

    「人間は、どんなときに絶望という二文字に囚われるんだろう。
    たぶん、この世に自分独りきりという気持ちになったときじゃないか。」

    その通りだと思う。
    私は自分独りきりで出来ることなんて何にもないと断言出来る。
    心細くて堪えられないだろうとも思う。
    主人公が孤独ではない物語が好きなのは、安心できるからだ。
    自分を想ってくれる人がいるということは他の何にも代えられない幸福だと思う。

    この物語の主人公はとても優しくて、家族のこと、上司のこと、同僚のことを大切にしている。
    自分のことより彼らの幸福と安全を優先している。
    そして主人公も同じように大切にされている。
    危険を知って走ってきてくれる人がいる。
    冗談みたいな困難な状況を前に一緒に悩んでくれる人がいる。
    だから最後まで安心して読むことが出来た。とても心強い仲間がいたから。

    もちろん物語も魅力的でドキドキさせてくれるし、登場人物も素敵。
    特にナタネさんの格好良さは筆舌に尽くしがたい。素敵すぎる。
    ナタネさんのような格好いい大人になりたい。絶対無理だけど。

    人と人との繋がりは不思議だ。
    運命なんてあるのかどうか知らない。
    考えたいとも思わない。
    だけど、ただの偶然だったとしても、「これは運命だ」と信じたくなる出会いはきっとある。
    その出会いを大切にしなくちゃいけない。
    私の手で守らなくちゃいけない。
    この物語を読んでそう思った。

  • 設定に惹かれたのだけど、むしろ、寝てる間のことが解説形式で進むのでテンポが良くなることに効果が発揮されてた?
    文量ある割にサクサク読めて良かった。
    登場人物たちが色々抱えてる割にあっけらかんとしてるからなのもあるかな。
    人によっては違和感かも知れないけど、語り手のパーソナリティの反映かもしれないし、本文にもあったような”人間的に成熟してる”ひとたちなのかもしれない。
    主人公含め、みんな他人に気持ちが向いてて温かい。

    サクサク進んできた分、最終章に持ってかれたなぁ

    大団円のなかにほんの少しのもやもやを残すのは作者の特徴なのか。
    小路幸也初めて読んだけど、好きになってしまったよ。

  • 毎度の事ながら表紙買い。
    小路幸也作品初だったんですが、表情に読みやすかったです。

    特異体質(睡眠障害?)の裏や家族・友人そして協力者がみんなちゃんとキャラが立っていてよかったです。ただ対立する奪還屋の方は逆にインパクトがなく・・・。

    ストーリーはサクサク進んでいくのでストレスなく読むことができました。みんなの主人公に協力する理由などは感動しました。

    主人公の仕事柄のプランニング能力や協力者ナタネさんの仕事能力は「凄すぎる」の一言。

    ナタネさんとりあえず、格好よすぎる

  • あらすじにタイムリミットサスペンスとあるし
    裏金、奪還、強奪、などといった言葉が出てきたので
    ハラハラするかと思ってたんだけど…
    裏金に関してはあっさりでした。
    物足りないぐらい。

    でもこの話のメインは人間関係で
    登場人物がどう繋がっていくのかが
    楽しむポイントなのかなぁと思ったり。
    リローに関してだけは何となく分かってた。

    ハヤカワ文庫は何となく読みづらいという
    印象だったので(今まで読んだ作品の影響で…)
    この本でだいぶ印象が変わりました。
    これからはもっとチェックしよう。

  • 手元に残したい一冊!
    小路幸也さんの作品と出会えた一冊。
    最初に出会ったのがこの作品だったのは、良かったのかも笑
    その前に読み漁ってた作家さんは、誰が裏切るのかわからない、小難しい作風だったから。
    温かい。誰かに支えられて生きているって心強い。

    一冊の本を読んで、可笑しくて声出して笑って、感動して涙を流したのは本当に初めてだ。

    一年振りに再読して、もう一カ所、涙が出た場面があった。
    メイジがお母さんと「再会」した事を仕事仲間に言った時。
    私も、自分の仲間にはすぐに連絡をして欲しかったんだ。

  • 面白かった。
    二億円私ならどうするかな?
    小路さんちょっと読んで見よーっと

  • 大好きな作家さんの本だったので大学生協で見つけてすぐ購入を決めました。

    テンポもよくて読みやすいので厚さのわりにすらすら読める。
    長い昼と長い夜を過ごすことがもう少し物語の鍵になるといいかなと思ったけど、ナタネさんはかっこいいし主人公はぶれない安定の優しさを持ってるしみんなそれぞれ魅力的だった。

    二億円をてにしたとき自分だったらどう使うんだろう。

  • 睡眠障害というにはひどすぎる症状の主人公メイジの実家は
    札幌の東区東苗穂3条1丁目、札幌刑務所のすぐ傍なのです
    実は,わたしが社会人となって一番最初に7年間働いた会社が
    東苗穂3条1丁目だったのですよ
    そして、5年程、住所こそ伏古ですが、札幌刑務所の近くの
    アパートに住んでいたのです 
    だから、なんだか小説に出てくる札幌の風景が
    いつもに増して、懐かしかったのです
    小路さんも東苗穂にお住まいになっていたらしく、
    そこを舞台にしたと紀伊國屋書店札幌本店のPOPに書いていたので、
    それがきっかけでこの文庫を買ったのかな
    内容は、小路さんらしく、心根のやさしい親切な人が
    たくさん出てきて、ハラハラするような事態も
    ああ、よかったと結構安心して読めちゃうんだけども
    ストーリーの進み方が、意外性もあり、楽しくって
    読みはじめたら、途中でやめるのに苦労しました

  • 20時間寝て50時間起きるという、奇異な設定と綺麗な表紙にやられました。
    最初の方はその病気を活かしたのほほんとしたお話かな~と思いました。

    しかし、話の筋である主人公と追う側のかけひきが進むにつれ、本の厚さを全く感じない、久しぶりに疾走感を感じるお話!

    話が進む度に急展開さは加速度を増し、又、内容も厚くなる為飽きを全く感じない面白い、良い展開だった。

    小路さんは、こんな重たそうな内容でもやはり軽く、読みやすく出来るんだなって再確認したや。

  • 分厚い小説だが、読み始めると面白くて一気に読めた。最後の方の過去の話が泣けた。

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著者プロフィール

一九六一年旭川市生まれ。札幌の広告制作会社に14年勤務。退社後執筆活動へ。
二〇〇三年『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』(講談社)でデビュー。著書に『HEARTBEAT』(東京創元社)、『東京公園』(新潮社)、『東京バンドワゴン』シリーズ(集英社)など。ほかに『うたうひと』(祥伝社)、『空へ向かう花』(講談社)、『brother sun 早坂家のこと』(徳間書店)などがある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小路幸也の作品

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